僕の好きだったビクター製プロジェクシヨンテレビ。
それが故障した話は以前しました。
症状は 突然画面が薄暗くなって、画面の真ん中が暗くなって見えないというトラブル。
メーカーのサービスを呼んで見てもらうと、 心臓である映像エンジン部全部が駄目とのことで。
アッセンブリー交換で 約30万です といわれ、 さすがにそれだけあれば60インチ液晶テレビが
2台買える。
で、諦めて シャープのテレビに買い換えたのですが、
どうしてもこのテレビを捨てきれない僕は、もしかして直せるのではないか?と、デカイテレビを車
に乗せて職場へすたこら。
捨てる前に分解して 原因はなにか? 本当に直せないものなのか?を 調べることにしました。
で、驚いたのはその余りにもくだらない故障原因。
ユーザーをばかにしているのか? それともなめているのか? そうとしか思えないような原因
だったわけです。
早速トラブル原因を探るために、分解開始。 背面のネジを全部弛めます。

一応左右にある点検口も開けます。

ここから中が見えるわけですが、こんな感じになっている。
真ん中にある緑矢印の部分がレンズ。 全体的に埃がすごい・・・・・

ここが汚れると 映像に影響が出ます。
このレンズから出た映像は 背面の鏡に当たって、全面にある投影スクリーンに
照射されて テレビ画像として見ることが出来る様になります。
赤矢印が鏡、 黄色矢印は 映像の流れです。

さて、本体の背面カバーのネジを外すとコンポーネントが見える。

右上には ファンが見えていますが、 光源を使うテレビなので、 エアでの冷却が必要。
緑矢印は 温度センサー 冷却ファンの故障等でランプの温度が異常を示すと感知します。
水色矢印が ランプ電源の基盤冷却ファン、 赤、黄色、は上の反射室と映像ユニット間空気流通口です。
茶色矢印は排気で、ランプの熱はここから排出されます。

各基盤は、写真の様に かなりの埃でまみれている。

ユニット全体を取り出して見ましたが、奥は全体的に埃がびっしり付いている。

これが、このプロジェクションテレビの映像装置アッセンブリーです。
青矢印が映像エンジン基盤、とても重要。
黄色、赤矢印は エアの導通口です。

ランプ部の上部カバーを開けてみます。
二本の太い線は ランプ電源基盤から来た配線。

ランプ差し込み部から覗いてみたのがこれ、 手前のフィルターらしき物と ランプの光を拡散して均一にする加工が施されている
プリズムらしき物が有るのが分かります。 赤矢印の部分ですね。

上から覗きます。 緑矢印が加工されたプリズムらしきもの、黄色矢印はフィルターですね、多分。 赤矢印の部分はがらんどうで内部を空気が通ります。

ランプ部は 割と大きめのファンが付いていて、横からダイレクトに冷却するようになっています。
黄色矢印部分がそれ、 赤矢印のファンは ランプ電源基盤冷却用です。

さて、ここまでまったく異常はない(当たり前ですが)ので、映像エンジン部の点検にはいります。
上のエアスクープをとりはずし。

真上のから見るとこんな感じなんですが、プリズム部から出ている映像を投射するレンズがめだつ、でかい・・・・(笑)

で、冷却板を兼ねた、金属カバーを外すと見えるのが映像エンジン基盤。
臭いを嗅いでみましたが焦げたような臭さもなく、変色も無し、異常はありません。

この基盤から、GRBの色液晶素子に接続されているリボンケーブル配線をコネクタから抜くと、基盤アッセンブリーごと取り外します。
黄色矢印の中にプリズム部が入っている。 赤矢印は映像エンジン基盤

これがプリズム部、RGBの各色に分けた液晶素子があって、光に映像の色をつけて合成しつつレンズ部に送り込む
構造となっています。

ハイテクの固まり、 日本の技術を代表する 精密部分ですね。
黄色矢印が そのRGB液晶素子 水色の丸部分がプリズム部 ランプの光は赤矢印の方向から入り、レンズに出ていきます。
プリズム内の光の流れは複雑で、文章で表現するとえらい量である上に、表現しきれる物ではありませんので説明は省きます。
これはユニットになっているので取り外してみると
あれれ?????? なんじゃこりゃ~!
と驚き!
真っ黒に焼け焦げている。
場所は丁度ランプ光がプリズム部に入るところです。

焦げてしまっているのなら、ユニットとしては終わり。
なので、エッチャーという機械で焦げを落としていくと、シートみたいな物があるの事が分かった。
二枚重ねの薄いもので、外周は透明、 内側に行くほど曇っている。
わかりずらいですが、青矢印のがシートです。

ドライバー取り外して、エッチャーで焦げを取り除いたのがこれ、

しかし、何のためのシートなんだ???? 何で焦げるの???
と どうも腑に落ちず、もう一度ランプの光が通ってくる通路を見てみると、 レンズが見える。
で、この上のカバーを開けたら中にもう一枚レンズが入っていて、多分これにより
ランプ光を収束させているのだろうけど、焦げとの関連が全く分からない。

推測の域を抜け出ないんですが、 ランプの光を収束させるとかなり強い光になります。
プリズムに入る前に このシートを通る事になるのですが、 光の中に含まれている微妙な
紫外線成分が、シートを段々と劣化させた。
いわゆる白濁化というやつですが、透明から白濁化すると、どうしてもそこに熱が溜まりやすくなります。
紫外線劣化に熱が加わると、 今度は色が黄土色になっていく、
色が濃くなるので、更に熱が溜まり、とどめとしてランプを新品に交換した事によって際に強烈になった光
に対応しきれず焦げた・・・・
そういうことなのだと思います、恐らくは光の経路のどこかしらに紫外線カットフィルターなりを取り付けては
いるのだと思うのですが、完全ではありませんし。 何千時間も照らされていればプラスチックの
シートはどうしても駄目になります。
「なんだよ~! 」と半分怒りに震えるわけですが、 映像エンジンが駄目だといって、単にシートが
焦げただけで、「30万です!」と言われてもな~ 
このシートがガラスだったら、絶対に起きないという欠陥としか思えないような トラブルなんです。
なんでプラスチックシートなの・・・・・・ まったくもって理解できない。
これってリコール対象になるんじゃないかな????
ちなみに、このシートを取り除く際、プリズムに傷を付けてしまった僕。
何故なら、シートだと思わず、エッチャーとドライバーで焦げ部分をガリガリやってしまったんですね。
「あちゃ~!」と思うが後の祭り・・・・・ ただ、一応シートが問題かどうか?実証しないと収まらないので。

特殊な磨き布で 傷を取ります。

で、このくらいまで磨いたのですが、プリズム入り口が凹レンズ状態になってしまった・・・・(笑)

全体を再度組み直し、電源入れてみると、 あっさり復活。
ただ、今書いたようにプリズム部の入口部分を傷取りで凹にしてしまったいる関係で、 光が微妙にずれプリズム内部の色
が上手く合成できないらしい。
RとGは良いのだけど、Bが駄目で、 青色が上手く表示できないんです。
もしプラスチックシートなのだと知っていたら、焦げたシートだけを取り除けばプリズムには何の焦げも傷もないので、
あっさり復活できたはずです。
残念なことに、どうやってもプリズムのへこみ修正は出来ませんので、直すことはが出来ません。
せっかく直せたのに・・・・

しかし・・・・・・、ただのシート焦げ、 こんなのはプリズム部を持ち帰えって、 もしくはその場でシート交換して取り付けさえすれば
材料費数百円の コストしか掛からない物。
全交換しか方法が無いと言ってアッセンブリー交換で30万請求しょうとする、ビクターという会社の考え方が理解出来ない。
撤退したプロジェクションテレビ部門を完全に無くすためか?、修理費をつり上げてユーザーがテレビ修理を諦め、
”現存するテレビを早く無くしてしまおう” と考えているような気がしてならない。
昔のテレビ修理は トランジスタ一本、 コンデンサ一本の交換さえも半田ごて を持ってやってくれたんですがね。
いい加減としか思えない設計、 あたかもぼったくり すれすれのアフターサービス。
「いいんかね? これで?」、 今の日本の家電業界は。 