GABACHOP〜あがんにゃな日々〜

趣味について、日記がてら。

縫製人間ヌイグルマー

2012年01月09日 | 小説
大槻ケンヂの小説『縫製人間ヌイグルマー』(角川文庫)を買ってきました。

同氏のエッセイは良く読むのだけど、小説は『くるぐる使い』以来。

のほほんとしたエッセイならともかく、真面目な調子の小説の場合、オーケンの顔がちらついて感情移入し辛いんですよ…。

とはいえ、特撮(=オーケンのバンド)の同コンセプト曲『ヌイグルマー』の秀逸さも手伝い、思わず購入してしまいました。

家に帰って、冒頭だけ読もうとパラパラ。

すると、なんだ、これ。

あまりの面白さに、そのまま完読!

ホラー&スプラッタテイストの中に、ひねた文体と、ヌイグルミの醸し出す可愛さと哀愁が最高のエスプリとなり、真似のできない世界観が現出。

ところどころに配置された心地好い頓知が絶妙で、と言って難解さは全くなく、非常にサクサク(オーケン風)読み進めることができます。

こりゃたまらんっ。

「不必要にヒラヒラのついた服」「赤ちゃん人間」「綿いっぱいの愛を」など、オーケンファンならトキメキ間違いなしのキーワードも豊富に散りばめられていて、思わずニヤニヤ。

『ドーベルマン刑事』のマグナムを装着した片腕ロリータに対し、ヌイグルミのブースケが風車の理論を駆使して対峙するシーンなど、読み手の想像力を絶頂の域までまで導く名場面も続出。

“人類の危機を救うべく、ぬいぐるの超人が高円寺~中野間を愛と血と綿と炎で多いつくす”

活字嫌いにもオススメできる一冊!





ぼくと1ルピーの神様

2009年05月05日 | 小説
映画『スラムドッグ$ミリオネア』の原作小説『ぼくと1ルピーの神様』を買って来ました。

登場キャラの名前や設定がかなり違い、また訳者が女性のためか、映画版と比べてかなりソフトな文体になっているため、復習のつもりで読んでも良いことはなさそうです。

小説としては、サクサク読めておもしろく、寝る前の一冊には持って来いの内容。オススメです。




へらへらぼっちゃん

2007年10月05日 | 小説
 パンクロッカー兼作家、町田康(まちだこう)の小説にはまっています。

 僕が町田作品ではじめて手に取ったのは『へらへらぼっちゃん』なるエッセイ集。一話目の「旅人・遊び人」を立ち読みしてみました。



“遊んで暮らしたいなあ。考えていると電話が鳴る。出てみれば、一応の面識はあるが、さほど親しくはない年少の知人。用件を話す。用件が済んで切りぎわ、世慣れた調子で吐かす「今度遊ぼうよ」憤激する小生。遊んで暮らす、ということが大変にむつかしいというのは、このようなふざけた輩が居りやがることからも知れる。”(以上引用)

 遊んで暮らしたいのに、誘って来た友人に大して憤慨。不条理です。不条理なのだけど、なぜだかわからないのだけど、100%共感している自分に気づきました。

 いや、ちょっと待て、俺はこんなにもひねくれてないよ。友人に逆ギレって、なんだよそれ。もし俺が誘われたら、それはそれは喜んでかけつけ・・・。

 ん?あれ?・・・・。

 ・・・・。ない。・・・・。誘われた記憶がない・・・。なんということだ、友人を誘った記憶は多々あるのだけれど、誘われた記憶がこの数年一度もない!

 そう、このひねくれた性格が災いしてか、もはや友人と呼べる存在は数人しかおらず、その数人もこちらが思っているだけで、向こうが思ってくれているかは全くの未知数という、非常にせつない今日このごろなのです。

 そんな的確な自己分析をしているうちに、少しづつ自我が崩壊していく音が聞こえ始めてきたので、そんな自分をごまかすために、友人なんていらねえ、遊びなんてクソ食らえ、せいぜい弱者同士でなぐさめあっていればいいさ。いひひ。

 ・・・ごめん、やはり共感100%。

 というふうに、とてもおもしろいので、ぜひ読んでみてください。

 どんまい。