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フランス人、NATO復帰に怒る Angry backlash

2009-03-13 | 米国・EU動向
2009年3月13日(金)

サルコジ・フランス大統領は、今週突然、「フランスは、NATOへ43年ぶりに復帰する」と宣言して、世界を驚かせたが、何よりもフランス国民を驚かせた。そして、中道右派の与党内部からすら強い反発(angry backrash)が沸き起こっているのである。

フランス救国の父であり英雄、ドゴール大統領が、戦後の米国による一国支配、とりわけ欧州の米国外交政策への従属からフランスを解放するために、NATOから離脱し、米軍を撤退させたあのフランスの心意気はどこへ行ったのだというフランス人の怒りである。

フランスは、第二次大戦後、長く、米国の外交政策の批判をし、時には強い反対者によってその独自性を主張してきたのである。NATOと袂をわかっていることこそ、独立の象徴(mark of independence)なのに何たることか、との嘆きの声も聞こえる。

これに対して、サルコジ大統領は、NATOに入っていないことで、世界の中で居場所が定まらない状況と、EU内部での浮き上がった存在になっていることを解消することが必要だと主張している。

そして、ドゴール主義という孤高の政策はもはや、時代遅れの習慣(old habits)であり、自己満足(self-satisfaction)から決別しようと、国民に呼びかけているのである。

しかし、冷静に見ると、90年代から、フランスは、NATOとは、協調をとってきており、イラクにも共同派兵しているので、軍事的にはたいした変化ではないとの見方が支配的である。むしろ、本当に影響を受けるのは、フランス人から、ただでさえ「アメリカかぶれ」とみなされている大統領自身であろうとのみ方が支配的である。

「わが愛すべきドゴール将軍の伝統を壊し、アメリカに国を売った(sell-off)奴」とのレッテルを、左右両派から貼られる危険性があるということである。