Aチャンネル (4) (まんがタイムKRコミックス) 価格:¥ 860(税込) 発売日:2013-02-27 |
すげー面白かったです。この作品、たぶん、今が一番脂がのってる時期なんだと思います。
誤解を恐れずに言うと、この『Aチャンネル』って最初からずっと面白いことは面白かったんですが、ところどころ〝やりすぎ〟に思える描写があるせいで、イマイチしっくりこないエピソードも多かったんですよね。
わかりやすい例としては、トオルがるんちゃんに悪い虫がつかないよう、バットを振り回して男連中を追い回すとか、ああいうのはギャグの一形態だと理解したうえでなお「引く」要素のひとつでした。
それは作者の黒田bbさんも理解しているのか、巻を重ねるごとにトオルのいきすぎた振る舞いは徐々に影を潜めていたんですが、4巻ではついにそうした描写が一切なくなるという、ある意味では革命が起きたような状況になっております。
左のエピソードに顕著に表れていますけど、トオルのるんちゃんへの好意を「引く」描写から「微笑ましい」描写へと変質させているので、ぶっちゃけ4巻のトオルはえれぇ可愛らしいキャラになっているなーと感じました。
これまでは一度もトオルを良いと感じなかった僕がこんなふうに思うくらいですから、元々トオルを好きだった読者にとっても好ましい変化なのではないでしょうか。
他にも右のエピソードみたいに、これまでにない形でのキャラクターの掘り下げが行われた結果、トオルがすごく魅力的になっていると思いました。
まあ、ぶっちゃけコレって、「高校生になってるんちゃん以外の親しい友人ができたトオルが成長している」ということでしかないのかもしれないんですけど(トオルが成長しているというのは以前から示唆されているので)、僕としては、そういった作品の都合を超えたところにあるキャラクター描写の妙を感じた、ということです。
ここまでくるとさすがに邪推の域ですが、今回から編集さんが変わったのが良い方向に影響しているんじゃないかなあと思ったりも。少なくとも僕は、3巻までに比べるとひとつひとつのネタから感じる〝トゲ〟が少なくなったと感じたので、それがもし新しい編集さんのバランス感覚によるものであるなら大歓迎したいですけどね。
ちなみに、上では主にトオルの変化に触れましたが、同様の良い意味での変化は他のキャラにも起こっているというのを、4巻の感想のまとめにしたいと思います。
・るんちゃん
「どこか狂気すら感じさせる天然ぶりを発揮していた」→「微笑ましい天然キャラに」
・ナギ
「作中における唯一のバランサー」→「ここはあまり変化してない」
・ユー子
「生真面目すぎてトオルとは別の意味で浮くキャラ」→「こちらも表現が軟らかくなり好感触」
・トオルの友達
「行きすぎたトオル依存でお互いを蔑ろにしすぎ」→「キチンとお互いのことも尊重している」
・ケイ
「シスコンが極まりすぎてイマイチ」→「シスコンなのは変わらないがやはり微笑ましさを感じる」
うーん、全体的に表現が柔らかくなったのは間違いないと思うんだけどなー。
できれば5巻以降もこの路線を突き詰めていって頂きたいですねということで一つ。