福島県内の子ども130人を対象に実施した健康調査で、10人の甲状腺機能に変化がみられたことが2011年10月4日分かったそうです。このうち、2人はサイログロブリンが高値との事ですから、今後は甲状腺腫瘍(癌)疑われるのではないでしょうか?また、臨床検査で経時的にサイログロブリン値が上昇する子供達が増えてくるようであれば、多数の甲状腺腫瘍(癌)が発生する可能性もあるだろうと考えています。
長野県松本市の認定NPO法人「日本チェルノブイリ連帯基金」と信州大病院が福島県内の子ども130人を対象に実施した健康調査で、甲状腺ホルモンが基準値を下回るなど10人の甲状腺機能に変化がみられたことが4日、同NPOへの取材で分かった。
福島第1原発事故との関連ははっきりしていない。同NPOの鎌田実理事長は、25年前のチェルノブイリ原発事故では約5年で小児甲状腺がんの発症がピークを迎えたとして「現段階で病気とは言えないが、長期的な経過観察の必要がある」と話している。
同NPOによると、調査は7月末から8月末にかけて実施。原発事故で福島県から避難し、長野県茅野市に短期滞在していた当時0歳から16歳の子どもが医師の問診と血液、尿の検査を受けた。
1人の甲状腺ホルモンが基準値を下回ったほか、7人は甲状腺ホルモンの分泌量を調節する甲状腺刺激ホルモンが基準値を上回った。さらに2人は、甲状腺組織が壊れることなどで血中濃度が高い数値を示すたんぱく質「サイログロブリン」の濃度がやや高かった。
10人の居住地の内訳は警戒区域が3人、9月30日に解除された緊急時避難準備区域が1人、避難の指定区域外が6人だった。甲状腺は成長に関する甲状腺ホルモンなどを分泌。子どもは放射性ヨウ素が集まりやすく、蓄積すると甲状腺機能低下症や甲状腺がんになる可能性が高まる。
さて、サイログロブリン値は臨床的に甲状腺腫瘍の腫瘍マーカー(腫瘍の存在を知る手がかり)として用いられています。また、放射能による健康への影響を知る上では、WBC(ホールボディカウンター)はあまり役に立たず、血液検査や尿検査、腫瘍マーカー、心電図(放射性セシウムによる心筋障害)検査など一般臨床検査が早期発見に有効だと私は考えます。
サイログロブリン(Tg)は甲状腺濾胞細胞で合成される蛋白質で甲状腺濾胞に蓄えられています。甲状腺が刺激されるとTgは細胞内に取り込まれ、蛋白分解酵素の働きで分子がこわれ、甲状腺ホルモン(T4、T3)として分泌されます。
正常の状態では血液中にはほとんど出ていきませんが、甲状腺腫瘍がTgを産生する場合に血中濃度が高くなることから、腫瘍マーカーとして用いられています。
サイログロブリン
臨床意義 | ||
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異常値を示す疾患 | ||
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参考文献 | ||
森田新二, 他:医学と薬学49(5): 797~805, 2003 | ||
西川 光重 他:日本臨床 53-増-380~383 1995 |
チェルノブイリ原発事故での放射能汚染地図と甲状腺がん患者の数
長崎大学大学院医師薬学総合研究科 原爆後障害医療研究施設
チェルノブイリなどの過去の例からも、放射能による癌や白血病や心筋障害による不整脈や心筋梗塞の増加による死亡や健康被害の大量発生は数年後(約3年後から爆発的に増える)からと予想されます。2011年3月12日の福島第一原発爆発事故以来、私達は放射能による影響を受けて暮らす事になりました。放射能の内部被曝を避け、体調不良などに注意して生活する必要があるでしょう。