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遅れる日本のGDP誤差修正作業 A Poor Guide to Policies

2010-02-15 | 世界から見た日本
2010年2月15日(月)

今朝のFinancial Timesアジア版のトップ記事は、「日本政府GDP統計測定法見直し」となっている。

日本のGDP統計は、精度が悪くしかも重要な景気の変局点で、速報値を大幅に改定することが度重なってきており、世界中から日本政府の経済統計に対する信頼が大きく損なわれてきた。精度と政府による数字の操作で評判を落としていた中国がこのところ面目一新しているのとは好対照を成している。

かつて、「経済企画庁」と呼ばれた役所が存在していたころは、GDP統計の速報値と確定値がこれほど、頻繁に、かつ大幅に修正されることはなかった。最近の統計値のブレはひどい。特に昨年12月に、7-9月の四半期の年率経済成長率を4.8%から1.3%に下方修正したのは、経済政策の舵取りに重大な影響を及ぼしたのみならず、世界の機関投資家を驚かせた。

Financial Timesは、内閣府からの取材を引用しながら報道しているが、GDP測定の改善は3段階に分けて行われる。第1段階の微調整(tweak)はすでに行われており、今日発表の第4四半期の暫定値に反映される。第2段階は夏ごろ、全政府関係機関を巻き込んだ大幅修正は2-3年かかるとしている。

経済構造が大きく変動しているのに、GDP測定対象の組み換えを正しくやってこなかったことの付けが一気に噴出している。そして政府内部のエコノミストと称される人々の能力が極端に落ちたことと、この混乱は無関係ではない。誤った数字をもとに、政策運営をしてきたのも、現在の景気低迷の長期化のひとつの原因である。

今回の政府の修正対策をFinancial Timesは、”tweak”と表現した。Tweakとは、つまみをいじくる動作をさす言葉である。本質的な改善ではないことを見抜かれている。今日の政府発表を注目しよう。