世界の動きを英語で追う

世界と日本の最新のできごとを、英語のキーワードを軸にして取り上げます。

IMFの最大懸念:IMF chief fears for world’s poor

2008-07-10 | グローバル組織
昨年Straus-KahnがIMF専務理事に就任した後、米国主導で推進されてきたネオリベラリズム政策を大きく転換させて、「IMFの最大課題は、格差是正である」と宣言しました。

これは同じく世銀総裁となったZoellick氏が「世銀の最大課題は貧困克服である」と宣言したことに呼応しています。まさに世界の大転換でありました。

この方針に沿う形で、洞爺湖サミット後の会見で、Straus-Kahn専務理事は、世界とりわけ貧困層を直撃しているインフレ対策を最優先課題にするべきであると強調しました。

今回のサミットでは、食糧援助は合意されましたが、そのための資金手当ては不十分な状態ですし、原油と食糧価格の高騰についての懸念は、二酸化炭素排出削減対策とともに、問題意識は共有されたものの具体策は実質的には先送りになりました。

Straus-Kahn氏は、世界の貧困層への配慮を強く示していますが、今回具体的な政策としては、

① 発展途上国政府は金融政策を発動してインフレ抑制に注力すべきこと
② 途上国の食糧輸出制限を解除すべきこと
③ 途上国で行われている燃料価格を抑えるための助成金の削減すべきこと

を示したにとどまりました。しかし、これは昔のIMFとWTOの政策そのものです。


オバマ右旋回 'not just flip-flop but betrayal'

2008-07-10 | 米国・EU動向
米国民主党の大統領候補に正式に決定したオバマ氏が、中道から右の選挙民の票を強く意識して、主張を変節(flip-flopping)させたとの、党内外から批判が出ています。

オバマ氏はこうした批判に対して、「非難している人は、わたしの発言をきちんと聞いていない」と反論しています。

問題とされているのは、左右で意見が大きく異なる、堕胎容認・銃所有制限・令状無しの電話盗聴捜査権などです。

しかし最も注目を集めているのは、「イラク戦争の終結と16ヶ月以内の完全撤兵」方針に関わる問題です。イラクの治安強化のために行われた集中増派の効果が出ている状況を前にして、オバマ氏は「イラクへの現地視察を行い、現地駐留軍司令官と対話をすれば、方針を'refine'することになるだろう」と発言しました。

この'refine my policies'は微妙な表現で、いくらでも解釈可能な言葉でありますが、オバマ氏は非難の嵐に「撤兵問題のことを言ったのではない」と釈明しています。

撤兵するのかしないかを意味したのか、そうでなかったのかという詮索よりも、あれほどはっきりものを言って、「change-変革」を主張してきた同氏が、曖昧な物言いをする人に、「変化」したことのほうが大きな問題かもしれません。