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ドイツの太陽光発電超優遇措置 The feed-in tariff

2008-07-29 | 環境・エネルギー・食糧
脱原発政策では欧州をリードしてきたドイツは再生可能エネルギーである風力と太陽光への傾斜をますます強めています。これらのクリーンエネルギーは、温暖化ガス対策としては極めて好ましいものでありますが、化石燃料による発電に比べれば経済性では遠く及びません。

その対策として、普及促進のために取られる助成措置は2つあります。一つは公的な助成金に基づく電力会社による高い買電価格の設定であります。いまひとつは米国などで取られているようなクリーン電力の発電業者に対する減税や免税措置です。

ドイツでは、太陽光発電促進のために、2000年から他国に先行して極めて優遇効果の高い「feed-in tariff」と呼ばれている電力買取料金が適用になっています。この制度によると、太陽光発電を導入して電力会社に売電すれば、20年間の固定収入が保証されるのです。

この助成措置が奏功して、ドイツでは太陽光発電の導入が飛躍的に進み、その総発電能力は世界の太陽光発電能力の50%に達していています。そして現在ドイツ全体の総発電量の1%にしか過ぎない太陽光発電は、将来総需要の30%を占めるまでに拡大すると予測されています。

この気前のいい助成金付きの売電価格体系「feed-in tariff」は、早期の導入を促進するため、年度ごとに助成金の額が逓減していきます。後から導入すると売電価格は、低く設定されるという仕組みです。

今年は、制度見直し時期に当たっており、「この助成措置は過大であり財政を圧迫するのみでなく、太陽光発電装置メーカーのコスト・ダウン意欲を殺いでいるので大幅削減すべき」という議論がありましたが、急速な削減には太陽光発電装置産業の発展を阻害するとの反対意見が強く、結局2011年までに30%削減という案は10%レベルまでに緩和されました。

このままこの助成措置を続けると、助成金の総額が17兆円にも達してしまい、太陽光は他のクリーンエネルギー源に比較して競争力をまったく失ってしまうという計算も出てきています。

「feed in」の気前よさを永遠には続けられないという「feed back」がかかり始めたということでありましょう。