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78回転のレコード盤◎ ~社会人13年目のラストチャンス~

昨日の私よりも今日の私がちょっとだけ優しい人間であればいいな

◎『水曜日のダウンタウン』モンスターアイドル感想……“クロちゃんのフラれ芸”という新たな鉱脈

2019-12-27 03:45:53 | ほぼ週刊サンマイ新聞

豆柴の大群デビューシングル『りスタート』

 

 12月25日放送のTBS『水曜日のダウンタウン モンスターアイドル最終回』を観た。久々に腹を抱えて笑った。この番組の面白さについて、(1)番組の演出・藤井健太郎と、(2)音楽プロダクション「WACK」社長の渡辺淳之介、それぞれの異なる思惑を推測しながら解説する。

 

 まず(1)藤井の思惑だが、同番組で過去に放送した「フューチャークロちゃん」「モンスターハウス」などを観ても分かる通り、藤井が視聴者に見せたいのは“クロちゃんのゲスさ”であると言って良いだろう。クロちゃんの気持ち悪い言動がガチ過ぎて、特に近年の企画は“笑い”よりも“不快”の感情が先に来る視聴者も多く、事実BPOへの苦情にも繋がっているわけだが、それこそが藤井の思惑だと言っても強ち間違いではないだろう。

 お笑い番組を評論するコラムニストとしても知られる弁護士・高橋維新氏は以前、自身のブログこのような記事を綴った。

 

>「水曜日のダウンタウン」という番組(と、藤井健太郎という作り手)は、笑いを提供することを第一目標とはしておらず、人間の弱さ・汚さ・醜さを画面上に析出させることを第一目標にしている節がある。(中略)笑いは、あくまでその中で副次的に生み出されるものに過ぎない。

 

 これを今回の「モンスターアイドル」の場合で説明すると、沖縄合宿においてクロちゃんのアイドル候補生に対するセクハラまがいの行為が何度も映し出された。藤井はそれを見せたいが為にゲスのクロちゃんがアイドルをプロデュースするという“あえて危険な企画”を発案したのである。そして結果的に、その不快な言動の先には“カエデ(とナオ)にフラれるクロちゃん”“プロデューサーを解任され罰を受けるクロちゃん”という2つの“笑い”が生み出されたことになる。特に前者“クロちゃんのフラれ芸”はテレビ史に残る名場面と呼べるほど面白かったので、是非Paravi(初月無料)等で全ての国民に観ていただきたい。

 

<クロちゃんのフラれ芸は必見!『水曜日のダウンタウン2時間SP』はParaviで視聴できます

 

 そして(2)渡辺の思惑は言うまでも無くWACK発のアイドルグループを新規に立ち上げブレイクさせること。地上波のプライムタイムで毎週放送される『水曜日~』で取り上げれば大きな宣伝になる。番組後半の生放送パートにて豆柴の大群の新曲披露や、BiSHを始めとする所属アイドルが多数出演してきた部分は『水曜日~』のテイストとは大きく異なっているが、そこは藤井ではなく渡辺の希望によるものだろう。

 

 クロちゃんのゲスさを見せたい藤井と、新規アイドルを立ち上げ宣伝したい渡辺。両者が元々知り合いで、かつ互いの利害が一致したからこそ実現した今回の企画。相変わらず『テラスハウス』を意識した“リアリティーショー”の作りになっており、ある程度の台本は存在するのだろうが、“クロちゃんのフラれ芸”という新たな鉱脈を発掘した藤井はお見事としか言いようが無い。今後もクレームに屈せず鉱脈を発掘し続けていただきたい。

 

(#39:1198字)

 

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◎東北沢『千里眼』を例に「二郎系ラーメン」の攻略法を詳しく解説!

2019-12-03 13:01:41 | 小野と芋子

<↑ラーメン二郎 新宿小滝橋通り店 ラーメン小 野菜マシ ニンニク アブラ>

 

芋子「小野先輩、『ラーメン二郎』に行ってきたんですって?」

小野「うん。『二郎系ラーメン』なら今年だけで10店舗以上食べ歩いたけど、本家の二郎は本当につい最近、初めて行ったよ。しかも新宿の店舗に」

 

芋子「ええ、いきなり都心部の混雑していそうな店に行くとは難易度高いですね」

小野「確かに混んでいたし、ルールを熟知している二郎経験者のサラリーマンも多く居たけど、3割くらいは二郎に関して無知なパリピ系の学生だったんだよ」

芋子「『二郎行こうぜ、いえあ』みたいな軽いノリですか?」

小野「『俺ぶっちゃけ大盛、いえあ』みたいなね」

芋子「で、『食べきれないよ、ぴえん』となるわけですね」(←言いたいだけ)

小野「あの日は幸いにも店員が優しかったから軽い気持ちでも何とかなったけど、基本的に二郎や二郎系はもっと殺伐とした空気だからね。あまり調子に乗りすぎると恥をかきかねない

芋子「そこで今回は、『ラーメン二郎』や『二郎系ラーメン』に軽い気持ちで行こうとする学生を撲滅する為に、押さえておくべきルールや攻略法などを解説します」

小野「入店してから食べ終わって退店するまでの時系列順にポイントを言っていくよ」

 

<攻略ポイント(1)まずは二郎系に行くべし>

芋子「二郎の攻略法なのに、結局本家の二郎には行かないのですね」

小野「最初から二郎は止めたほうが良い。まずは二郎系の店に行ってコールの仕方とかラーメンがどれくらい多いのかを学んだほうが良い」

芋子「確かに二郎系ならルールが緩和されていたり、店員の優しい確率が高かったり、敷居が低い感じがしますからね」

小野「二郎系でも当方さん(ブログの管理人)が2年前に行った店はオススメしないけどね」

 

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◎二郎系ラーメン屋に行ったら凄絶な恐怖を味わった(前編)

◎二郎系ラーメン屋に行ったら凄絶な恐怖を味わった(後編)

 

芋子「ああ、店員が客に激怒していた店ですか。当時のブログ記事には店名や場所を伏せていましたが、たぶん小田急線の向ヶ丘遊園駅から徒歩10分くらいのところの街道沿いにあるあの店のことでしょうね」

小野「その情報だけでもう特定できちゃうんだけど、店員がキレていたというのはあくまで2年前の話なので、今はどうなのかは分かりません! かといって当方さんはトラウマを抱えていて確認しに行きたくもないとの事なので、その点もご了承下さい!」

 

<攻略ポイント(2)初心者は『野郎らーめん』『郎郎郎』などがオススメ>

芋子「初心者はどの店に行ったら良いですか?」

小野「あまり多く食べる自信がないなら、盛りが控えめの『野郎らーめん』を強くオススメするけど、そこはコールを必要としないイージーすぎる店だから、逆にコールの仕方とかは覚えられないから、本家二郎に行く練習にはならない」

芋子「じゃあ盛りの量が本家二郎に準ずるレベルで、最低限のルールやマナーは存在して、でも店内は殺伐としていないし、かつ店員も優しいから委縮する必要もない店だと良い練習になるかもしれないですね」

小野「そうなると『郎郎郎(さぶろう)』とかが良いかもね。前述の向ヶ丘遊園にも駅のすぐ近くにある」

 

芋子「二郎系なのに、店内の雰囲気は普通のラーメン屋そのもので、入りやすいらしいですね」

小野「まあ今回は『千里眼』を例に解説するんだけどね」

 

芋子「あ、『郎郎郎』は写真データが無いんですね」

小野「というか基本写真は撮りづらい雰囲気だからね、二郎も二郎系も。『千里眼』の写真データがあるだけ有難く思って欲しい」

 

<攻略ポイント(3)混雑しない時間を狙って行く>

芋子「行く時間は何時ころが良いですかね」

小野「とにかく初心者は並ばないほうが良い。混雑しやすい昼の12~13時や、夜の19時以降は避けよう

芋子「となると14時とか18時とかですかね」

小野「夜営業が18時開店の店も多いけど、18時前から並んでいる店も普通に存在するから、行ってみたいと思う店は事前に下見に行って混雑状況を調べておいたほうが良い」

 

<攻略ポイント(4)それでも行列ができていたら>

芋子「でも、いざ行くと運悪く行列ができていることも考えられますよね」

小野「二郎や二郎系は基本的に店内が狭いので、店の外で並ぶことになる。店によってはどちらの方向に並ぶかが決まっているので、店頭の貼り紙に書かれてあるローカルルールを全部チェックしておこう」

 

芋子「東北沢にある千里眼の場合、並び始めてから着席するまでの手順を知りたいのですが」

小野「良い質問だ。大体こんな感じかな」

 

(1)最初に店の外で並ぶ(図の左方向)

(2)食べ終わった客が外に出る

(3)そのタイミングで、中にいる店員に『次のお客様どうぞ』と呼ばれる

(4)店内に入り、食券を購入し、3人ほど座れるベンチに座って待つ

(5)ベンチ待機の間に店員に『お客様ラーメンですか、ニンニクザンマイですか?』『麺の量は?』などと聞かれるので、正直に答える(この店は怖くないから落ち着いて言おう)

(6)先頭の時に店員に『先頭のお客様、何番席へどうぞ』と呼ばれたら、コップに水を入れて、横にあるレンゲを取ってから着席する

(7)カウンターとキッチンを仕切る台の上に食券を置く(あとから店員が回収に来る)

 

芋子「なるほど、確かに普通のラーメン屋より少し複雑ですね」

小野「ポイントはレンゲを取ってから着席すること。そして水の入ったコップの上にレンゲを置いて待機する」

芋子「コップの上にうまく載せられないときは?」

小野「最悪の場合はレンゲを水に浸したり、カウンターに直置きしても何も言われないけど、コップの上に置くのが本家二郎のやり方であることは覚えておこう」(※それも店によります。細かいルールは周囲を見て合わせましょう)

 

<攻略ポイント(5)初心者は絶対に「普通」や「小」、女性は「少なめ」にしてもらう>

 

芋子「次に食券はどれを購入すべきかという問題ですね」

小野「初心者は絶対に『大』や『大盛』は避けよう小や普通でも一般的な特盛レベルに相当すると思うくらいが丁度良い」

芋子「女性だと小や普通でも多いかもしれませんね」

小野「それなら『麺の量は?』と聞かれた際に『麺少なめ』や『麺半分』と答えれば良い。とにかく二郎も二郎系も『食べ残し厳禁』だけは共通ルールだから、必ず食べきれる量で注文しよう」

 

<攻略ポイント(6)着丼の直前にコールを聞かれる>

芋子「麺が茹で上がったら、いよいよコールですね」

小野「千里眼の場合は店員の『何番様、ニンニク入れますか?』という質問がコールのタイミング」

芋子「とりあえずニンニクを入れるかどうかだけ答えれば良いのですか?」

小野「いや、分かりづらいけど、『ニンニク入れますか?』に対して『野菜マシ、ニンニク、アブラ』みたいに、ニンニク以外の項目も全部一緒にコールしてしまうんだよ」

 

 

<攻略ポイント(7)初心者は絶対に「マシマシ」厳禁!!>

芋子「あ、この写真はありがたいです。こうやってコールについて解説してくれているのですね」

小野「初心者は『ニンニク、アブラ』だけにしておいたほうが良い。『野菜マシ』は2回目以降かな。ちなみに千里眼特有の『辛揚げ』は途中から味変したい場合に『辛揚げ、別皿で』とコールしよう」

芋子「先輩、そろそろ着丼の写真を見せてくださいよ」

小野「いよいよ行くか。せーの、どーん!」

<↑千里眼 ラーメン大盛 野菜マシ アブラ>(※諸事情によりこの時はニンニクを入れなかった)

 

芋子「うわ、野菜が多いですね」

小野「いや冗談抜きで洒落にならない量だからね。麺よりも野菜を食べきれるかがポイントになる。

芋子「これ、ひたすらもやしを食べ続けないと麺にたどりつけないですよね」

小野「慣れてくれば、写真の状態から『天地返し』をして、麺を上にすることも出来る」

 

芋子「どさくさに紛れてAV女優の動画を載せないで下さい!

小野「天地返しが出来ない場合は、取り皿をもらって一旦それに野菜を入れておけばすぐに麺を食べることができる」

芋子「なるほど」

小野「ちなみに、初心者でなくとも初めて行く店なら『野菜マシマシ』は絶対にコールしてはダメ。以前『立川マシマシ』に行った時に『野菜マシマシ』でコールしたらとんでもない量が出てきてマジで死にそうになった」

<↑某所の立川マシマシ 中ラーメン 野菜マシマシ アブラマシ>

 

芋子「えーっ、野菜が別の丼で盛られて来るのですか!?」

小野「あのね、食べきれないと悟ったときに『食べ残し厳禁』のルールが脳裏によぎって、逃れられない恐怖に苛まれるからねマジで。それでも死ぬ気で完食したけど」

芋子「経験者の言葉は重みがありますね。皆さんは絶対に食べきれる量を注文しましょう!」

小野「とにかく初めて行く店で『マシマシ』は絶対にNGだ!!」

 

<攻略ポイント(8)撮影禁止や携帯電話使用禁止の店もある>

芋子「着丼したら、まずはスマホで写真を撮ってインスタに上げて~」

小野「おい、それを当たり前だと思うな! 千里眼は禁止じゃなかったからこうやって写真を撮ったけど、店内の貼り紙を見渡せば『撮影禁止』や『携帯使用禁止』の旨が書かれている場合があるから、店内の貼り紙も全部チェックすべし」

芋子「携帯も使えないって厳しすぎませんか?」

小野「いやそれが意外と多いんだよ。スマホのカメラを起動して写真を撮ってSNSを開いてコメント書いて写真を添付してUPするまでに大体1分以上はかかるわけじゃん。あと、途中でLINEが来たら食べるのを中断して読んで返信までしちゃったりする人もいると思うけど、こだわりのある店員なら麺が伸びてしまう前に1秒でも早く食べてほしいと考えている」

芋子「なるほど……」

小野「そういう貼り紙が無くても、店内の雰囲気的に写真を撮りづらいこともあるから、マジで写真は諦める覚悟で二郎系に臨んでいただきたい」

芋子「じゃあ、動画モードでこっそり撮って、あとでスクショすれば良いんじゃないですか? それならシャッター音も出ないし」

小野「それは最終手段だと思って欲しい」

 

<攻略ポイント(9)早食いの練習もしよう>

芋子「千里眼の話に戻りますけど、さっきの写真、『野菜マシ』でも結構盛られていましたね」

小野「あの盛りは他店なら『野菜マシマシ』に相当する場合もある。それくらい多かった」

芋子「でも、休み休み食べて、30分くらいかければ何とか完食できるかも」

小野「いや、まだ並んでいる客も多く居るかもしれないし、できる限り早く食べたほうが良い」

芋子「ああそうか。なら私は尚更『野菜少なめ』とかが丁度良いかもしれません」

小野「早食いを推奨するのはもう一つ理由がある。あくまで本家二郎の練習という前提で言うと、『ロット』を乱さないためである」

芋子「ロットって何ですか?」

小野「本家二郎では1回で6人分の麺を茹でる。これを『1ロット』という。理論上は、全ての客が1人前を15分で食べきれば、効率良く回転できるので、このロットを乱さずに客に提供できるらしい。30分とかかかってしまう客が出てしまうと『ロットが乱れ』てしまうとか」

芋子「もう本家は行かなくて良いんじゃないですか?」

小野「二郎系だけで満足できるならそれで良いよ。でも一度二郎系にハマってしまうと、『本家も食べてみたいなあ』って思うようになるよ」

 

<攻略ポイント(10)丼とコップを台に置いてカウンターを布巾(またはティッシュ)で拭く>

芋子「完食すればいよいよゴール、店を出るだけですね」

小野「いや、最後まで油断をするな。食べ終わったらまず、カウンターとキッチンを仕切る台みたいなところに丼とコップを置いて、台の上にある布巾を取って、客自らカウンターを拭くのが暗黙のルールだ」

芋子「もし布巾がなければ?」

小野「ティッシュで拭いちゃって良いよ。ただしティッシュはなるべくゴミ箱を探して捨てよう。丸めたティッシュも台の上に置いちゃう客も居るんだけど、マナーとしてはやはりゴミ箱だよね」

 

<まとめ:美味しいならルールやマナーを守ろう>

芋子「というわけで、東北沢の『千里眼』を例に、二郎系ラーメンの複雑なルールやマナーを見ていきましたが、何故こんなに客が気を遣わなければならないのでしょうか」

小野「美味しいのなら、最低限のルールやマナーは守るべきだと思うよ。しかも二郎も二郎系も基本800円を超えることは無いし、それであの量を食べられるのだから、コスパの面でも最高だといえる」

芋子「あと、これだけの記事を書くのに3時間以上もかかってしまうの、何とかできないですかね? 結構速めにタイピングしているんですけど」

小野「ほんとそれな」


◎桜の舞う頃に・・・2014

2019-11-26 09:12:36 | ある少女の物語

※これは2014年2月に小説投稿サイトにUPしたものです。そのサイトが閉鎖したのでこちらに再掲します。

※5年周期でリメイクしてきた大事な作品なので、今年中に再リメイクしたい想いを込めて、今更ですが“あえてそのまま”UPしました。

※10年前の元祖はこちら→『桜の舞う頃に・・・

 

===

 

 川沿いの公園で、僕は少女に想いを伝えた。

「西岡さんのことを、もっとたくさん知りたいです。もし良ければ……今以上の関係になってもらえますか?」

 少女は水面に映る月を見ながらこう答えた。

「……ごめんなさい。ずっと黙っていたことがあります」

 その時の少女の悲しそうな顔が、何よりも印象的だった。

 

 

 

 昨年死別した母は、僕が5歳の時に離婚届を書いていた。今は母の遺産と月3万にも満たないアルバイトの給料を糧に高校2年にして一人暮らしを余儀なくされている自分が居る。

 趣味は古本屋で買った100円の本を読むこと。今読んでいる『夜と霧』はとても難解で理解に時間を要し、少しでも早く読破する為に登下校中も歩きながら読書をしている。

「す、すみません前を見ていませんでした」

「イエ、こちらこそ急いでいて……」

 出会いは突然だった。この日も学校を出てからずっと歩きながら本を読み続け、外階段を昇り、自宅のドアの前まで来た僕は一人の少女とぶつかった。普通ならこれで終わる。しかし、

「あ、挨拶がまだでしたね」

 少女は話を続けた。

「はじめまして。隣の202に越して来た西岡結衣です」

 早くも僕の心は揺れ動いた。ラインが濃いめのランダムボーダーニットに緑のフレアミニスカート、黒のニーハイソックスにショートブーツ。顔が可愛いだけでなく、毎日制服姿の女子ばかり見ている僕にそのコーディネートはあまりにも眩しすぎた。

「あ、ど、どうも、中村雄介です、よ、よろしこ願します」

 ただでさえ女性に免疫のない僕は、あまりの緊張に呂律が回らなかった。

「これ、つまらないものですがどうぞ」

 少女は鞄の中から青いリボンでラッピングされた小さな箱を取り出し、僕に手渡した。何故このタイミングで持っているのか。

「じゃあ急いでいるんでこれで」

 階段を軽やかに駆け降りる少女の後ろ姿を僕はずっと眺めていた。いつまでも止むことのない異様な緊張感の原因は、明らかに一つしか考えられなかった。少女の顔が頭から離れられない。そして箱の中身は素人目でも高価だと察することのできる、砂の代わりにダイヤモンドの入ったキラキラと輝く砂時計だった。

 

 その夜。明日は月曜日だと思うと僕は鬱になった。毎週これの繰り返しだ。本当にうんざりする。

 だが、その日だけはいつもと違う夜だった。

「ピンポーン」

 再びあの少女だった。

「もし暇なら、ちょっと出かけませんか?」

 これは夢なのか。しかも少女の車に乗せてもらうことに。他にも友達が居るのかと思いきや、まさかの2人きりである。

 僕は思わず格好付けて「スタバなんてどうですか?」などと行ったこともない店を提案し、そこに入ったはいいものの、ミルクと砂糖の場所が解らずにオロオロしてしまう。だが少女は「ここにありますよ」と優しく教えてくれた。

 僕等はお互いのことを聞き合った。少女は21歳、私立大学の社会学部に通う4年生だという。女子大生がダイヤモンドの砂時計、どこかの資産家のお嬢様なのだろうか。だがそれよりも気になることがあった。

「何で今になって引っ越してきたんですか?」

「ウーン……何故だと思います?」

「あ、イヤ、すみません、言わなくていいですよ」

 余計なことを聞いてしまった。もう少女には嫌われているのかもしれない。過去の経験からそんな気がした。いつも上手くはいかないのだ。だがそれでいい。一日限りでも楽しかったから。

 

 

 

「私、毎日寂しいんで、メールとかしません?」

 しかし3日後の夜、少女はまたしても僕を誘い、ドトールの店内でそう言うのだった。少女は自分のメールアドレスと電話番号を赤外線で送ってくれた。何故こんなにも積極的なのか。

「あ、届きました。僕のも送りますからちょっと待っていて下さい」

 しかし、アドレス交換などほとんどしたことのない僕は、赤外線送信のやり方すら解らなかった。

「エーット……あれ? こうじゃないか……あれ? あ、すみません、メールでもいいですか?」

「ンフフ。いいですよ」

 僕の情けない姿を見ても、いつも笑ってくれる。可愛いのみならず、すごく優しい。

 

 その後、毎日のようにメール交換が行われた。あまりにも上手くいきすぎて疑問にさえ思う。僕は騙されているのか、それとも遊ばれているのか。

 

「次の土曜日に映画に行きませんか?」

 思い切って誘ってみた。少女は快くOKしてくれた。

 当然何を観るかという話になり、僕が読んだことのある本を原作とする純愛ものの邦画を提案すると、「私もちょうど観たかったんです」などと言ってくれて、それが本心かは解らないが、少女の優しさに僕は更に心を打たれた。

 そして土曜日。終盤で少女は涙を見せていた。僕は思わずひじ掛けに置かれた少女の左手を握ってしまった。が、嫌がられることはなかった。

 

 その後も何度か2人きりで会った。その都度僕は性格ゆえの不手際が目立ったが、少女は僕の全てを受け入れてくれるかのように何も文句を言わなかった。騙されているとか遊ばれているとかそんな考えは次第に頭の中から消えていき、純粋に少女を想う気持ちだけが残っていた。臆病者の僕が思い切って少女に告白しようと心に決めるまで一ヶ月もかからなかった。

 

 

 

「……ごめんなさい。ずっと黙っていたことがあります」

 2月の風が吹き抜ける川沿いの公園で、悲しそうな顔を浮かべる少女。告白は失敗に終わったかのように思えたが……。

「……私の命、そんなに長くないんです」

「えっ」

「私、末期の肝臓がんなんです。医者には治療は不可能と言われて、今は毎日薬を飲んでいるだけです。余命は1~2ヶ月。早ければ、あの木から桜が舞う頃には、もう……」

 少女の視線の先には、この公園に一本しかないソメイヨシノ。

「実は私も……中村さんのことが好きです。でも、いつ終わるか解らない恋に、あなたを巻き込ませることなんてとても出来ません」

「………」

 あまりの衝撃に僕は一瞬言葉を失ったが、すぐに口を開いた。

「それでもいいです。期間なんて関係ありません。僕は西岡さんと一緒にいたい。ただそれだけなんです。どうか、お願いします」

 

 

 

 僕等の恋は、いつ終わってもおかしくない恋はここから始まった。常に貪欲になり、行きたい場所、やりたいことは我慢せずに何でも実行した。そして、不思議なことに僕等は喧嘩することは全くなかった。不器用な僕が少女を一度も傷付けなかったと言えば嘘になる。だが少女の怒った顔は一度も見たことがない。そんな少女の優しさに応え、僕も少女に対して怒りを露にすることはなかった。

 

 

 

 あっという間に一ヶ月が過ぎ、僕等は再び川沿いの公園に来ていた。ソメイヨシノの蕾は膨らみ、ところどころ花が咲いていた。

「僕が告白したのはこのあたりでしょうか」

「アハハハ、懐かしいですね」

 実は翌日から入院する少女を前に、僕は初めて自らの過去を話す決心がついた。

「僕は去年まで学校でいじめに遭っていました」

「えっ」

「そんな僕を支えてくれたのは母、ただ一人でした。でも去年、その母も死にました。10年以上も前に離婚している父にその事実が行き届くわけも無く、僕は完全に孤立しました。本を読み漁る日々はそれから始まりました。友達の居ない学校でも一人黙々と本を読むようになり、そんな僕を同情してくれたのか、いじめも無くなりました。もう僕には本しか無いと思っていました」

「………」

「でも、西岡さんと出会ってからは考えが変わりました。一人の女性の為に生きることがこんなに楽しく嬉しく、幸せであるのだと気付きました。こんな気持ちになれたのは生まれて初めてですし、全部西岡さんのお陰です。本当にありがとうございます」

 それを聞いた少女は、映画の時以来の涙を見せた。

「……あ、ありがとう…………私も、本当にありがとうございます」

 僕等は自然と抱擁し、初めての口付けを交わした。

「お見舞い、必ず行きますから。会える日と時間が分かったら教えて下さい」

「……ハイ」

「この木から桜が舞う頃に、医者に許可を貰ってもう一度2人で見に来ましょう」

「……そう、ですね」

 

 

 

 翌日の昼過ぎ、駅で少女と別れた。そのまま病院に向かったようだ。

 短い間だったけど、良い夢を見ることが出来た。

 後になって、これで終わりなら良かったと後悔することになるとも知らずに。

 

 

 

 異変はその翌日から起きた。月曜の夜に僕から少女に送ったメールの返信が、3日経っても送られてこない。電話をかけてもいつも「電源が入っていません」というメッセージ。お見舞いに行って良い日時も一向に教えてくれない。

 これは変だと思い、金曜日、学校を半日で早退して少女の言っていた病院に直行した。しかし、

「西岡結衣さんですか? そのような方は入院されていないようですが……」

 受付のその言葉に僕は愕然となった。今、少女はどこにいるのか。他の病院なのか、それとも実家か、それともまさか……。

「急患です! 急患です!」

 急にあたりが騒がしくなった。運ばれてきた患者はよく見えなかったが、

「21歳の女性が急性薬物中毒の疑いあり!」

「結衣! しっかりしろ! 結衣―!」

 付き添っていた医者と父親らしき人の台詞で少女だと確信し、僕を更に驚愕させた。一体どうなっているのか。

 

 病室で点滴を打たれたまま目を覚まさない少女。頭を抱える少女の父親。恐る恐る僕は話しかけた。

「あの、すみません……僕は結衣さんの……その……」

「お前が結衣の言っていた男か。お前が殺ったのか」

「え、ちょっと待って下さい、誤解ですよ」

「結衣は自殺しようとしたんだぞ」

「えっ」

 なんと少女は今朝、実家の自分の部屋で精神安定剤を100錠も服用して倒れていたのだ。その3時間後に発見した母親が慌てて119番と会社にいる父親に電話をかけたのだ。

「お前が自殺に追い込ませたんだろ!? そうなんだろっ!?」

「イヤ、ちょっと待って下さい。そもそも結衣さんは末期のがんで」

「ハァ!? 何を言っているんだ!」

「イヤ、結衣さん、末期の肝臓がんって言っていましたよ」

「んなわけねーだろボケがあ!」

 そう言うと父親は僕を殴った。もう何がなんだか解らなかった。まさか、がんは嘘だったのか。

「あなた、待って! その男は何も悪くないわ!」

 そこへ少女の母親らしき女性が現れた。

「これを見て! 結衣の部屋から見つかったものよ」

 母親は、父親と僕に一枚の手紙を見せた。

 

 

 

>両親へ

>遺書なんて重々しいものはとても書けないので、手紙という形で書かせていただきます。

>最近、胃の痛みが激しいです。しょっちゅう吐き気もします。食欲もあまり出ません。

>大学の友達もいつからか連絡をくれなくなって寂しいです。

>講義にもついていけず、単位は足りず、卒論も未完成なので留年は確定です。

>何をやっても楽しくないし、頭が常に重いし、生きている実感がありません。

>精神科医に貰った薬は効いていないみたいです。

>そんな絶望的な状況の中、追い討ちをかけたのが同じ大学の元彼です。

 

 ***

 

「人生で最高の人に出会えた」

 その一言から私たちの関係は始まり、その一言が彼のピークでもあった。彼は次第に本性を露にし、毎日喧嘩をするようになるまで時間はかからなかった。そして、

「どうして解ってくれないの」

「お前みたいなマリー・アントワネット気取りする女は嫌いだ。もう消えてくれ」

 単位のことや精神科に通っていること、悩みを話せば話すほど逆効果になり、2ヶ月も経たないうちに別れは訪れた。その夜、私の鞄に青いリボンでラッピングされた小さな箱が入っていることに気付いた。これをやるから二度と現れるなという彼の最後のメッセージなのだろう。当然受け取るわけにはいかず、返す為に翌日再び彼の家に行った。今なら気持ちも落ち着いて改めてくれるかもしれない。その考えは浅はかだった。ドアから出てきたのは彼と、30歳前後と思われる女性の二人だったのだ。

 

 ***

 

>元彼と別れた日、私は全てが嫌になり、1~2ヶ月後には自殺すると決めました。

>今更ですが、勝手に家を出てしまってごめんなさい。

>あれからアパートを借りて一人暮らしをしていました。

>隣の部屋に住んでいたのが今の彼・中村雄介さんです。

>中村さんが私に好意を抱いていると気付くのに時間はかかりませんでした。

>こんなダメ人間な私でも、死ぬ前に何か人の役に立ちたいと思い、

>人生の最期は中村さんのために生きようと心に決めました。

>中村さんに告白された時、余命が最短で1ヶ月の肝臓がんだと嘘をついてしまいましたが、

>それでも中村さんが「付き合って欲しい」とお願いしてきたので、それに応えるべくOKしました。

>一緒にいた日々が、中村さんに尽くした日々が、どれも最高に楽しかったのは事実です。

>やっと人の役に立てた。もう思い残すことはありません。

>この手紙を書いた後、薬をたくさん飲んで安らかに眠りにつきます。

>さようなら。そして、ごめんなさい。

>結衣

 

 

 

「なんだよ……死にたいんだったら僕に相談してくれれば良かったのに……」

 すると父親がおもむろに口を開いた。

「さっきは殴ってしまってすまなかった。結衣は悩みを人に話さずに、自らの心の内に仕舞い込む娘なんだよ。昔からそうだった。中学、高校といじめられていた時も、先生に言われるまで俺も母さんも知らなかった」

「え、結衣さんもいじめに遭っていたんですか?」

「やはり聞いていなかったか。結衣は昔から救われない娘だった。5日前、突然家に帰ってきた日に『やっと私に彼氏が出来たの』と喜んで報告していたけど、その笑顔が尚更俺と母さんを不安にさせたよ。本当は上手くいっていないんじゃないか、暴力に遭っているんじゃないかって。勝手に疑って申し訳ない。この手紙を読んで解ったよ。君は間違いなく結衣を幸せにしてくれたということがね」

 

 

 

――3時間後、心電図は直線になった――

 

 

 

 少女の両親は号泣したが、僕の目からは不思議と何も出なかった。

病院を出た僕は、例の難解な本を読みながらただひたすら歩いた。知らない道でも構わず歩いた。赤信号も気に留めず歩いた。夜が更けても歩いた。山道、畦道、凸凹の道、そして線路の上も歩いた。何も考えられず、読んで歩くことしか出来なかった。そして夜の12時、やっと最後のページを読み終えた僕は川沿いの公園に辿り着いていた。

「中村さーん」

 薄っすらと、少女の姿が見えた。

「ねえねえ見て下さい、満開ですよ!」

 少女の視線の先には、この公園に一本しかないソメイヨシノ。

 

 

――こんな理不尽な別れが待っていたなら、最初から出会わなければ良かった――

 

 

 一週間後、僕の父が突然現れた。

「去年再婚し、妻の連れ子・聡史は大学4年で2人の彼女が居た」

「それってまさか」

「そう、そのうちの一人が西岡結衣だ。そしてもう一人は新宿でホステスをやっている29歳。西岡とは対照的に聡史は成績がとても良く卒論も一年前には完成させていたが、極度の人見知りが災いし就職だけは決まらなかった。彼の不安に漬け込んだ悪女が出会い系サイトで知り合ったホステスだ。『同い年の彼女と別れて私と結婚してくれれば生涯安定よ』などと脅されたのだろう」

「そういうことか……」

「西岡の死を知った聡史はその3日後、家を出て行ったよ。最後にこう言い残してな。

 

 

『本当の息子さんに伝えてくれ。

 西岡の私物にダイヤモンドの砂時計があるはずだから受け取ってくれ、と』」

 

 

 その一言で僕は全てを悟り、初めて目から涙が零れ落ちた。ダイヤモンドの砂時計は既に受け取っており、おそらく聡史さんが手切れ品として少女に渡したもの。僕が一ヶ月以上もかけて何とか読み終えた『夜と霧』の著者であり心理学者のヴィクトール・E・フランクル氏は人生を砂時計に例えた。細くなった部分が現在で、上に残っている砂が未来、そして下に流れ落ちた砂は過去。つまり、迫り来る苦悩から逃げずに今を生き抜いたとき、過去はその人の人生を豊かにするかけがえのない財産になるというのだ。少女と同じ社会学部に通う成績優秀な聡史さんなら知っていてもおかしくはない。キラキラと輝く砂時計そのものが、多くの悩みを抱える少女への、コミュニケーションが苦手な聡史さんなりの最後のメッセージだったのだ。

 

「これからどうする。聡史も居なくなったことだし、うちで暮らしてみないか」

「わざわざ伝えに来てくれてありがとう。けどもう帰ってくれ。12年間見捨てておいて、こんな時だけ頼ってんじゃねーよ。僕は誰にも頼らず一人で生きてやるよ」

 少女と出会わなければ良かったなどと後悔してはならない。少女と過ごした一ヶ月はかけがえのない財産だ。そしてこれからも“苦悩”を“財産”にどんどん代えていこう。それが僕の生きる理由だから。

 

 

(Fin.)


◎労基署はコンビニの最悪な労働環境にもっとメスを入れるべき

2019-10-24 19:25:57 | ほぼ週刊サンマイ新聞

 それなりの労働環境は整っていると自負している我がスーパーマーケットの会社に労働基準監督署の調査が入り、2点の指摘を受けた。

 

(1)労働時間の計算を15分単位ではなく1分単位にすべき

(2)1日8時間以上勤務する労働者に超過勤務手当を付与すべき

 

 (2)についても色々言いたいのだが、今回は一見大したことの無いように見える(1)について言及する。

 当然、労基署の命令としては、例えば「定時より10分前に出勤したアルバイトに10分分の給料を付与しなさい」ということである。時給1020円なら1日当たり170円の加算となる。

 しかし、いわゆる10分前行動するスタッフは相当数存在しており、その部分にまで給料を与えてしまうと、会社全体の人件費は年間で何百万、いや何千万も膨らんでしまう試算になるというのだ。

 それを防ぐ為に会社が検討していることは“定時ジャスト出勤の義務化”である。8時始業なら8時ジャストのタイムカード打刻のみ認めるというもの。職場に早く来てくれるスタッフも、定時になるまで休憩室で休んでいなければならない。そんなこと誰も望んでいない。そもそも10分前行動なんて当たり前のことだと思うのだが、それを禁止にしたら確実に全体の仕事量が減る分、仕事のクオリティも下がってしまう。完全に労基署の思惑から外れてしまっている。

 

 現状の15分単位のシステムで不満を言うアルバイトスタッフは皆無だし、社員は社員で固定給に20時間分の含み残業手当が含まれているとはいえ、20時間を超える残業分についてはちゃんと時間外手当を付与してくれる。休みも月9日以上は必ずあるし、今春からの有給休暇義務化に伴い10休、11休できる月も出てきた。やはり不満を言う社員は居ない。つまり今回の問題は、労基署が勝手にブラック認定して文句をつけているだけなのだ。

 

 

 文句をつけるなら、当社以上にブラックな企業が先なのではないか。例えば当方が過去に勤務していたコンビニエンスストアは最悪と言って良い労働環境だった。社員は1日12時間勤務、15時間勤務も珍しくなく、時間外手当は実質ゼロで、週1休のはずがそれさえ貰えない週もあったり、それが夜勤の明け休みにされることも多々あった。ひどい時で3ヶ月以上も無休連勤を余儀なくされる社員も私を含め何人も居た。有給休暇を義務付けても現実的に1日すら消化は不可能である。

 極めつけは、その過酷な中で5年4ヶ月も勤務した人に対するひどい仕打ち。就業規則を労基署に提出しないことで賞与も退職金も自由に減額やゼロに出来るというやりたい放題。

 コンビニなんて、特にフランチャイズはどこもそんなものである。低賃金の割に膨大な作業量が慢性的なアルバイト不足に繋がり、社員の負荷が重くなる一方なのだ。そのような、法律を無視しまくっている超暗黒会社にこそ文句を言っていただきたい。労基署はメスを入れる順番が間違っている。

 

(#38:1193字)


◎東京シャープストーリー(第6話)

2019-09-18 01:27:09 | 東京シャープストーリー

※読む順番
◎仕事上のコミュニケーションを今更頑張った話(第1話第2話最終話

◎東京シャープストーリー(序章第1話第2話第3話第4話第5話

===

【第六部:悲しみの祝福】

 2018年12月5日、送別会前日。僕はいつものように目の前の仕事に追われていた。

 しかし、その事実は突然耳に入ってきた。

 

──11月22日に、シャープは入籍していた──

 

 青天の霹靂。10年来の彼氏が居ることは知っていたし、2人が同棲していることも周知の事実だった。

 それでも、いざその時が来ると、その事実を真っ直ぐ受け入れられない自分が居た。

 

 

 どんなに悲しくても夜は更け、やがて朝が来る。

 その日を待ちに待っていたはずなのに、素直に喜べないもどかしさ。

 

 

 16時。その日の仕事が終わるや否や、僕は新宿伊勢丹の洋菓子店に向かった。

 ウェディングドレス姿の少女を模ったケーキを購入し、早めにこっそり居酒屋へ行き、冷やしておいてもらう(※事前に電話で伝えてあります)。

 

 18時。アルタ前に3人が集合、いよいよ店へ。僕は下見も含め3度目の入店となった。

(シャープ)「すごーい、8階にあるんだ」

(僕)「夜景が見えることも重視しました」

 

 真剣に店を選んだ甲斐もあり、シャープは喜んでくれた。

 しかし、乾杯の直前に、シャープの口から出た言葉は、

 

(シャープ)「私、結婚しました」

 

 目の前で、とても近い距離で、心の底から嬉しそうな顔を僕に見せた。

 知っていたことでも、改めて本人の口から聞くことで、ようやく実感が沸いてきた。

 そうか、本当に結婚したんだ……。

 

 その後は3人で他愛も無い話で盛り上がった。

(シャープ)「ここだけの話なんだけど、実は職場のA男さんとB子さんが付き合っています」

(僕)「えっ!?」

 

 宴も終盤に差し掛かる頃、僕はトイレに行くフリをしてキッチンの店員に、仕込んでおいたケーキを持ってきてもらうよう頼んだ。

 席に戻り間もなくしてサプライズのケーキが登場。

 

(僕)「結婚のお祝いとして急遽用意しました」

(シャープ)「すごーい。ありがとー」

 

 デジカメでの写真撮影も成功。後日プリントアウトしたものを2人に渡した。

 僕はその写真を今でもフォトスタンドに入れて飾ってある。

 嬉しくも悲しい思い出は、こうして形に残すことが出来た。

 

 

──3つの季節を経て、この物語があのような結末を迎えてしまうことになろうとは、この時の僕は微塵も思っていなかった──

 

(つづく)


◎東京シャープストーリー(第5話)

2019-09-18 00:51:11 | 東京シャープストーリー

※読む順番
◎仕事上のコミュニケーションを今更頑張った話(第1話第2話最終話

◎東京シャープストーリー(序章第1話第2話第3話第4話

===

※これまでのあらすじ

 2018年10月、シャープを飲み会に誘い、断られた。

 これにより、シャープが僕を嫌っているのではないかという疑惑が浮上していた。

 

【第五部:大逆転ホームラン】

 2018年11月某日。友人の運営するスポーツサークルの集まりに、僕は参加した。

 不得手な卓球で一恥かいた後、近くの居酒屋で2次会が開かれた。

 どういう流れだったのか、話題はいつの間にか僕の恋愛話に。

(僕)「それでシャープさんに『忘年会いつにします?』とLINEで聞いたら、『その話まだ生きていたの?』と返ってきました。それでもう無理かなって」

(メンバーA)「え、それで諦めるんですか?

(メンバーB)「もう一度聞いてみたらどうですか?」

 意外にもサークルのメンバーは前向きな見解を示した。

(メンバーC)「もう一回送っちゃえYO!」

 悩んだ末、僕はその場の勢いに身を任せることにした。

 

(僕LINE)『やっぱり忘年会やりませんか?』

 

 10分か5分か、その返信は早かった記憶がある。

 

(シャープLINE)『いいですよ』

 

 

 それは奇跡だった。当初の予定メンバー・アラシックスではなく、20年選手(40代♂)を呼ぶことを条件に参加をOKしてくれたのだ。

 

 それから約2週間、僕は幹事となり忘年会の準備を進めた。

 気心知れた3人だけの忘年会でも気を抜かなかった。居酒屋は何店舗も下見をした。掘りごたつ式の個室はもちろんのこと、内装が綺麗であることや、トイレが男女別など、女性目線で店を決めた。

 また、シャープの気持ちを尊重し、忘年会は3人だけの秘密にすることにした。

 それでも思い出として写真に残したい。1枚だけ集合写真を撮ろうと決めていたが、スマホで撮影すればそのままSNSにUPされるのではと疑われるかもしれない。そこで、押入れに眠っていたコンパクトデジカメを取り出し、充電や動作確認をした。デジカメなら少しは安心させられるはず。

 とにかく準備には余念が無かった。こんな大チャンスは二度と訪れないと思っていたから。

 

 

 しかし、送別会の前日、悲劇は起きた。

(つづく)


◎AbemaTV『オオカミちゃんには騙されない』1話でオオカミちゃんを見抜いてしまった人

2019-08-21 17:01:32 | 小野と芋子

<『オオカミちゃんには騙されない』本編→https://abema.tv/video/title/90-1286

 

芋子「AbemaTVハマり出したら、確実に引きこもりの廃人になるでしょうね」

小野「例えるなら“クオリティーの高いYouTube”だからな。登録せずとも地上波レベルの番組が無料で無限に観放題

芋子「ネトフリやアマプラですら有料ですからね。CMという強制ムービーが随所にあるとはいえ、太っ腹すぎます」

小野「だからずっと、アベマにはあえて近付かないようにしてきたが、とうとう気になるコンテンツを見つけてしまったのでやむを得ず観てしまうことに」

芋子「『オオカミちゃんには騙されない』ですね。でもこのシーズンが終了したら即アベマとはオサラバしたほうが良いでしょう」

小野「あ~べま~」

芋子「寛平さん風に言わないで下さい」

小野「ちなみに『なつぞら』の感想記事がサボり気味ですが、こちらもちゃんと観ています!」



<リアリティショーとは>

芋子「実はアベマには、いわゆる“恋愛リアリティショー”を謳った番組がたくさんあり、“恋リア”という名前でカテゴリーにまでなっているのです」

小野「それだけ需要もあるんだろうね。その中の一つが『オオカミちゃんには騙されない』なわけだが、10人の男女が知り合い、デートを繰り返しながら恋に落ちていくまでを追いかける番組。雰囲気も含めて『テラスハウス』に酷似している」

芋子「『テラスハウス』(2012~、フジテレビなど)もリアリティショーでしたからね。ドキュメントとも少し違う“リアリティショー”という形式での放送は、当時若者たちの間で話題を呼びました」

小野「リアリティショーの特徴も簡単に挙げておこう。まず、制作スタッフやカメラなどの撮影機材を一切映り込ませず、編集やテロップも最小限に抑えることで、ドラマのような雰囲気の下で出演者のリアルな言動が映し出されている」

芋子「それよりも重要なのは“完全なドキュメントではない”ということです。どう考えても一部に台本があったり、スタッフの指示で動いているメンバーが何人か居るのはバレバレです」

小野「ちなみにテラハは“台本が無い”ことをやたら強調していたけど、別に台本が無くてもカンペで指示を出せば良いだけなので、その言葉だけでガチだとは思わないほうが良い」

芋子「ただ、どこまでが台本でどこからがガチなのかの見分けが難しいのですよね」

小野「例えばめちゃイケの『ナイナイ中居日本一周企画』のように、出演者は自分がどう動くかだけ書かれた台本を渡されていて、相手の言動が分からないから想定外の出来事が起きてドキュメントっぽくなるようにしているかもしれないね。推測だけど」



<テラハとの違いは?>

芋子「では、同じリアリティショーでも『オオカミちゃんには騙されない』は『テラスハウス』と何が違うのでしょうか?」

小野「何と言っても女性メンバーの中に“恋する乙女”を演じている、本当は恋をする気が全く無い嘘つきが一人以上いることだね。その女性を番組では“オオカミちゃん”と呼んでいる」

芋子「一人とは限らないのもポイントですね。元々は『オオカミくんには騙されない』というタイトルで、男性がオオカミのパターンを過去に5シーズン配信し、6シーズン目の今作で初めて男女を逆転させたわけです」

小野「他にテラハと異なるのは、『オオカミちゃん~』はロケ日以外は各自通常の生活をしており、ロケとロケの間に結構間隔が空いたりする」

芋子「テラハのような共同生活が無い代わりに、オリジナルのカフェをオープンさせるという共通の目標があり、それに向けて全メンバーが協力する必要があります」

小野「あと細かいところだと、デートに誘う際は必ず『太陽LINE』というグループチャット上で連絡をとらねばならず、必然的に全メンバーに知れ渡る」

芋子「よって、誰が誰を好きかという大事な情報が筒抜けになってしまい、より高度な心理戦になるわけです」

小野「そしてデートは誘った人、誘われた人以外でも、誰でも参加OKとなっている」

芋子「2人きりのデートのはずが、途中から思わぬ乱入があったりします」

小野「このへんがどう見てもスタッフの指示なんだよね。話が上手く出来すぎていて」



<視聴者が脱落者を決める残酷システム>

芋子「小野先輩、『ザ・チーター』って覚えていますか?」

小野「ああクイズ番組か、懐かしいね。6人中1人だけか正解を知っている“チーター”で、その疑いがある人を投票で決めて追放するやつ」

芋子「『オオカミちゃん~』でも、オオカミちゃんの疑いがある人に投票し、最多得票を得た女性メンバーが脱落してしまいます」

小野「でもそれを決めるのは視聴者なんだよね。これが画期的かつ残酷なシステムである」

芋子「視聴者投票は既に締め切られており、次回の配信(8月25日(日)22時~7話)で脱落者が発表されます」

小野「ただそれはあくまでも脱落者であって、オオカミちゃんが誰か明らかになるのはまだ先なんだよね」

芋子「まあ、おそらく12話前後やると思いますので、9月か10月になりそうですね」

小野「僕はもう、オオカミちゃんが誰か分かっちゃったけどね」



<↑2話時点での相関図。3話以降もこれを見ながらだと本編を理解しやすい>


<1話の時点でオオカミちゃんを見抜いてしまった>

芋子「えっ!? 本当ですか?」

小野「まあそもそも何人いるか分からないけど、そのうちの一人だけは1話の時点で予想できた

芋子「早すぎませんか!?」

小野「予想というか、ほぼ確定で良いと思う」

芋子「なぜそこまで自信が持てるのですか?」

小野「まあプロフィールだけ軽く調べさせてもらったけどね」

芋子「気になりますけど、ネタバレになってしまう可能性もあるので“炙り出し”で書いておきますか」

小野「僕の予想するオオカミちゃんとその理由を知りたい方は↓を反転させてご覧下さい

(※スマホの方はコピーしてメモ帳アプリなどに貼り付けて下さい)

↓ほぼ確の予想・ここから↓

   ほのばび    

理由:彼女だけオスカープロモーション所属。
オスカーは25歳まで恋愛禁止で有名。
まだ18歳で、万が一でも恋に落ちたら規約違反になる。
それを防ぐにはオオカミちゃんとして出演するしかない。

↑ほぼ確の予想・ここまで↑



芋子「ええ、意外ですね……」

小野「ちなみにファンが非公式で投票を実施したところ、↓こうなっている」

 

 

芋子「うーん……」


小野「僕が予想した女性をオオカミだと思って改めて1話から観ると見方が変わって色々面白くなるよ」

芋子「今すぐ観るしかないじゃないですか!! ちなみに配信済みの1~6話が現在無料でアーカイブ配信されています。興味のある方は是非ご覧下さい」

1~6話無料配信中→https://abema.tv/video/title/90-1286


小野「そして、25日22時からの7話をみんなで観よう!」


◎映画『天気の子』感想……あの結末は評価が難しい。だからこそ観に行って確かめよう

2019-08-15 08:50:29 | 小野と芋子

 

芋子「新海誠監督の最新作『天気の子』をようやく観て来ましたが、これは評価が難しいですね……」

小野「こちらの記事で予言したとおり、個人的には『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』のほうが感動しちゃう結果になってしまった。予言しておいてアレだけど、ちょっと残念である」

芋子「そもそも比較対象がおかしいかもしれませんので『青ブタ』の話は一旦置いておきましょう。『天気の子』に感じる複数の違和感が、感動を薄れさせてしまったことは事実です」

小野「いや『君の名は。』のような大団円ハッピーエンドが特殊事例だっただけで、『言の葉の庭』までの新海作品には毎回違和感を感じていたよ。ただ今回の違和感はそれらとも微妙に違うんだよなあ」





※ここからネタバレ有





<違和感の正体(1)主人公の罪と罰>

芋子「今回はその違和感について掘り下げていきましょう」

小野「何よりも一つ目に挙げたいのは犯罪行為だね。主人公・帆高の拳銃所持、しかも発砲までしたのは誰がどう見ても銃刀法違反である。たった一人の少女を救う為だけに罪を犯すという行為の是非を考えていたら、物語に集中できなかった」

芋子「いっそ『星を追うこども』くらいの完全なファンタジー世界に振り切れば、拳銃の登場くらい気にならなかったかもしれませんが、新海監督の大好きな“新宿”があらゆる箇所に登場しており、SFではあるけど舞台は現実世界の日本の東京だと思わざるを得ません」

小野「帆高の罪を犯した部分については相応の罰を与える必要があったが、なぜか警察の抑止力が弱すぎるし(特に手錠をかけてからも逃げられてしまうあたり)、それでも事後に罰は与えたけど、それが“3年間の保護観察”だけというのもなんだかなあ。たった3年で普通に街を歩けているのだから」

芋子「少し違うかもしれませんが、京都アニメーションの放火事件が頭をよぎってしまいました。あの犯人も、過去に下着泥棒やらコンビニ強盗やらをしており、服役させたとはいえ、普通に街を歩けるようにした結果が放火による大量殺人ですからね」

小野「僕は法律に詳しいわけではないし、ましてや前者はまだ16歳だから、どちらの事例もちゃんと日本の刑法に則った結果なのかもしれないけど、夏休みで小学生もたくさん観ている映画だし、いずれは地上波のゴールデンタイムで放送されることも考慮すべきだったとは思うよ」

芋子「これは令和元年という今の時代に、コンプラがうるさく、犯罪事件が無くならない日本という国でアニメ作品を制作することの難しさでもありますね」

小野「結局、そこを気にさせちゃったら素直に感動できないのは仕方のないことだと思うんだ。逆にコンプラとかが気にならない人なら大感動できたと思うよ」



<違和感の正体(2)新海らしくもない、かといって大団円ハッピーエンドでもない結末>

芋子「2つ目はやはりあの結末ですかね」

小野「大団円ハッピーエンドは『君の名は。』でやったから、個人的に今回は新海監督らしい結末を期待していた」

芋子「“新海監督らしい”というのは?」

小野「『ほしのこえ』『雲の向こう、約束の場所』『秒速5センチメートル』『星を追うこども』『言の葉の庭』……ここまでの新海作品はいずれも明確なハッピーエンドとはいえない結末になっている。だから僕は『天気の子』も、帆高が陽菜を救えないまま終わるんじゃないかと思っていた」

芋子「まあ、あれだけ警察に追われていたら普通は逃げられませんからね」

小野「たった一人の少女を救う為に罪まで犯すなんて決して許されることではないし、その制裁の意味でも陽菜を救えないという大きな罰を与えて欲しかった気持ちもある」

芋子「かといって帆高が陽菜を救ったことが明確なハッピーエンドでもないのですよね、世界が崩壊しちゃっていますから。世界もちゃんと救った『君の名は。』とも異なる結末でした」

小野「つまり今作は、新海監督らしい鬱全開の結末でもなければ、『君の名は。』のようなカタルシスを得られる大団円ハッピーエンドでも無い、どっちつかずになってしまったんだよ」

芋子「どうせ鬱ENDなら過去作みたいに鬱全開にして欲しかったですけど、東京沈没に対するフォローも入り、帆高と陽菜は再会して希望を持たせる結末になったことで中途半端感が否めなくなってしまいました」

小野「まあ今作も『君の名は。』同様、川村元気Pがガッツリ絡んでいるから、完全な鬱ENDにならないことは予測できたことではあるけどね」



<違和感の正体(3)企業タイアップ>

芋子「3つ目はもはや大したこと無いかもしれませんが、本編中に過度に登場する実在の企業や商品です」

小野「特にマクドナルドは本編に少なからず関わってくるからね。かなり大事な部分を実名にしてしまっているから違和感を感じざるを得なかった。『エヴァ』のUCCやローソンくらいの絡みなら許せたんだけど」

芋子「タイアップについてもう一つ言わせていただきますと、TVCMのタイアップも多すぎました」

小野「サントリーの天然水にカップヌードル、クーリッシュ、ソフトバンク、バイトルにミサワホームまで。全く関係のないバラエティー番組を観ていても帆高と陽菜が何度も目に付いてしまい、映画を観る前から少し萎えてしまった

芋子「新海監督のアニメCMといえば、過去にも『大成建設』『Z会』がありましたけど、企業宣伝を想起させず純粋に感動できる作品だったことが印象に残っていますからね」

小野「今見返せば『ミサワホーム』や『バイトル』など良かったCMもあるけど、それは『天気の子』を観たからなんだよね。映画を観ていない人への宣伝なのに、観ていない人にはそんなに響かない矛盾が発生してしまっているんだよ」

芋子「ただ、映画本編に出てきたポテチチャーハンチキンラーメンサラダは私も作ってみたくなったことだけは言わせて下さい」

小野「企業タイアップも、そういう使い方なら良いと思うよ」



<総評>

芋子「というわけで色々言ってしまいましたが、私達は紛れも無い新海作品のファンです」

小野「違和感があったのは事実だけど、作画や背景の美しさは健在だし、当然それだけでも観る価値はある。あと、須賀さんの秘密など本編では説明されていないカラクリも結構あるみたいなので、そういうのも繰り返し観て解き明かしていけば何倍も楽しめるアニメ映画だと思うよ」

芋子「内容も“どっちつかずの結末”と言いましたけど、言い換えれば“全く新しい結末”ですからね。あえて攻めたのだと思えば、これはこれでアリなのかもしれません」

小野「誤解しないで欲しいのは、良いシーンもたくさんあったんだよ。天気が晴れるだけで多くの人が笑顔になるところとか、ラブホでインスタント食品を3人で食べまくるシーンとか」

芋子「あそこ良かったですよね。カップ麺や冷凍食品でもパーティーのように楽しめる3人の絆にほっこりしますし、どう見ても別離フラグというか最後の晩餐にしか見えないのが切なくもあります」

小野「つまり何が言いたいのかというと、皆さんもぜひ劇場へ!

 

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◎『なつぞら』第14~16週(96話まで)感想……夕見子、雪次郎、麻子、坂場……それぞれの恋模様。そしてなつの恋は!?

2019-07-25 10:41:37 | 思ったことそのまま

<第14週『なつよ、十勝さ戻ってこい』79~84話>

  • 東洋動画では、短編映画の制作が決まり、なつ(広瀬すず)と麻子(貫地谷しほり)は、その原画を任されることになった。演出部から坂場(中川大志)も加わり、3人は企画を考えることに。ところが、なんでも勝手に決めていってしまう坂場のやり方に、麻子は不安を覚える。そのころ北海道・十勝に突然の訪問者が。その女性が、なつと生き別れになった妹であることを直感した富士子(松嶋菜々子)は、感激のあまりそのまま千遥を抱きしめる。千遥が十勝の柴田家に来ていると電話で報告を受けたなつは会社を早退。咲太郎(岡田将生)も飛び込むように風車に帰宅し、なつとともに妹の消息がわかったことに安堵し、すぐに十勝にかけつける準備を進める。そのころ十勝では、柴田家を前にした千遥が、なつたちを待たずに帰らなければいけないと言い出し・・・

 

なつの妹・千遥役・清原果耶さんの演技力に尽きる。もう登場できないのが惜しい。
5分版で良いから今すぐこの動画を観て、ホント。
当時の「置屋の娘になった」って安心できる状況では無いのだけどね。
もちろん本編ではそのへんはぼやかしているけど。
色々と言いたいことはあるけど、まずは女優・清原さんの今後のご活躍に期待しよう。

 

<第15週『なつよ、ワクワクが止まらない』85~90話>

  • なつ(広瀬すず)の帰省中、北海道大学に通う夕見子(福地桃子)まで柴田家に帰ってきた。夕見子の言動に富士子(松嶋菜々子)と剛男(藤木直人)、泰樹(草刈正雄)までもが振り回され、柴田家につかのまの日常の風景が戻ってくる。その夜、なつと夕見子が枕を並べていると、夕見子はなつの童話集を手に取り、なつたちきょうだいの姿がある童話に重なって見えると語り出す。東京に戻ったなつと咲太郎(岡田将生)は、十勝でのできごとを亜矢美(山口智子)に報告。亜矢美は千遥の心の内にあるものを察する。翌日、東洋動画に出社したなつは、下山(川島明)、麻子(貫地谷しほり)、坂場(中川大志)から、短編映画の企画案を求められる。そこでなつは、十勝でヒントを得た企画について話し出す。やがて、なつが初めて原画を務める短編映画の制作が始まる。

 

久々の東洋動画メイン週。
そしてあの大物監督がモデルではないかと言われている神地の初登場週。
これ以上面白くなってどうするんだよ。

なつの原案で
坂場が方向性を提案し
神地がアイデアを出す。

麻子さん蚊帳の外状態。そして翌週にあんなことが……。

なつがコッペパンを食べるシーンが減ってカフェのシーンが増えたのも、金銭面で余裕が出てきている証拠だね。目まぐるしく時が進むので、そういう細かい変化を入れてくれるのはありがたい。

5分版でもしっかりと印象を残していくモモッチ。何度も言うけど好きです。

あと、90話ラストのダンス良かったね。5分版にも入れて欲しい。

 

<第16週『なつよ、恋の季節が来た』91~96話>

  • 風車に、なつ(広瀬すず)や坂場(中川大志)、雪次郎(山田裕貴)たちが集まる。その中心にいるのは北海道から上京している夕見子(福地桃子)。夕見子は恋愛観について語るが、なつにはまったく理解ができない。ある日なつが帰ると、夕美子から泰樹(草刈正雄)に似た風貌の男性を紹介される。この男性こそが夕見子と東京にやってきた高山だった。なつをはじめ亜矢美(山口智子)や咲太郎(岡田将生)は高山と会話をしようと試みるが警戒心が強く、打ち解けられない。東洋動画では、なつや麻子(貫地谷しほり)たちの描いた原画に演出担当の坂場(中川大志)は何度も描き直しの指示を命じ、周囲は坂場の進め方に疑問を持つ。そんな中、背景画を担当する陽平(犬飼貴丈)を訪ねたなつは、自分の知らなかった坂場と天陽(吉沢亮)のつながりを知らされる。

 

ついに夕見子メイン週。駆け落ちという謎のテーマをぶっ込み、あっさり片付ける謎脚本。

そして96話で青天の霹靂。麻子がいきなり「私、結婚するの」「学生の時に付き合っていた人からプロポーズされた」と爆弾発言。

そもそも彼氏居たのかよ! っていう。

天陽の結婚の時もそうだけど、何の伏線も張らず、しかも台詞だけで済ませるのはどうかと。

坂場のあれはプロポーズなのか? なつも返事しちゃったから確定なのか?

なつよ、本当に坂場でいいのか? なつよ、なつよ、なつよ………

 

それはそうと、↓坂場の後ろに居る男、誰だっけ?

 

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◎京アニ放火事件に思う「昨日の私よりも今日の私がちょっとだけ優しい人間であればいいな」

2019-07-20 01:22:20 | ほぼ週刊サンマイ新聞

 京都アニメーション放火事件によって亡くなられた皆様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

 また、怪我を負われた方や、心を痛まれた全ての方の一刻も早いご回復を心よりお祈り申し上げます。

 

 京アニやその作品に対する想いを書こうか迷ったが、今回の事件は京アニ以前の問題なのでやめておく。犯行動機は不明だが、どんな動機であろうとも、日夜身を削ってアニメーションを制作する罪なき人を何十人も犠牲にしたのは決して許される行為ではない。

 犯人に観て欲しかった、そして今からでも全ての国民に観て欲しい作品がある。京アニの作品もだが、その前に『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』だ。

 

※追記:『青ブタ』は京アニ制作ではありません。それでも観て欲しいのです。ちなみに略称は「あおぶた」と読みます。

 

 前回の記事でも『青ブタ』を取り上げた。ただその時は事件が起きる前だった。当方は事件が起きた今もなお、いや今だからこそ、『青ブタ』のTVアニメ版と、その続編となる劇場版をどちらも観て欲しい。

 

 もっと早く魅力を発信すべきだったことは後悔している。実は6月18日、劇場版『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』(TVアニメ版とタイトルが異なります)を観た日の夜、ある人にLINEでこんな文章を送っていた。

 

>青ブタを観に行き、あまりにも凄すぎたので思わず連絡してしまいました。
>TVシリーズ13話をちゃんと観てきた人にしか味わえない驚きと感動がありました。
>今の気持ちを上手く説明できません。色々と考えさせられたし、ボーっと生きずに一日一日を大事にしたいと思いました。

 

 個人的にはこの人にだけ感想を伝えたという事実を大事にしておきたかった。なのでブログやTwitterには感想を書かなかったが、今はそんなことも言っていられない。短くまとめるならこの感想が全てである。もう少し言うなら“命”についても深く考えさせられた。

 

 

 

 上の画像は劇場版のキービジュアルである。左の女性が牧之原翔子。主人公・梓川咲太に多大なる影響を与え、劇場版ではメインとなる謎多き少女だが、彼女がTVアニメ版の11話で咲太に言った台詞が今でも忘れられない。

(※TVアニメ版はGYAOで全13話無料配信中。ただし7/24まで)

 

「私はね、咲太君。人生って優しくなる為にあるんだと思っています。昨日の私よりも今日の私がちょっとだけ優しい人間であればいいなと思いながら生きています」

 

 時と場合にもよることを前提で書くが、根本では全ての人間が優しい心を持つべきだと当方は思う。

 今当方が言いたいのは2つだけ。

 一つは、人に優しくして欲しい。

 もう一つは、人に「優しい」と言って欲しい。

 自分が優しくなるだけでなく、誰かのことを少しでも優しいと思ったら素直に「優しいですね」と褒めて欲しい。

 たった一言、その言葉で救われる人は必ず居る。そう信じて欲しい。

 

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