小説の感想です。
『奇跡の人』(真保真一著、角川書店もしくは新潮文庫)
何日か前の日記に書いたと思うのですが、今わたしの中では山崎まさよしが熱いです。その一環として、以前山崎まさよしが出ていたドラマ『奇跡の人』を思い出し、原作を読んでみました。
主人公相馬克己は、22歳の時に交通事故により意識不明の渋滞に陥り、一時はほぼ脳死状態に陥った。しかし彼はほぼ絶望的と見られていた状況から奇跡的に回復し、意識を取り戻す。だが、彼は命を取り止めたのと引き換えに、全ての記憶を失っていた。克己の母は決して諦めず、赤ん坊と同じ状態に戻ってしまった克己を文字通りもう一度育てなおした。
入院から8年が経ち、母をすい臓がんで亡くした克己は、中学1年生程度の知能レベルにまで成長し、退院の許可が出る。民生委員の手助けを得て仕事も決まり、社会に馴染もうとする克己だったが、22歳までの記憶をすべて失った彼にとっては、帰宅した家も近所も、何もかもに馴染みがなかった。
ある日、家の中を整理していた克己は、写真などはあるのに自分の卒業証書がないことに気づく。調べていくうちに、どうやら自分はもともとこの家に住んでいたわけではなく、入院してからこちらに引っ越してきたのだということに気づく。死んだ母はそんなことは何一つ言っていなかった。何故隠そうとしたのか。もしかして、自分の起こした事故で誰かが巻き込まれたりしたのだろうか。
疑問を抑えきれない克己は、己の過去を知るためにかつて住んでいたらしい東京を訪れ・・・?
というようなお話。
・・・あれ、なんかドラマと全然違うよ?
まあ、ドラマ化や映画化は同タイトルの別モノと捉えたほうがどちらかに執着のある人にとってはいいのかもしれません。
で、小説の感想ですが、いきなり冒頭から泣けます。お母さんが克己に宛てた手紙から始まるんですが、これが泣かせます。ああダメ、わたしは親子モノとかホントに弱いのです。
お母さんという大きな支えを失ってしまった主人公が、それでも頑張って生きていく話なのかな~と思っていたら、事故以前の状況を探りに上京したあたりから話は一変。そこまでやらなくてもと何度突っ込んだことか。というか、上京してからの立ち回りのうまさは明らかに中学生レベルの知能じゃないよ。
後半に行くにつれ、内容的に読むのが辛くなってきて、ああ、ものすごいイヤな終わり方するのかな~と思っていたのですが、かろうじてそうはなりませんでした。よかった・・・いや、あれの終わり方もどうかとは思いますが。
彼はかつて愛した女性に会いたくて話がしたくてたまらなかったのですが、どうも双方やり方がまずくて・・・うーん・・・。どっちの気持ちもちょっとずつ分かるけど・・・うーん。
やっぱりわたしはハッピーエンドが好きです・・・。
山崎まさよしのドラマももう一回観たいな~。主題歌『僕はここにいる』大好きです。でもDVD17,955円かぁ・・・。レンタルないかなあ。