最終章第4話が公開される二年四か月前に、「冷泉麻子および園みどり子の高視力」という文を書きまして、園みどり子がその高視力を活かした何らかの働きを遂げるんじゃないかな、対BC自由学園戦にて橋通行時に敵の伏兵の存在を最初に察知したように、敵の攻勢を察知して味方のピンチを辛うじて救うというような、そういう活躍をなして、勝利への流れを僅かながらに掴んでゆくのではないか、と予想しました。
その予想は、ほぼ当たりました。カモさんチームメイトの後藤モヨ子と金春希美が「そど子にできるのは憲兵くらいでしょ」とか「秘密警察」などと辛辣な評価を下していたのも、全て外れだった、と思います。上から目線で取り締まりまくるただの風紀委員長、ではなかったのでした。
園みどり子が、あんこうチームの脱落後の試合展開のなかで、角谷杏より指揮を引きついだ澤梓の作戦上でまず課せられた任務は、さらなる狙撃を繰り返すであろうヨウコの搭乗車Ⅲ号突撃砲G型の位置を突き止め、これを無力化することでした。
ヨウコ車の動向については、既に冷泉麻子が2キロの距離にて発見していたものの、あんこうチームが撃破されたことによって見失ったようです。その後も試合は続いて両軍の兵力がそれぞれに移動しているため、ヨウコの姿も再び雪原の中に消えてしまっていました。それを再び発見することは、大洗女子学園チームにおいては、冷泉麻子と同等の高視力を持つ園みどり子にしか出来ない困難な仕事でした。
だから、澤梓の分離作戦も、ヨウコ車の捕捉無力化を念頭におき、園みどり子の高視力に賭けて一隊を構成して任せるという判断で採られたのでしょう。
継続高校に勝つには、どうしても狙撃者の排除が不可欠であり、ヨウコ車の位置が判明するまではいかなる次の手も打てない状態でした。だから、澤梓率いる本隊は相手の主兵力を引きつけて牽制する、一種の陽動作戦に専念しており、何か仕掛けるような動きは一切封じていたわけです。
そして園みどり子も上図のごとく、頭部装着式の双眼鏡を使用してヨウコ車の位置を一生懸命に探し、ついに発見したわけでした。
その搭乗車B1bisと共に行動していたのは、ヨウコを誘い出す囮の役目も担ったフラッグ車のアリクイさんチーム三式中戦車チヌと、護衛および攻撃担当のカバさんチームⅢ号突撃砲F型でしたが、それらのメンバーのなかでは園みどり子と日吉葵が3年生で、園みどり子が風紀委員長として生徒会長に次ぐポジションにありました。
したがって、この3輌の小隊のリーダーは園みどり子になるわけでしたが、本人もそれを自覚していたようです。ヨウコ車を追撃する途中に色々と僚車に向かって喋っていますし、フラッグ車がヨウコに狙われてかすり弾をくらって横転転落し逆さになってしまった時には急いでカバさんチームに指示を出して救援に向かっています。
続いて、ヨウコ車の護衛たるユリのKV-1Eとの格闘戦においても、とにかく指示を出してはフラッグ車をかばい続け、撃破されつつも「何としてでも生き延びなさい」と叱咤しています。ただの「憲兵」や「秘密警察」ならば、こんな指示は出来ません。
ヨウコ車は、結果的には同じⅢ号突撃砲のカバさんチームが劇場版の「マカロニ作戦ツヴァイ」を再現して見事に撃破しましたが、これも園みどり子の発見捕捉とその後の接近戦における的確な指示があったからでしょう。
なので、上図の意気軒昂たる表情は、重要な任務を帯びた一小隊を率いる責任感と高揚感に裏打ちされたものであったのだ、と分かります。直後には作戦目標であるヨウコ車の捕捉と無力化を達成しているわけですから、この闘争心溢れるスタンスは重要でした。
もともと大洗女子学園チームは、他校チームと比較すると、割合にメンバー間の連携力と応用力が高いようです。
だから、これまでにも色んなピンチに協力して対応出来ていますし、急造で別働の小隊を編成しても、劇場版の「どんぐり小隊」のようにすぐに順応して作戦行動が出来るわけですが、もうひとつ、園みどり子のように、小隊指揮官として臨機応変に働けるメンバーが少なくないというのも重要なポイントでしょう。
以前の予想では、高視力を活かして何らかの働きを遂げるんじゃないか、と述べましたが、実際には高視力だけでなく、風紀委員長としての責任感と経験に裏打ちされた高いアシスト能力も最大限に発揮していたのだ、と思います。
そのイメージで園みどり子を捉えなおして見ますと、その澤梓との連携のさまは、あたかも西住みほと冷泉麻子のコンビネーションを連想させます。事実、能力的にはほぼ同等に近かったのでしょうし、だからこそ、あんこうチームを失ってもなお、大洗女子学園チームは揺らぐことなく戦い続けられたのだ、と思います。
頑張ったな、そど子!