78回転のレコード盤◎ ~社会人13年目のラストチャンス~

昨日の私よりも今日の私がちょっとだけ優しい人間であればいいな

◎不倫男との対決 ~コミュ障だけど幹事をリベンジしてみた~(最終話)

2017-05-07 16:06:39 | ある少女の物語

 

※最近は会社での出来事をあまり書かないようにしてきましたが、今回は自分自身の反省の意も込めて書かせていただきました。もう当分書かないでしょう。ああ、コミュニケーションが上手くなりたい。

 

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<幹事リベンジの任務(5):社内不倫>

 

~5月5日、居酒屋~

(僕)「最初はS店勤務に対するちょっとした忠告だったわけですよ。それがここまで言われるんですよ!? 確かに不倫男の意見がスタッフの総意である可能性は捨てきれないし、僕にも落ち度はあると思います。でも話によればS店での不倫男も入社数ヶ月にも関わらず店長を困らせているらしいのです。彼は彼でそういう人間なのだと思います」

 

(G)「僕も不倫男さんが悪いと思います。水曜日の僕さんの言い方はそんなに厳しいとは思えないです」

 

(僕)「ありがとうございます。ただ書き方のほうは厳しい時もあったのかも」

 

(G)「それも責任者として仕方ないじゃないですか」

 

(僕)「そもそも厳しい書き方になるのはスタッフも悪いんですよ。あの人たちは過去にトラブルを色々やらかして、その度に僕がお客様に必死に謝罪しているわけですよ。不倫男さんだってトラブルを起こしました。時には電話口、時には軒先で1時間以上も謝り続けたことも。だから再発しないように、あえて厳しく書くようになっちゃったんですよ」

 

(G)「ですよね。正しいと思いますよ」

 

 その言葉を聞けただけでも嬉しかった。最低一人は味方が居る。

 

(僕)「しかも、一人のミスだけじゃなくて、いくつもの偶然が重なってトラブルが起きているんですよ! 確率的には有り得ないことが何度も! 同じお客様に半年間で4回も迷惑をかけてクレームになるとか、他の店じゃ有り得ないですからね(しかも4回とも異なるスタッフ)」

 

 そして僕は不倫男がどのような人か、良く知らないG男へ説明を始めた。素直にハイと言わず必ず何か反論する、言うことを守らないことがある、他のスタッフの粗探しばかりする。だが何よりも言いたいことは……。

 

(僕)「ぶっちゃけちゃうと不倫男さん、不倫していましたからね」

 

(G)「えっ!?」

 

(僕)「いや、もしかしたら現在進行形かもしれない。今でもC子さんと異常に仲が良いと思いませんか?」

 

 くどいようだがC子は前回の副幹事。アラサーの主婦で3人の子供を持つ。不倫男も既婚で大学生の息子が居る。お互いが家庭を持ち、肉体的な接触は許されない境遇にあるはずだった。

 

(僕)「もう2年くらい前になりますけど、C子さんの勤務中に不倫男の奥さんがやって来て、2人は口論になったことがあります。どうやら2人きりで一夜を過ごしていたことが何度もあり、それが奥さんにバレたようです」

 

(G)「それヤバイじゃないですか」

 

(僕)「僕はそんな人間に『人の気持ちを考えたことありますか』って言われたんですよ!? 分かりますこの気持ち?」

 

 

<幹事リベンジの任務(6):前回の送別会で起きた本当のこと>

 

(G)「今回の送別会、正直開催したかったですか?」

 

(僕)「そもそもが大人数の宴会が好きなわけではないんですけど、それに加えて前回のこともあったんで、最初は迷いましたよ」

 

(G)「前回、何が起きたんですか?」

 

 一年前のB子の送別会。バースデーケーキに手紙、色紙など、演出をいくつも用意し、総力を挙げて取り組んだ割には大きく得るものが無かった。デジカメのバッテリー切れなどは僕の責任だが、ブログ記事には書いていない事実がまだあった。

 

◎当初企画していた二次会(居酒屋)は会場まで確保していたのに5人同時キャンセルで開催自体中止になった。しかし実際は当方の居ないところで二次会は行われていた(ただしカラオケ)。

◎送別会ではなく「飲み会」と呼ぶスタッフが何人も居た(送別の意思があったのか疑問だった)。

◎送別会にも関わらず、集合写真は誕生日の近いスタッフがケーキを持ってセンターに陣取っていた(当人が悪いわけではなく、そう仕向けた人が居て、それが不倫男である)。

◎下ネタを平気で口にするスタッフが居た(しかも女性だった)。

 

(G)「それでも開催しようと思ったのは?」

 

(僕)「退職するH子さんの労をねぎらいたい気持ちが勝ったんですよね。でもそれも結局はエゴなのかもしれない。本人が乗り気だったのかどうかすら曖昧なのだから、これで良かったのだと思います」

 

 この前日、5月4日。僕はH子へのプレゼントを三軒茶屋まで行って探し回り、その日の夜に渡した。早々にけじめを付け、この話を終わりにしたかったのだ。結果的にH子は僕に笑顔を見せてくれた。それだけでも救われたと思うことにした。

 

 H子だけではない。F子も気遣いのメッセージを送ってくれた。

 

(LINE)『タイミング悪かったですね。運動会シーズンで、みなさん都合悪かったみたいです。H子さん、辞めるとわかっていたら無理してでもでるという方もいたと思います』

 

 気持ちはありがたいが、H子の名前で人を呼び寄せても意味は無い。人望の無い僕が幹事をやる以上、開催が実現したとしてもどこかでトラブルが起きていたのかもしれない。

 

 どのみち、スタッフ全員が敵ではなかった。社員はむしろ味方だった。完全に立ち直ったと言えば嘘になるが、今はそれだけで良しとしようではないか。

 

(Fin.)


◎不倫男との対決 ~コミュ障だけど幹事をリベンジしてみた~(第2話)

2017-05-07 15:56:29 | ある少女の物語

 

※最近は会社での出来事をあまり書かないようにしてきましたが、今回は自分自身の反省の意も込めて書かせていただきました。ああ、コミュニケーションが上手くなりたい。

 

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<幹事リベンジの任務(4):5月3日、不倫男との対決>

 

~5月5日、居酒屋~

 飲み会では、僕の口から不倫男との間に起きた凄惨な事件が語られようとしていた。

 

(僕)「過去に色々あって、僕は不倫男さんを気に入っているわけではありませんでした。だから水曜(5月3日)の朝、発注に来る時も、彼と会わないように9時半に出社しました」

 

(G)「えっ、9時半って、発注期限ギリギリですよね?」

 

 

~5月3日~

 その日、不倫男は朝6時から9時までのシフトだった。彼に会いたくないので出社は必然的に9時過ぎになるが、発注は10時までに本部に送信しなければならず、それがギリギリ可能な9時半に僕は出社したのだ。しかし、

 

(不倫男)「お疲れ様です」

 

 彼は事務所の机に座っていた。これは推測であるが、このあとファミレスでの勤務が控えており、それまでの繋ぎとして居座っている可能性があるのだ。このようなことは過去に何度もあったが、勤務後30分も居るのは初めてだった。当然ながら勤務後の長時間滞在は禁止されている。

 

(不倫男)「机、使いますか?」

 

(僕)「はい」

 

 不倫男は席を立った。いよいよ帰ってくれるのかと思いきや、同じ部屋の丸椅子に座り、スマホをいじっているのだ。こちらが会わないようにわざと遅く出社していることに気付きもしない、それだけで僕のヘイトは溜まりつつあった。

 

 PC画面と向き合い発注する僕と、スマホをいじる不倫男との間には沈黙の時間が流れた。普段より僕等は会話を交わすことがほとんど無かった。少し考えたが、僕はこの機会にあの話をしても良いだろうと思い、口を開いた。

 

(僕)「不倫男さん、S店でも勤務しているんですか?」

 

(不倫男)「どうして分かったのですか?」

 

(僕)「本部の人から聞いて、念の為Gさんに見に行ってもらったら、そこに居るということだったので」

 

(不倫男)「Gさん来ていたのか。気付かなかったよ」

 

 不倫男は「バレてしまった」という感じを見せていた。

 

(僕)「僕としては、遅刻や欠勤など、当店に迷惑をかけるようなことが無ければ何も言うつもりはありません」

 

 それを言うのは当然だと思いたかった。事実、不倫男は最近だけで何度も遅刻をしている。体調不良による急な欠勤で僕が代わりに勤務することも何度もあった。むしろ、これでも優しい言い方のはずなのだ。

 次に僕は、本部より言うように指示されていたことを伝えねばならなかった。

 

(僕)「あとは個店情報を漏らさないで下さい」

 

(不倫男)「それはしていないよ」

 

(僕)「では遅刻欠勤だけ気をつけて下さい」

 

(不倫男)「……はい」

 

 その返事に抑揚は無く、不満そうだった。情報漏えいは最初からするつもりが無かったようで、それを言われたことに対する苛立ちだろうか。だがこれは本人の意思に関係なく伝えねばならないことだ。万が一何か起きた際に、事前伝達の有無で僕の責任の度合いが大きく変わってくる。当たり前のことではないか。

 

(僕)「このことは他のスタッフには伝えないほうが良いですか?」

 

(不倫男)「いや、わざわざ伝える意味が分からない

 

 今度は噛み合っていない。僕は『伝える』とは一言も言っていない。むしろ他のスタッフには内緒にしたほうが良いのではという配慮の気持ちから確認したのに、なぜこんな言われ方をしなければならないのか。既に苛立っていることだけは容易に読み取れた。

 

 

~5月5日、居酒屋~

(僕)「今思うと、この時点でこの話をやめておけば良かったのでしょう。しかし僕はこのあと、あまり必然性の感じられない忠告を一つだけしてしまうのでした」

 

(G)「それは何ですか?」

 

(僕)「『もし今後、S店の勤務の関係でシフトを減らしたいということがあれば、事前に僕に相談して下さい』」

 

(G)「まあ、言っても問題は無いですよね」

 

(僕)「これは昨年なんですけど、僕に無断で他のアルバイトを始めて、勝手に当店のシフトを減らして、やがて他のアルバイトを優先して、当店をバックレた大学生が居たんですよ」

 

 その再発を避けるべく、事前に相談して欲しいと僕は言った。以前、他のスタッフにも数名、同じように伝えたが、素直に「ハイ」と言われるだけで終わった。しかし、不倫男はそうはいかなかった。

 

 

~5月3日~

 

(不倫男)「てゆーかね、他のアルバイトをしているとか関係ないでしょ! 私はシフトを減らさずにちゃんとやっているんですから。もしかして私に辞めろと言っているのですか!?」

 

 ついに怒りが爆発した。

 

(僕)「違います。過去に何人かのスタッフが相談もなしに他のアルバイトを始めて、勝手にシフトを減らして……」

 

(不倫男)「他の人は関係ないでしょ! 最初から減らそうともしない人に対してそれを忠告するのは失礼ですよ!!」

 

 ちょ待てよ。何か起きてからでは遅いから事前伝達をしているのに、まさかそれ自体を否定されるとは。例えば絶対的な信頼を寄せられるスタッフなら伝えなくても大丈夫だと思えるだろう。しかし不倫男は遅刻や欠勤をしている時点で信頼するのは難しかった。

 

(不倫男)「もっと言うとね、アルバイトは自由なんですよ。いつでも辞められるんですよ! 辞めるって言って次の日から来ないことも出来るんですよ!」

 

 突然話が飛躍した。他のアルバイトをしようが自由、シフトを減らすのも自由、辞めるのも自由だから社員にどうこう言われる筋合いは無いとでも言いたいのだろうか。ちなみに退職するには14日前までの申し出が必要であることは民法でもしっかり定められているので、不倫男の言い分は間違っている。それに自由だとしても、50近い大の大人が開き直ったように言うのは人としてどうなのか。

 

 そして、このバトルは思わぬ方向へと向かうのだった。

 

(不倫男)「あなたね、人の気持ちを考えたことありますか?」

 

 まさかの綺麗事である。それをこの男の口からは聞きたくなかった。

 

(不倫男)「今の言い方にしても、過去の言い方やLINEでの書き方にしても、人の気持ちを考えているとはとても思えない」

 

 これでも充分な配慮の上で発言したつもりなのだが。本来ならS店勤務を事前に報告しなかったことを責めているところだ。それを何も言わず、他のスタッフに伝えないとまで言っている。

 

(僕)「いや、僕より厳しい社員も居ますよ」

 

(不倫男)「厳しいっていうのは、ちゃんとコミュニケーションを取った上で厳しくするものでしょ! あなたはコミュニケーションも取らずに厳しく言うから駄目なんですよ」

 

 とうとうコミュ力にまで突っ込んできた。コミュ障なのは認めるが、社員とアルバイトの違いが考慮されていない。アルバイト同士のコミュニケーションと、社員とアルバイトのそれとでは意味が異なる。一定の距離を置かなければならないと僕は思っている。そして「言い方が厳しい」と言われたのはショックだった。確かに厳しい時もあったのかもしれないが、それは社員として、責任者として当然のことではないか。それでも僕は新人時代のアラフォー女性店長や男性マネージャーなどの鬼の如き社員たちに比べれば断然甘いほうだと思いたかった。

 

(不倫男)「まあこれはもう、僕さんの性格の問題だから、治らないのかもしれないけどね」

 

 ついには性格まで……どこまで僕の心をえぐるつもりだ。

 そして、これまでの全ての発言をも上回る“禁断の言葉”は否応無しに発せられた。

 

(不倫男)「飲み会(懇親会)に人が集まらないの、何でか分かりますか?」

 

 おい、今それを言うのかよ。一番気にしていることを。

 

(僕)「自分なりに考えて、これだ(=人望が無い)と思うものはあります」

 

(不倫男)「いや、分かっていないでしょうね」

 

 なんなんだよオイ。分かっているけど言いたくないだけなんだよ、察しろよ。参加希望者ゼロという、ここまであからさまな状況に陥っても尚、気付いていないとするなら、そいつはどれほどの馬鹿かポジティブな奴なんだよ。

 

(不倫男)「みんな同じように思っていますからね、言わないだけで」

 

 挙句の果てには自分の意見をスタッフの総意に置き換えた。我慢の限界をとうの昔に突破していた僕は、少なくとも途中からの綺麗事のオンパレードはお前にも当てはまるだろと言いたかった。それでも最後に残った微かな理性だけで何とか耐え忍んでいた。

 

(つづく)


◎不倫男との対決 ~コミュ障だけど幹事をリベンジしてみた~(第1話)

2017-05-07 15:42:47 | ある少女の物語

※最近は会社での出来事をあまり書かないようにしてきましたが、今回は自分自身の反省の意も込めて書かせていただきました。ああ、コミュニケーションが上手くなりたい。

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 2017年5月5日、18時45分。金曜と大型連休が重なり多くの人で溢れる駅前の商店街に、ある人を待つ男の姿があった。僕である。

 メモ帳を見ながら、このあと話す内容の最終確認をしていると、程なくしてもう一人の男は現れた。

 

(G)「お疲れ様です」

 

 昨年12月、当店に異動してきた社員、G男である。

 

(僕)「では行きましょう。このビルの4階です」

 

 僕等はあらかじめ予約していた居酒屋へと向かう。コンビニの店長代理と部下社員、2人だけの飲み会である。案内された席に着くと、既に多くの客の声が飛び交い、喧騒を極めていた。コスパとクーポンを重視した結果である。個室のある店にすれば良かったと後悔。

 

(僕)「まずはH子さんのことについてですが、F子さんの提案で、皆からお金を集めてプレゼントを贈呈しようということになったんですか?」

 

 イニシャルをGから始めたのには理由がある。一年前、当店のメンバーとOB・OGを集め、僕の初幹事によるB子の送別会が開かれていた。その時のブログ記事で既にAからFまで使用していた。B子は当時高校3年のスタッフで、卒業・就職を期に退職。F子は10年以上の勤務経験を持つ主婦のベテランスタッフである。

 

(G)「そうですね。せめてそれをしてはどうだろうと」

 

 H子はB子の友人で、現在大学2年。ある理由により中途半端なこの時期に退職を決意していた。彼女の送別会を兼ねた懇親会を、僕が再び幹事となって開催しようと企てていた。

一年前のB子の送別会では初幹事として至らぬ点も多かったコミュ障の僕は、リベンジに燃えていた。しかし、誰が求めていたわけでもない自発的なこの熱意が、業界歴5年で最悪と言って良いほどの事件を引き起こすきっかけとなってしまう。その一部始終が、今からこの2人きりの飲み会で語られようとしている。

 

 

<幹事リベンジの任務(1):退職者への意思確認>

 

 遡ること4月22日。僕は5月いっぱいでの退職が確定したH子に、送別会を兼ねた懇親会に参加希望か、意思確認のメールを送信した。件名は『懇親会構想の件』。

 

 

 

 僕の主観ではあるが、H子が人と話すのを好んでいるとは思えなかった。それでも参加者の中に同年代の女子が居れば参加を決意するかもしれない。よって「特定の人物が参加するなら自分も参加希望」という異例の選択肢を設け、日程もH子の都合に寄せる配慮をした。

 

 しかし、メールを送信してから一日、2日、3日……一向に返信は来ない。まさか、あまり乗り気ではないのか。

 

(A)「H子さんは普通に参加したいって言っていましたよ」

 

 前回、B子の送別会を提案したA男である。なぜかH子と仲が良く(※20年弱の年の差がある)、彼の言うことは信じて間違いなかった。

 

(僕)「では何故、3日経っても返信が来ないのですか?」

 

(A)「予定の調整に時間を要しているのでしょう」

 

 しかし、候補日は5月20日と27日。約一ヶ月も先なのだから、今から予定を空けてくれれば良いのにと思う。しかも「他の日希望」という選択肢まで設けたのだから、空けられる日を挙げれば良いだけなのだが。

 

 (A)「僕さんが期限を今週中って決めたんでしょ? なら期限まで待ちましょうよ」

 

 その後、4日、5日、6日と経過するも、僕のスマホの受信トレイはチケットキャンプやヤフオクの新着情報で埋め尽くされるのみであった。そして期限ギリギリの4月29日の夜、送信から7日後にしてようやくH子からの返信は来た。

 

『参加は希望で、5月20日だと嬉しいです』

 

 本心はどうあれ、今はその言葉を信じるしかなかった。既に開催まで一ヶ月を切っており、もたもたしていると会場の予約に支障をきたす。その日のうちに当店のスタッフに宛てる案内状を作成した。

 

 

<幹事リベンジの任務(2):案内状の作成>

 

 

 おおよその参加人数が見えないことには会場の予約も難しい。準備を迅速に進められるよう、期限を4日後に定めた。これを当店のほぼ全スタッフが加入しているLINEグループのノートに投稿。

 

 翌日の朝には一人の女性スタッフから回答が来た。参加希望の欄はNだった。ここで疑問に思ったのは、それが前回の副幹事・C子であることだった。彼女は前回を含め、過去5回もの送別会や忘年会に全て参加していた(※僕が幹事を務めたのは前回のみ)。なぜ今回は不参加を決めたのか。

 同じ日、職場にてある男性スタッフが口頭で「参加しません」と僕に伝えた。彼こそがこの物語のキーパーソンとなるアラフィフの「不倫男」である。この名前にしている理由は後ほど。以上の2名が早々に不参加の意思を示したことで、一抹の不安が過ぎった。もしかして誰も参加しないのではないかと。

 

 

<幹事リベンジの任務(3):不倫男の秘密>

 

 回答期限2日前となる5月1日。更に2名のスタッフより不参加希望の回答があった。この時点で参加希望者はゼロだが、それよりも残り10名からは回答すら無いことに遺憾を覚えた。もはや中止は確定的だった。数名は本当にスケジュールの都合かもしれないが、流石に全員不参加となると、僕に人望が無いことが最大の原因だと悟るしかなく、精神的なダメージは大きかった。H子が乗り気だったのかさえ疑問だし、スタッフ全員が敵にさえ思えてきた。

 

そんな中、職場に巡回に来ていた本部職員の口からこんな発言が。

 

(本部)「不倫男さんがS店でも働いていますよ」

 

 それは初耳だった。不倫男が僕の許可も無しに、同じコンビニチェーンの他店で勤務していたのだ。Wワークは禁止にしていないが、それを希望するならあらかじめ僕に相談するのが筋ではないのか。

 

(本部)「彼はS店でも癖の強い感じで、店長が困っているそうです。このことを言う時はくれぐれも言い方に気をつけて下さい」

 

 事件はその2日後に起きた。

 

(つづく)