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相撲界『悪太郎引退、喧嘩太郎登場』 Bad-boy bows out

2010-02-05 | 世界から見た日本
2010年2月5日(金)

世界の一流メディアで、今朝の段階で小沢幹事長不起訴を取り上げているところはほとんどない。一方、朝青龍の『勇退(bow out)』と貴乃花の理事当選をFinancial Timesが取り上げた。

「伝統を誇りながらも混乱が続く相撲界の今週は、改革を唱える貴乃花の理事当選で始まったが、角界の悪太郎(sumo’s bad boy champion)朝青龍の突然の引退で話題はその極に達した」と同紙は東京発の記事を始めている。

朝青龍が酔って起こしたとされる暴行事件は、近年相撲界を揺るがしてきた若手力士へのしごき、八百長、薬物使用(a hazing of a young wrestler, alleged bout-rigging, and episodes of dope-smoking)など数々の不祥事のいわば仕上げであり、新聞社は号外まで出してその引退を報じたと、日本におけるこの事件の重さを伝えている。

相撲は「神話的な背景と、宗教的ともいえる儀式に満ちたスポーツ」( a sport with a mythical past and semi-religious pretensions)と表現し、朝青龍は『土俵上では下品な振る舞いを行い、土俵外では数々の不品行で伝統を汚す外人力士』として強い人気とともに、強い顰蹙を買ってきたとしている。

そして、このDolgorsuren Dagvadorjという本名を持つモンゴル人力士の引退は、外人が土俵を知らぬ間に支配してしてしまった(creeping dominance)ことを嫌悪する人々を満足させたようだが、人気凋落中の相撲界が超人気力士を失ったのは痛いことであろうとしている。

しかし同紙は、相撲界にとって長期的にもっと大きい影響を与えるのは、貴乃花が改革を掲げて、これまでコンセンサスによるできレースを常としてきた理事選挙に異例の挑戦をし、その地位を勝ち得たことであると論評している。

21世紀の角界の改革にかける貴乃花の活躍に期待がかかるとしている一方、貴乃花を、父、母、兄とも喧嘩をしまくって切ったまさに喧嘩太郎(a reputation for being really quarrelsome)であると紹介し、その将来に一抹の不安が残るとの声も同時に紹介している。