ピピのシネマな日々:吟遊旅人のつれづれ

歌って踊れる図書館司書の映画三昧の日々を綴ります。たまに読書日記も。2007年3月以前の映画日記はHPに掲載。

ストーリー・オブ・ラブ

2008年01月19日 | 映画レビュー
 原題は「わたしたちの物語」。
 これ、「そうそう、まさにわたしたちの物語よ!」と食い入るように画面にかぶりついてしまう観客は多いのじゃないかな、結婚15年以上なら。これが「わたしたちの物語」と思えない夫婦は幸せだ。そういう人はこの映画を見る必要はないので最初の30分までで見るのを止めてけっこうです。

 ここに描かれた夫婦の葛藤はあまりにもありきたりで、「ドラマ」でもなんでもない。結婚15年を迎える一組の夫婦が、子ども達の不在をきっかけに試験的に別居に踏み切る。そのまま二人は離婚するのかどうか? この、ありきたりの倦怠期の話をロブ・ライナーはベルイマンのようにギリギリと追いつめることなく描いていく。だから、ここに描かれる夫婦喧嘩のたわいのない内容には思わず苦笑したり、身に覚えがあると思って首肯したり、とにかくどこか安心して見ていられるドラマの「リアリティと嘘」のバランスのよいシャッフルが感じられる。

 脚本はよく練られていて、会話が小粋で、特に中年女たちのあけすけな話にはドギマギしながらも小気味よさに笑えるし、なかなかうまく作られた一作だ。

 ただし、先にも書いたように、他者同士の葛藤たる夫婦の関係についてはこの映画は深く追及しない。そこがベルイマンとの違いで、そういう意味では窒息しそうなベルイマンの緊張感はここにはなく、それだけ安心して見ていられるというもの。

 この映画の結末を是として受けとめられるかどうか、リトマス試験紙として試してみたい方はぜひご覧ください。(レンタルDVD)

----------------

THE STORY OF US
アメリカ、1999年、上映時間 96分
監督: ロブ・ライナー、製作: アラン・ズウェイベルほか、脚本: アラン・ズウェイベル、ジェシー・ネルソン、音楽: エリック・クラプトン、マーク・シェイマン
出演: ブルース・ウィリス、ミシェル・ファイファー、リタ・ウィルソン、ジュリー・ハガティ

最新の画像もっと見る