78回転のレコード盤◎ ~社会人13年目のラストチャンス~

昨日の私よりも今日の私がちょっとだけ優しい人間であればいいな

◎痛い系女子の壮絶な過去……声優漫画に学ぶ「ぼっちが学校で生き抜く術」(後編)

2016-04-21 08:22:56 | ほぼ週刊サンマイ新聞
 弦楽器を背負いながらバイクに乗っていた女子・悠(ゆう)。下校中に転んでいたいろはるを見兼ね、わざわざバイクを降り話しかけてくれた。

「いいなぁー。私ゲロチュウ大好きなんだー」


 
 学校で貶されたポーチを褒めてくれた。いろはるは思わずその場で泣き出してしまう。そのまま2ケツで悠行きつけのラーメン屋へ向かい、初めて女子2人での外食を体験。学校や学年こそ違えど、いろはるにこの地で友達が出来た。その後も定期的に会っては一緒にラーメンを食べ、次第に仲を深めていく。



 しかし、悠の男友達・凪(なぎ)に惚れたいろはるは、告白するも撃沈。それでも諦めきれず何度も会いに行ったりメールを送り続けるなど、ストーカーまがいの行為をし、凪に「迷惑」と完全に切り捨てられる。悠は励ましてくれたが、今度は彼女に一方的にメールを送り続け、「しばらく忙しくなりそう。メールできない」と距離を置かれる。



 ここに来て“痛い”のみならず“自己中”な性格も災いし、学校でもプライベートでも“ぼっち”になったいろはるは教室で号泣。



 その時、手を差し伸べたのはなんとクラスで一番イケている女子グループの一人、珠理奈だった。いつかの街で父親と二人で歩くいろはるを“援助交際”と勘違いしていた罪悪感から昼食に誘ってくれるなど、彼女のお陰でいろはるはイケている女子グループの仲間入りを果たす。そこまでは良かったのだが、ハイスペックな会話に何とか付いていこうと、転校前の学校ではモテていたなど話を捏造し盛り上げようと必死になり、珠理奈と同じポーチやリップ、トリートメントまで買ったり、過去に貰ったとホラを吹いたストーカーからの手紙を“自分で書いて”証拠として見せるなど、痛さがエスカレートし結局ハブられる末路に。

 傷心に傷心を重ねボロボロのいろはるは、理想の自分と本当の自分、そのギャップに悩んだ末、一つの答えに辿り着く。そして、既にメールで仲直りしていた悠と久々に会った。



『悠ちゃんは親友だから本当のことを話しました。やっぱり悠ちゃんはわかってたみたいで、ムリをしないで焦らず少しずつなりたい自分になる努力をしていこうよって応援してくれました。悠ちゃんの為にも私は変わりたい』



 翌日からいろはるは、学校で一人、クラスメートの動きを観察し、会話を良く聞き、自分が入り込む隙を窺うようになった。辞書を忘れる女子が居ればすかさず自分のスペアを差し出し、家庭科の授業で指に傷を負う女子が居れば誰よりも早くバンドエイドを手渡す。焦らず少しずつ当たり障りのないクラスメートになること。それが、自己中な痛い系ぼっち女子・真島いろはるの答えだった。

 それぞれの新生活が始まりもうすぐ一月が経とうとしている。ぼっちで悩んでいる全ての人へ、今からでも遅くない。いろはるのようなほんの少しの気遣いで良いから、孤独から抜け出す為に、勇気を出して一歩前に踏み出してみてはいかがだろうか。



(#3:1197字)

◎痛い系女子の壮絶な過去……声優漫画に学ぶ「ぼっちが学校で生き抜く術」(前編)

2016-04-21 08:11:59 | ほぼ週刊サンマイ新聞
 1321――これは、『Yahoo!知恵袋』で「高校 ぼっち 女」で検索して出てきた質問の件数である。「同 男」も合わせると実に2000件以上。2016年4月だけでも既に30件以上が投稿され、「休み時間は顔を伏せて寝ているフリ」「班を自由に作ってと言われたら地獄」など、ぼっちの過酷さが赤裸々に綴られている。そんな望んでもいない孤独に悩まされる全ての人に、ある一人の女性を紹介したい。



 アプリで読む漫画雑誌『ジャンプ+』にて2016年2月まで連載されていた『声優ましまし倶楽部』。皆にチヤホヤされるキラキラしたアイドル声優を目指し日々ベクトルの違う奮闘を続ける自己中心的な痛い系女子・真島いろはるが主人公。うっかり転ぶ、パンチラなど計算し尽くされた天然を演じたり、嘘泣きをしたり、パイ寄せで谷間を強調した写真をツイッターにUPしたり、てへぺろは当たり前、髪型をツーサイドアップやおだんごにしたりと、20代前半にしてその痛さは折り紙付き。



 しかし、物語が進んでいくうちに、根は真面目に頑張っていることが明かされる。カフェのアルバイトで店内で行う朗読劇に真剣に取り組むも、怪我人まで出る三角関係のトラブルに巻き込まれる。ネットの生放送へのレギュラー出演が決まるも、現実はデスソース青汁を飲まされたり餅をすすられたりとお笑い芸人ばりの身体を張らされた挙句、監督に気に入られなくなったら即降板の憂き目に遭う。ドラマCDの主演の仕事を勝ち取るも、アニメ化でキャスト変更される。話の所々で痛い部分を見せてはいるが、いろはる自身はちゃんと努力をし、ただ結果が報われないだけだったのだ。やがて共演者に失礼な態度をとることで有名な新人声優・中野アンナからついに核心を突かれる。

「いろはる先輩って真面目ですよね! 学生時代も…制服もキチンと着て…生徒手帳通りに規則正しく生活して…先生にも真面目って褒められたんじゃないですか? みててイライラするんですよ。いつまでピュアな私を褒めてもらえると思ってるんですか?」



 真面目ないろはるが報われず、ゴテゴテのネイルを付けたりするチャラい人や枕営業をする人ばかりが売れていく。このアンナさえも、後に先輩のいろはるを追い越し人気声優に上り詰めるという理不尽。
 痛くても根は真面目――では学生時代はどうだったのか。3月に発売されたばかりの単行本3巻(最終巻)に、なんと前日譚である『放課後ましまし倶楽部』がおまけとして全話収録されていた。



 今の性格とはほど遠い、ぼっちで闇を抱えていた高校時代のいろはる。入学ではなく“転校”というハンデを抱え、しかも登校初日から倒れて保健室に運ばれるという最悪のスタート。話しかけてくれる女子の質問にも上手く答えられず、夜なべで裁縫したポーチはダサいと貶され、一人で食べる弁当はカラスに邪魔され……そんな苦難続きのある日、下校中にバイクに乗った一人の女子と出会う。

(つづく)(#2:1197字)

◎黒だと思う全ての人に捧ぐ……新田恵海という女

2016-04-13 23:20:02 | ほぼ週刊サンマイ新聞
 趣味の多様化が叫ばれる昨今、社会現象という言葉を長らく聞いていなかった。しかし、声優のユニットでありながら紅白歌合戦の出場まで果たし、ファイナルライブは東京ドームを平日にも関わらず2日間も満席にした『μ's』、そして彼女らが出演するアニメ作品『ラブライブ』こそ、社会現象と呼ぶに相応しいものであったと言えるだろう。
 しかし、その国民的知名度を誇るコンテンツは、ファイナルライブの僅か数日後、多くのファンを奈落の底へ突き落とした。2016年4月4日に報じられた、μ'sのセンターでありアニメの主人公・高坂穂乃果の声を演じる“えみつん”こと新田恵海のAV出演疑惑である。
 所属事務所が否定している以上、この真偽について結論を出すわけにはいかない。しかし、黒子の位置や歯並び、さらに後からネット上にUPされた未公開動画の声や口調があまりにも本人と酷似していることから多くのファンは「99%黒」と思ってしまっている。
 しかも「これが原因でμ'sを畳んだのか(※ライブやCD発売を終了しただけで解散はしていない)」「aqours(後継ユニット)がμ'sと絡ませなかった理由はこれか」など、疑惑が疑惑を呼ぶ悪循環さえも生まれている。
「もうμ'sのCDもライブBDも視聴できない」「えみつんの声さえも聴きたくない」……ネット上の数多の意見には同情するが、その中に一つだけ納得できないものがあった。

「主人公の声優を交代すれば少なくとも穂乃果だけは守ることが出来る」

 それは間違いだと言わせて欲しい。ここからは当方しか書かないであろう自論になる。1月20日をもって中村伸行氏が声優ユニット・ミルキィホームズの統括プロデューサーを退任したのは記憶に新しい。同日に行われたイベントを当方はネットの生放送にて拝見したが、そこでの中村氏の言葉はとても響いた。

「この4人でなければミルキィホームズは成立しなかった。一人一人は個性が強く凸凹のようだけど、それがジグソーパズルのように上手く組み合わさってチームワークを発揮している」

 記憶を頼りに書いたので間違いがあったら申し訳ない。だがこのようなニュアンスで話していたことは事実であり、三森すずこ、徳井青空、佐々木未来、橘田いずみ、この4人だからこそミルキィホームズは成功したと、当方も強く言いたい。

 それはμ'sも同じではないのか。声優のみならず歌手やモデル、ネズミ王国のダンサーなど様々な畑から集まった9人こそ「凸凹がパズルのように組み合わさったチームワーク」と呼ぶに相応しいだろう。もし一人でも違う人であったなら、果たして同じような人気を得られていたのか。
 新田を黒だと思う全ての人に言いたい。過去はどうあれ、6年間もラブライブ、そしてμ'sというコンテンツを社会現象になるまで守り続けた新田を含む9人の努力は“白”であることを。

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