野に還る

ペンタックスをザックに
野山に花や鳥、虫たちを追う。
身を土に返すまでのほんの一時
さあ野遊びの時間の始まりだ。

2羽のトラ

2017-12-21 08:26:53 | 探鳥

 寒さが厳しくなると、月が鮮やかに見えてくる。昨夜は清冽な糸月が

西の空にかかっていた。今晩も雲の出はないようだから、凛とした

三日月の姿が見られるだろう。ついでに薀蓄を一つ。三日月のかけている部分が

淡く光る現象を「地球照」(ちきゅうしょう)というのだそうだ。「宙の名前」という本を

読んで初めて知った。尚、三日月は朝は東の方向に夕方は西の空にみられる。

新月が太陽とほぼ同じ位置を動いていくので、三日月は三日分(45度)だけ、太陽に

遅れて地球を回っていくことになる。因みに満月は14日分(180度)遅れるので

常に太陽と正反対の位置に見える。「名月や 月は東に 陽は西に」というわけだ。

 

 さて今日は埼玉と東京の間を流れる荒川沿いにある秋ヶ瀬公園。

ここ10年ほどは冬毎に数回訪れる公園だ。訪ねたのは12月中旬になったばかりの日、

今年は山に雪が少ない影響だろうか、まだ冬鳥たちの出は少ないようだ。この日も

アオジやカシラダカ、ツグミなどは見られたものの、期待していたルリビタキや

ベニマシコには会えずじまい。その代わり嬉しいことに2羽のトラに出会えた。

 

 今は空き家になっているフクロウの巣の辺りを通りかかった時、

 

 

 一羽のトラツグミに出会った。向こうの方が先に気づいたようで警戒している。

 

 トラツグミはツグミ類の中でも最大で全長29cm。よく見られるツグミが全長24cmだから

それより一回り以上大きい。冬になると雪の積もった山地から低地に下りてきて

市街地の公園などでも時折見られるようになる

 

 夜になるとヒー、ヒョーと口笛のような声で鳴くので、物の怪の鵺(ぬえ)の声に例えられる。

茂みの中で餌を探していることが多いので、なかなかお目にかかれないが、全国的に繁殖はしている。

 黄色い体色に黒い斑点があることからトラの名がつけられた。

少し移動して角度を変えてみたが、依然と警戒心は解いていないようだ

 

 荒川支流のひとつに架かる橋までやってきた。

 

 ここには冬になるともう一つのトラ、トラフズクが数羽やってくる。繁殖地は本州中部以北で、

冬暖地や低地に渡ってひと冬を越すのだ。

 

 トラフズクは全長38cmとあるから、フクロウ類としては中型に属する。

川の対岸にある枝で昼寝中のようだで、時折そっぽを向いたり

 

 毛づくろいをしたりしている。

 結構離れた対岸に居るので、これ以上近づくことはできない。こんな時300mmの

レンズの限界を知らされる。まぁでも出会えて記録できただけでも嬉しい。

近くにいた大型のレンズで撮っていた人のお話では今年も4羽でやってきているという。

 

 今日の所はこの辺で。