大洗模型展示会の続きのラストです。上図はティーガーⅡのフルインテリアキット作品ですが、1/35ではなくて、その倍以上のサイズがあって迫力充分でした。ティーガーⅡのフルインテリアキットといえば、大きいものはトランぺッターの1/16スケールの製品が知られます。たぶん、その作品なのだろうな、と感心しつつしばらく眺めていました。自身の制作の参考になる、と思って細部まで観察しました。
というのは、私自身のガルパン車輌製作も2022年6月時点で予定数の約80パーセントに達して、未製作の分も今年のペースで作り続けていれば、来年には大体仕上がるものと見込まれており、それと並行してフルインテリアキットに色々チャレンジしてみたい、という気持があるからです。
インテリアキットというのは国内外のメーカーから多くが出ていますが、大半はエンジンが省かれています。エンジンも含めて完全に再現されたフルインテリアキットは、まだここ数年でも数えるほどしか出ておらず、いま市場に出回っているのはここ2、3年の間に開発された新製品ばかりです。なので、先行作例もあまり見かけず、模型雑誌などてもフルインテリアキット制作のノウハウを紹介した記事はまだ見た事がありません。
なので、私の製作においてもフルインテリアキットというのは試行錯誤の連続で、模索の途上にあります。既に軽戦車クラスは幾つか作っていますが、1個を作る度に色々悩んだり失敗したりしています。エンジンが省かれているキットを、エンジンも補完して作るという作業も2度ほど経験しました。実車に乗った方の教示によってその車輌の内部を完全再現したケースもあります。ですが、経験値がそれらによって上がったという実感は無く、塗装しながらの組み立ての段取りもまだ慣れなくて、色々と無駄な工程を繰り返してしまいます。
だから、中戦車以上のクラスになると、まだきちんと完成させたものが1輌もありません。これからです。それを察してか、サークル仲間や交流仲間のモケジョさんから幾つかのフルインテリアキットをプレゼントされています。しかし、それらを作れるほどの技量はまだついておらず、課題は頭を抱えるほどに山積みです。
例えば上図のような、インテリアを見るための車体の分割というのも、どうやって行なえばよいのか、パーツの分割配分をどのように按配すれば隙間なく組み立てられ、また楽に分解出来るのか、といった事柄がよく分かっていません。大体は作品にぶつかって体験し試行錯誤するプロセスの上で見えてきて、それの積み重ねで会得するものであるのだろう、と思いますが、しかしその道のりは、いまの自分には途轍もなく長く、遠く、辛いものに感じられています。
ですが、確実なのは、それらを乗り越えた頃には、私の「戦争」は間違いなく終焉に向かうということです。そのあとの「平和」を夢見て、ただ精進努力し研鑚邁進するしかありません。
会場で久しぶりに会ったガルパン仲間のSさんと一緒に観賞していたなかで、Sさんが特に褒めていたのが上図のフィギュア作品でした。何故かと言うと、Sさんはツイッター上にも作品を色々挙げているガルパン絵師の一人であるのですが、その画風やタッチは、上図のフィギュア作品のようなリアル系に属するからです。親近感を持っておられるのだろうな、と感じました。同道のTさんを紹介しましたところ、Tさんも絵は色々描かれる方なので、なにか話が盛り上がっていたようです。
ぐるりと会場を時計回りに一巡して最後のコーナーが、恐るべき継続高校ウイスコ舟艇の男こと、Hさんの作品展示で占められていました。劇中シーンを色々と再現することに関しては今回の出品者のなかではトップクラスの技量と創意工夫のアイデアを持っておられるHさんですが、ちょうど御本人を見かけましたので、挨拶して作品の説明を受けたりしました。上図のジオラマは、親善試合に負けての罰ゲームのアレですね。あんこう踊りですね。
こちらのジオラマに関しては、右のフィールドキッチンが名札にはミニアートのKP-42とあるのが気になりました。外観はどうみてもKP-43に見えました。KP-42は丸い鍋ですが、KP-43は鍋を方形の外枠で覆ってあるからです。KP-43のキットはマケットから出ていますが、いまでは希少品で入手困難であるため、HさんなりにKP-42をベースにKP-43へ改造したのでしょう。
ところで、RF-8の斜め後ろ、フィールドキッチンの奥のスペースが空いてますが、そこには劇中ではレンガ建物の壁が見えたように記憶していますが・・・。RF-8の邪魔になるから省いたのてしょうか。
これらのフィギュアも全てHさんの作品です。私が「もしかして、これまでの作品ほとんど全部を持ってきたんですか」と訊くと、そうだ、と頷きました。10円玉銅貨色の車が運転席以外は一杯になったそうですが、久しぶりの大洗での模型展示会ですからHさんなりに完全燃焼モードで気合を入れて出品したのでしょう。
Hさんのガレージキット作品は、ほとんどが市販品ではなく、ワンフェスなどでの限定購入品であるそうです。確かに見た事のないキャラクターフィギュアが殆どで、しかもスケールサイズがまちまちでした。原型の作者ごとにスケールサイズを決めているからでしょう。こういう品々は、例えばガルパンキャラクターといった分類というかカテゴリーでサイズを統一して開発する、といった流れは不可能であるのでしょうか。
Hさんのコーナーの隣の、別の方の作品に、そのガレージキット製品の原型なのか試作品なのかわかませんが、塗装前の状態のものがありました。こちらはTさんが色々と話を聞いていたように記憶しています。名札を見て、作者がどうやら同じ京都の方のようだと気付きましたが、その名前に心当たりはありませんでした。
私の場合、ガルパン模型関連の仲間はサークルと交流サークルのそれに限られ、しかも嫁さんの所属サークルを介して関西地区の幾つかのモケジョさんのサークルやチームとも交流があるため、ガルパン関連の模型有志に関しても知り合いは女性のほうが圧倒的多数を占める、という特殊事情があります。だから同時期に開催された模型女子の合同内覧展示会に特別出品を依頼されたりするわけで、過去にはガルパン模型の講師を頼まれたことも一、二度ではありません。
なので、今回の大洗模型展示会にも京都を含めた関西からの方々は何人か居られたのでしょうが、その全員を知りませんでした。もともと交流をあまりしない方々のようなので、話どころか、会わずじまいとなりました。
再びHさんのコーナーに戻りました。上図は、戦車道連盟の試合結果確認機、銀河です。フランシスですが、何型だろう・・・。11型かな、16型かな?先鋭的前衛芸術モデラーのHさんのことだし、ヤギウダっぽい機首の電探もあるし、夜戦の21型?・・・でも、斜銃がどこにも付いてないので違うのかな?
銀河といえば、個人的には松本零士さんの戦場まんがシリーズの何話だったか忘れましたが、サイパン島の米軍飛行場を爆撃して、どこからかやってきた雷電の戦闘機隊に護られて、無事に帰還するという話がいまだに印象に残っています・・・。
パッと見た最初は、夜戦の月光かと思ったのですが、塗装が海軍じゃなくて陸軍のカラーなので、二式複戦の屠龍だと気付きました。滝沢聖峰さんの「迎撃戦闘機隊」に出てきますね。ニックですね。最終章が初登場だったかな。
この屠龍のエンジンとプロペラが大洗の沖合から引き揚げられて那珂湊運動公園の近くに保存されていますが、これがガルパンに屠龍が出ていることの契機でしょうか・・・?
こちらは親善試合後の大洗女子学園チーム5輌の移送シーンの再現作品です。しかも2種のスケールでそれぞれ同じように再現するというのが面白いです。こういう変化球スタイルの再現製作がHさんは得意なようですね。私には絶対に真似できない領域の芸当です。何よりも、これだけの長さと量がある作品を収納出来るスペースがウチにはありません。逆に言うと、こういう作品を作れるほどに、Hさんの家は広いのでしょう・・・。
このコーナーの見学がラストでした。Sさんは既に先に退出されており、それに続くような形で、NさんとHさんに挨拶して会場を後にしました。 (続く)