ひびのあれこれ・・・写真家の快適生活研究

各種媒体で活動する写真家の毎日。高円寺で『カフェ分福』をオープンするまでの奮闘記、イベント情報などをお伝えします。

熊野4日目

2008年02月21日 | Weblog
5時起床。日の出に間に合うように波田須へ。波田須は徐福が上陸したという伝説の地。徐福の宮を守るように立つ大楠の木がシンボリックだ。この日は、朝日がちょうど大楠の木の内部から産まれ出づるように昇ってきた。変わりゆく空の色をゆっくりと眺めながらの撮影。そして伊勢路である「波田須の道」へ。ちょうど光が射し始める時間帯、鎌倉期のものと伝えられる古い石畳の道が幻想的に浮かび上がる。
民宿「しずか」に戻り朝食。民宿を切り盛りするおばあさん手作りの素朴なおいしい食事だった。京都出身のおばあさんは粋な方。昔の苦労もけろっとした口調で、お話を聞いていて清々しい気分になる。もっと話していたいような、後ろ髪を引かれる思いで宿を後にして、新宮へ移動。
2時、速玉大社へ。鮮やかな朱で塗られた社殿が熊野の旅に色を添える。ここでのポイントが熊野権現の御神木とされる天然記念物指定のナギの大木。ナギの葉はとても強く、簡単に破けないことから、男女の縁が切れぬよう、また道中の魔除けとしてお守り代わりに身につけたそうだ。
大社前の駐車場脇のお土産を扱う小店が並ぶ一画へ。ここで販売していたみかんストレート果汁100%ジュース、すばらしい。1本1200円だが、その価値あり。以前南紀白浜の「とれとれ市場」で購入した「味一みかんジュレ」も傑作。特に、中に「てまり」のみかんが丸ごと一個入っているジュレは感動もの。この一画はレベルの高いお土産屋が揃っているので、時間がない時はここで調達するとよい。
本日のお宿、青岸渡寺の宿坊「尊勝院」へ。車での入口が分からずちょっと迷子になる。寒さを心配していたのだが、部屋には炬燵と石油ヒーターが用意されていて全く問題なし。宿坊だが、普段は特に精進料理というわけではないそうで、民宿のお食事のような内容。味は程よく量も適当、おいしくいただく。食事の後、「コーヒー欲しいんとちゃうか?」と声をかけてくれたり、隅々まで至れり尽くせり。もう一つびっくりしたのが、宿坊なのに禁煙ではないこと。禁煙覚悟だった愛煙家の相棒は大喜びだった。しかしこの宿坊の一番すてきなところは、宿を守る方々の優しさだろう。我々が取材だから特別扱いというわけではなく、全ての宿泊客に満遍なく気を配り優しい声をかけてくれる。想い出すたびにまた訪れたい気分にさせてくれる宿だった。