2009年3月16日(月)
石油輸出国のカルテル機構であるOPECは、アラブ世界の平日である日曜日に、ウィーンで総会を開いて、追加減産を、見送ることを決定した。これはとりもなおさず、1バレル当たり40ドル台に「低迷」する価格を75ドルまで押し上げるという目標を、当面ごり押しをしないということである。尋常ではない世界の景気後退への配慮からというのが、公式説明である。
昨年、11月22日の本欄の「産油国不協和音」でも取り上げたが、OPEC各国の事情を分けているのは、各国が石油収入の増加をあてにした国家経済の成長計画をそれぞれの価格見通しに基づいて、策定しているためである。
各国の国家財政収支を均衡させるために必要な2009年の原油価格レベルの推計値は次のようになっている:
ベネズエラ 103ドル/バレル
イラン 83
サウジアラビア 54
クエート 52
UAE 46
アルジェリア 31
この一覧を見れば、$75以上のレベルを各国が望む理由がよくわかる。そして、イランやベネズエラが、現在減産協定破りを行っている理由も、またよく理解できるのである。国家財政へのインパクトを避けるために、当面は、効果のはっきりしない減産による価格上昇への期待よりも、減産による減収の恐れのほうがより大きいということである。
そして、原油価格が急速に上がりすぎて、オバマ政権のグリーン・ニューディールにドライブがかかることや、欧州の原子力回帰、すなわち「原子力ルネサンス」がさらに拡大してしまうのも、さらに言えば、ブラジルや米国のバイオエネルギーが息を吹き返して、石油価格に圧力がかかるのも、OPECにとっては、「禁忌」である。。
このように、「持てる国」にとって、原油価格が上がりすぎるのも、下がりすぎるのも困るのである。ちなみに、テキサスなどに散在する小さい油井は、原油の値崩れを見て、蓋をされてしまったという昨今である。
石油輸出国のカルテル機構であるOPECは、アラブ世界の平日である日曜日に、ウィーンで総会を開いて、追加減産を、見送ることを決定した。これはとりもなおさず、1バレル当たり40ドル台に「低迷」する価格を75ドルまで押し上げるという目標を、当面ごり押しをしないということである。尋常ではない世界の景気後退への配慮からというのが、公式説明である。
昨年、11月22日の本欄の「産油国不協和音」でも取り上げたが、OPEC各国の事情を分けているのは、各国が石油収入の増加をあてにした国家経済の成長計画をそれぞれの価格見通しに基づいて、策定しているためである。
各国の国家財政収支を均衡させるために必要な2009年の原油価格レベルの推計値は次のようになっている:
ベネズエラ 103ドル/バレル
イラン 83
サウジアラビア 54
クエート 52
UAE 46
アルジェリア 31
この一覧を見れば、$75以上のレベルを各国が望む理由がよくわかる。そして、イランやベネズエラが、現在減産協定破りを行っている理由も、またよく理解できるのである。国家財政へのインパクトを避けるために、当面は、効果のはっきりしない減産による価格上昇への期待よりも、減産による減収の恐れのほうがより大きいということである。
そして、原油価格が急速に上がりすぎて、オバマ政権のグリーン・ニューディールにドライブがかかることや、欧州の原子力回帰、すなわち「原子力ルネサンス」がさらに拡大してしまうのも、さらに言えば、ブラジルや米国のバイオエネルギーが息を吹き返して、石油価格に圧力がかかるのも、OPECにとっては、「禁忌」である。。
このように、「持てる国」にとって、原油価格が上がりすぎるのも、下がりすぎるのも困るのである。ちなみに、テキサスなどに散在する小さい油井は、原油の値崩れを見て、蓋をされてしまったという昨今である。