2023年12月の模型サークルの定期会合は、事情により忘年会と同じ日に行われたため、普段は参加しないメンバーも多数顔を見せて賑やかな集まりになりました。ガルパン同好会のほうも4人全員が久しぶりに集まったので、めいめいに今作っているガルパンプラモデルの進捗度などを話し合ったりしました。
その際に、4人のなかでは一番若くて新規ファンにあたるS氏に「星野さん、聖グロのクルセイダーって作ったんですよね?」と訊かれました。
「もう5月に作ったよ、3両とも。でもレポート遅れ気味でしてね・・・」
「いまは12月29日ですよ、レポートが7ヵ月経ってもまだなんて、遅れ気味ってレベルじゃないんですけど・・・」
「いや、ほんま、申し訳ない。正月以降に書きます」
ということで、2024年のガルパンプラモデル製作レポートは、上図の聖グロリアーナ女学院チームのクルセイダーMk.Ⅲからスタートすることになりました。3両とも、と言ったのは、2023年5月当時手元にあった3種類のキット、ボーダーモデル、タミヤ、イタレリの製品を比較検証のために連続で作ったことを指します。
周知のように、クルセイダーは初登場が劇場版でしたが、御覧のように最初から複数で一小隊を構成してのスピーディーな行動ぶりを見せており、当時はかなりインパクトがあったと思います。ですが、劇場版の頃は適応キットがイタレリ製品しかなく、それも模型店では見かけない希少品に属して入手が大変に困難でありました。
それで、劇場版からしばらくの間は手元にキットが無く、なかなか確保出来ないでいるうちに製作意欲も湧かなくなり、そのまま二年が経過して最終章シリーズの第1話の公開時には、殆ど忘れていました。その後にタミヤから新製品がリリースされ、その四年後にボーダーモデルの製品が発売されてそれが公式キット化されました。
そのタミヤとボーダーモデルの品は発売日の直後に買いましたが、イタレリの品はかなり以前にガルパン仲間に頂いたものをサークル仲間の要望で譲渡していたものが、やっぱり作らないから、という理由で返還されてきたため、期せずして3種類の適応キットが手元に揃うことになりました。
それで、嫁さんが一度それらを開けて中身をチェックして、タミヤの製品はイタレリからのOEMだが、形状の違いが修正されている改訂版であること、ボーダーモデルのは完全な新規開発でパーツ等が全然違うこと、などを話してきました。
それを聞いて、要するにイタレリ系とボーダーモデル系の二種類のキットがあるわけだ、それぞれの特色を、作りながら比較検証とかしてみるのも面白そうだ、と思いついたのでした。それが2023年4月のことで、その翌月には3つのキットを連続して製作したのでした。
製作して半年後に最終章第4話が公開され、上図のようにクルセイダーは相変わらずの小隊規模での活発な動きを見せてくれました。その仕様は劇場版とあまり変わっていないようですので、既に完成した3種の適応キットのそれぞれを眺めては、このまんまなんだな、と思ったのを覚えています。
5月の制作の時点で、3つのキットを連続で作るにあたって基本的な方針を決めました。まず劇中車に最も近いボーダーモデルのキットは、なるべく劇中車に合わせて作ること、続くタミヤのキットは目立つ部分のガルパン仕様のみを再現するにとどめること、そして最も古くて形状が異なるイタレリの品については、ストレート組みとして形状の異なる部分だけをパーツ差し替えで修正すること、としました。
なぜそのようにしたのかといいますと、各製品ごとの特長を比較検証し、かつ完成後も識別できるようにしたかったからです。全部を劇中車仕様に合わせるのも面白いですが、どのキットを使っても劇中車仕様への改造・変更のポイントは共通していますので、同じ作業を三度繰り返すよりも、それぞれのキットのオリジナリティをある程度残しておくことで、完成後の比較が楽しめるようにしたほうが良いかな、と考えたからです。
それで、イタレリの品に関しては、車体パーツの形状がもともと異なるので、タミヤカスタマーに車体のパーツだけを注文して取り寄せましたが、車体パーツだけのバラ売りは無くて下部車体パーツ以外の全てがパッケージされている状態で届きました。イタレリからのOEMなので、そのパッケージ包装のままで提供するしかない、との事でした。
それには砲塔も履帯もみんな入っているため、パーツがほぼ1両ぶん余ってしまうのですが、その後の製作でさらに幾つかのパーツが必要となったため、ある程度の数が活かせる結果となりました。
かくして3両連続制作の最初は、上図のボーダーモデルのキットと相成りました。これはプラッツからの公式キットの元製品で内容も同じであるため、公式キットがどんなものかを知るにも最適でした。
ただ、履帯だけはボーダーモデル特有のおそろしく細かくて精密で組み立てに骨が折れるという代物なので、この種の組み立て式の履帯が超苦手な自分としては、手を付けないことにして、タミヤカスタマーから取り寄せたイタレリキット向けのパーツ群のなかにベルト式履帯も含まれて余っているのを活用することにしました。おかげで相当の作業量削減が出来たと思います。
中身です。ボーダーモデルの製品を扱うのはこれが初めてでした。中国のメーカーですから、ドラゴンやホビーボス並みの細かなパーツ割りなのだろうと思いきや、意外にもタミヤイタレリのようなあっさりとした構成でありました。履帯だけが無駄なほどに細かくて作りにくそうな感じでしたが、これはイタレリのベルト式パーツに差し替えますから、いささかの懸念には及びませんでした。
組み立てガイドです。表紙のイラストはパッケージと同じでカラー印刷です。これ一つとっても日本のメーカーは中国のメーカーに既に負けています。日本製のキットでカラー印刷の組み立てガイドを見たことは全くありません。
紙も上質でサイズも国際標準のA4サイズです。開いてみると図面は上図のように余白も多いゆったりとした配置で、大きくて見やすいものでした。日本製品も見習っていただきたいものですが、開発にかける資金が少ないために、中国メーカー製品のような贅沢が不可能なのでしょう。
ステップ1では下部車体の足回りの基部を組み立てます。ここはガイドの指示通りに進めます。
ステップ2では各所の部品を組み立てます。C以外はガルパン仕様への改造が必要です。詳細はそれぞれの工程で紹介します。
ステップ1で組み立てる下部車体とサスペンションのパーツ類です。
組み立てはガイドの指示通りに進めましたが、パーツの一部に反りがあったため、上図のようにテープで固定しての接着となりました。
なんとか組み付けました。
さらに組み立てを進めました。
組み上がりました。
ステップ2に進みました。まずAのエアクリーナーとされる部品を組み立てました。エッチングパーツのY10は、劇中車に見えないようなので省きました。入れ替わる形でガルパン仕様独自の外板をプラ板で追加することにしましたが、組み付けの段取りがいまひとつイメージ出来なかったため、追加改造は後で行なうことにして、ガイドの指示通りに組み立てました。
右側の部品が組み上がりました。
続いて左側の部品も組み上げて、左右の一対が完成しました。ガルパン仕様への追加改造は、後のステップにて併せて行う予定です。 (続く)