78回転のレコード盤◎ ~社会人13年目のラストチャンス~

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◎小野と芋子(10)伝説の番組『ウリナリ』と「ポケビ」について今さら語る

2018-03-21 04:04:30 | 小野と芋子

 

芋子「“お笑いバラエティー番組”として長きにわたり放送された『めちゃ×2イケてるッ!』『とんねるずのみなさんのおかげでした』が共に3月に終了します」

小野「企画を固定せず、ロケやトーク、コントなど色々なことに挑戦してただただ面白いものを作っていくのが“お笑いバラエティー番組”。昔は『リンカーン』『SMAP×SMAP』など、もっとあったんだけどね」

芋子「この春からゴールデン枠に企画やコンセプトを固定しない番組は『DASH』と『ぐるナイ』くらいしか無くなるでしょうね」

小野「そんな“お笑いバラエティー番組”だけど、16年前(2002年)まで放送されていた伝説の番組『ウッチャンナンチャンのウリナリ!!』をご存知だろうか」

芋子「ご存知も何も、私たちが生まれる前なんですけどね」※二人とも高校生です。

小野「文字通りウンナンを始め、よゐこ、キャイ~ン、K2(勝俣州和・堀部圭亮)、そして数名の女性陣をレギュラーとして、主に難しいことに挑戦する企画をメインにしてきた番組だ」

芋子「有名なのは『社交ダンス部』ですね。コントもやっていましたけど、やはりこの番組は“挑戦系”の企画のイメージが強いです。週2回の収録に加え、他の仕事の合間や深夜にも練習したりしていて、拘束時間はとんでもない長さだったと思います」

小野「今なら確実に労基法違反で訴えられる(笑)。それはさておき、今回語りたいのは『ポケットビスケッツ』、通称ポケビについてだ」


<伝説のユニット、ポケットビスケッツ>

芋子「ウッチャン、ウド鈴木、そして千秋の3人で構成された、番組から誕生した音楽ユニットですね。1995年から2000年まで、ウリナリの一つの企画として放送されていました」

小野「『Yellow Yellow Happy』を始め、シングルCDのミリオンヒットを3作も出し、紅白出場も果たすという、番組の企画としてはあまりにも大きすぎる功績を残した伝説のユニットでもある」

芋子「ポケビの全盛期は番組の視聴率も毎週20%を超えるなど絶好調でした。まあ『伊東家の食卓』が28%も取るような“視聴率バブル期”でもありましたけどね」


<ポケビの活動を終了させた謎>

小野「今回は、そんな『ポケビ』が人気絶頂の最中、突然終わらせてしまったのは何故か、考えてみようではないか」

芋子「千秋がポケビを卒業し、ユニットも実質活動休止状態になったのは2000年3月。今思うと、ポケビの終了が番組の寿命を縮める一因になっていたのかもしれません」

小野「その2000年春以降から番組は迷走を始め、翌年には千秋が番組そのものを降板、よゐこなど一部芸人も降板となり、末期は泥だんごを作るなどしてお茶を濁し、2002年3月にウリナリという番組は終焉を迎えることとなった」

芋子「果たして人気絶頂だったポケビを終わらせる必要はあったのでしょうか」


<まずはポケビ終了までの流れを振り返る>

※参考動画:2000年1月の話し合い

 

小野「ポケビは2000年1月に『千秋をソロデビューさせるか否か』の話し合いを行い、千秋のソロデビューとポケビ卒業が決定された。その後は毎週のように思い出の地を巡るロケを行い、最後に訪れたのが1997年12月にライブを行った日本武道館。そこでテル(ウッチャン)の口から『千秋のソロデビューライブ会場として武道館を押さえた』ことが告げられるも、千秋は拒否。武道館はキャンセルされ、3月12日の昼に小さなライブハウスでライブを開催。そしてそれが終わった後、事態は急変する」

芋子「ライブ後の打ち上げにウドが現れ、千秋をリムジンに乗せてある場所へ連れて行きます。アイマスクとヘッドホンを装着させられた千秋は車を降り、手を引くウドと共にゆっくり歩いていきます。そしてアイマスクを取った先に見えた光景は、『Yellow Yellow Happy』を大合唱する1万人の観客と、左右に振られる1万枚の黄色いハンカチでした。そこはなんと武道館だったのです」

小野「武道館を再度押さえ、ポケビのシークレットライブ(事実上のラストライブ)に変更して開催したわけだ。これを千秋と視聴者には完全に秘密にしていたのだから、サプライズ企画としてここまで衝撃で嬉しいものはなかなか無いよ」

芋子「1万人の観客には当選ハガキに『みんなには内緒だよっ☆』と書くだけで、本当に彼等だけの秘密に出来ちゃったわけですから、良い時代でしたね。今ならハガキの画像がTwitterで拡散されて、千秋や他の視聴者にも即バレでしたでしょうね」

小野「この模様は3月24日に『運命のライブ 涙の鳥肌総立ちSP』として放送された。タイトルからして物凄いハードルを上げているけど、確かに番組の企画としてはとても完成度の高い出来になっていたと思うよ」

芋子「最後に武道館だったことが明かされる瞬間は、私も観ていて鳥肌が立ちました。まだ生まれていませんけど

 

※参考動画:運命のライブ 涙の鳥肌総立ちSP

 


<ある程度のヤラセもあったウリナリ>

小野「ただ、もう何となく気付いていると思うけど、ある程度のヤラセが無いとこのサプライズ企画は成立しない

芋子「テルやウドはもちろん、ターゲットの千秋にも当日の動きや台詞の書かれた台本があって、その通りに動いてもらわないと上手くいかないですからね」

小野「それでも千秋には武道館ライブの存在だけは本当に秘密にしていたと信じたいけどね。このポケビ武道館シークレットライブの企画は、その後のウリナリという番組において、総集編などでも一度も振り返られることは無かった」

芋子「番組としても黒歴史扱いなのでしょうか。私は良い企画だったと思いますけどね」


<考えられるポケビ終了の3つの理由>

小野「では本題だ。この企画自体は感動ものだったが、そもそも番組の寿命を縮めてまで、最後の武道館ライブに5万人の応募を集めるほど集客力のあったポケビを終わらせる必要はあったのか」

芋子「その理由について考えるわけですね」

小野「本当の答えは日本テレビに問い合わせるしか無いのだろうけど、僕なりにいくつかの理由を考察してみた。まず1つ目は『レコード会社の意向』だ」

芋子「千秋をソロデビューさせたい思惑があったわけですね」

小野「あくまで予想だけどね。当時のポケビの人気から考えても、千秋のソロで売れる勝算はあったと思うよ。ちなみに2000年1月の話し合いではテルが『ソロもやってポケビもやるのは不可能』と明言していたが、これも不自然な発言だったと思う。千秋のソロと並行してポケビのCDも出し続ければ、どちらもそれなりに売れていたはず。これについてもレコード会社に何らかの思惑があったと考えるのが自然だろう」

芋子「結局、千秋のソロ歌手としての活動は僅か2年。シングル4枚、アルバム2枚を出すのみに止まりました」


<番組の視聴率が低下していた?>

小野「考えられる2つ目の理由は『視聴率』

芋子「番組の企画である以上、視聴率が取れなくなれば終了せざるを得ないですよね」

小野「当時の視聴率データを見つけることは出来なかったけど、ポケビ末期の2000年ですら、最低でも12%は確実に超えていたと思うけどね」

芋子「当時の日テレは毎年のように視聴率三冠王を獲得するほどの独走状態で、『ゴールデンで12%取れない番組は打ち切る』方針がありましたからね」

小野「今なら8~9%でも存続できるんだけどね。厳しい時代だったね」


<ビジネスとして成り立たなくなった?>

芋子「予想される3つ目の理由は何ですか?」

小野「『ビジネスとして成立しなくなったから終わらせた』という可能性だ。実はポケビのライブは全て番組の予算内で行い、視聴者を毎回無料で招待していた」

芋子「えっ、武道館も無料ですか!? どこにそんなお金が」

小野「当時のテレビ局は金があったんだよ。バラエティー番組に湯水の如く金をかけられた。しかもCDやビデオなどをたくさん売って利益を出していたからね」

芋子「となると、CDをたくさん売らないと赤字になってしまいますね」

小野「ここで考えるべきは、ポケビを終わらせる構想はいつ頃からあったかということ。これは最後の武道館ライブがヒントになる。表向きは2000年1月の話し合いにて千秋の卒業は決まったとされているけど、常識的に考えて武道館を押さえたのはもっと前、まあ開催の半年以上は前だと考えたほうが良いよね」

芋子「つまり1999年10月以前にはポケビの存亡に関する議題が上がっていた」

小野「6thシングル『Days』を発売したのは1999年7月だから、これの売上が決定打となったのかもしれない。ちなみに累計売上は約45万枚と、前作『Power』の半分以下となってしまった」

芋子「えっ、もしかして『Power』もミリオン達成していたのですか!?」

小野「そうなんだよね。『Power』も良い曲だけど、『Yellow Yellow Happy』ほどは世間に浸透していない。それでも100万枚売っちゃうんだから、今では信じられない時代だったよ」

芋子「『Days』の45万枚は、数字だけを見ると売れすぎというくらい売れていますけど、CDの単価が500円だったことを考えると、そんなに利益は出せなかったのかもしれませんね」

小野「このままではライブを無料で招待とか出来なくなる。ビジネスモデルとして成り立たなくなったと考えても無理はないだろう。まあファンの数はとても多かったから、仮に有料にしても応募は殺到していたと思うけどね」


<お笑いバラエティー番組の復活を望む>

芋子「ここまで考えると、ポケビを終わらせてしまったのは仕方の無いことだったのかもしれません。しかし、結果的にその2年後にはウリナリという番組自体が打ち切りとなってしまいました」

小野「本当、ウリナリって毎週楽しみにしていた番組だったよ、まだ生まれていなかったけど。金曜の夜8時を待つのが楽しみで仕方が無かった。そんなワクワクするような番組って本当に無くなったよね」

芋子「コンセプトを固定しないお笑いバラエティー番組は、ゴールデンに1つや2つはあっても良いと思います。『DASH』と『ぐるナイ』にはこれからも頑張っていただきたいです」

小野「ぐるナイはゴチ以外の企画をもっと増やして欲しいけどね。でもやっぱり、どの局でも良いからゴールデンに新番組としてお笑いバラエティー番組を立ち上げて欲しいよ。僕の記憶では2012年の『日曜ゴールデンで何やってんだテレビ』が、クイズでもグルメでも無い純粋なお笑いバラエティーとしては最後の新番組だったんじゃないかな。もう5年半も前だよ」

芋子「あとはコント番組ですね。これもゴールデンに1つくらいは欲しいです。NHKの『LIFE』を20時15分枠あたりに昇格させてみてはいかがでしょうか」

小野「それもウッチャンか。ウリナリ終了から16年、『笑う犬』から14年も経つのに、未だに当時のコント精神を忘れていないのは流石だと思うよ」


◎小野と芋子(9)『ポプテピピック』10話が面白かった理由を考察

2018-03-13 13:08:00 | 小野と芋子

 

芋子「2015年の『おそ松さん』、2017年の『けものフレンズ』、そして今期の『ポプテピピック』……アニメは本当に何がヒットするのか分かりませんねえ」

小野「しかも、内2つはギャグアニメだからね。その『ポプテピピック』だけど、観たことはあるの?」

芋子「観ましたけど、1話のAパートの途中で切りました

小野「実は僕、先週の土曜日に10話を観たんだ。前々回で紹介した『スロウスタート』を観終わった後、チャンネルを変えずにいたらたまたま放送していただけだけど。でもこれは確かに面白かった」

 

※関連記事→◎小野と芋子(7)泣ける日常アニメという新ジャンルを確立した『スロウスタート』

 

芋子「本当ですか? 1話を観た限りでは『観る人を選ぶ』というか、『人類には早すぎるアニメ』としか思えませんでした」

小野「面白かったから、『dアニメストア』で1話を観てみたら、これはそんなに面白くなかった

芋子「やっぱそうですよね」

小野「ただ、続けて2話を観たら面白かった

芋子「うーん、その言葉も信じ難いです」

小野「確かにこれは評価が難しいアニメだと思うよ。ただ、30分×12話という一般的な1クールアニメの枠内で数々の斬新なことをしたという意味では、日本のアニメの歴史に名を刻んだといっても過言ではないと思う」

芋子「クソアニメにそんな大げさな表現を使われても……」

小野「例えば全編にわたりホロスコープという斬新な手法を用いた2013年の『悪の華』は良くも悪くも話題となり、日本のアニメの歴史を語る上で『制作方法の一つの例』として取り上げるべき作品となった。『ポプテピピック』もその系統に入ると思うのだよ」

芋子「まだ良く分かりません」


<ポプテピピックの特徴とは>

小野「では具体的に説明していこう。まず、このアニメの特徴とは何か、挙げてみてほしい」

芋子「うーん、まず『絵が個性的』、『女子高生キャラなのに声が男』、あとは『ショートストーリーの詰め合わせ』ですかね」


<声優が毎回変わる>

小野「1話の途中で切ったなら仕方ないけど、少し違うね。1つ目と3つ目は良いとして、2つ目は全くの誤解だ。ポプ子とピピ美の声優は毎回変わる。もっと言うと、1話のBパートはどちらも女の声に変わっている

芋子「えっ、そうだったんですか?」

小野「まあ片方は男性声優(三ツ矢雄二)が女の声を出しているけどね」

芋子「最初観たときは声が男だったことに引っかかりを感じて、素直にギャグを楽しめなかったんですよ」

小野「そういう人も多かったと思うよ。だから大事な1話の見せ方として果たして正しかったのかは疑問である」


<AパートとBパートは同じ話>

芋子「で、3つ目の『ショートストーリーの詰め合わせ』ですけど、原作が4コマ漫画だからというのもありますが、この方式のまま30分×12話もやると途中で飽きられたり、ネタ切れを起こしかねないのではないでしょうか」

小野「いや、実質15分アニメだよ。BパートはAと同じ話を声優を変えて繰り返しているだけだから」

芋子「そういうことですか。にしても斬新すぎるでしょ」

小野「まあ『ポプ子とピピ美の声優が毎話変わる』『AパートとBパートは同じ話で、そこでも声優を変えている』がこのアニメ独自の特徴と言って良いだろう。ただ1話ではこの特徴を上手く生かしきれていなかったとも思う」


<1話が面白くなかった人の意見>

芋子「※あくまで個人の感想だと思って読んで下さい」

小野「ショートストーリーの詰め合わせというのは、その話、話で当たり外れがあるのは仕方の無いことだ。同様にショートの詰め合わせにしたアニメ『日常』も、面白い話は多かったが、一部クスリともしない話もあったのは事実」

芋子「ギャグアニメとしては難しい手法ではありますよね」

小野「で、『ポプテピピック』の1話は、僕の場合、すべての話が笑えなかった。これは致命的だ」

芋子「でも2話は面白かったのですね」

小野「2話は最初の『魔法使いがポプ子とピピ美を召還する話』『かくれんぼ』は面白かったかな。あとは少しニヤける程度。でもそれくらいで良いんだよ。1つでも超絶につまらない話があると、気分的にその後の話も笑いづらくなる。それが1話だったのかもしれない。2話は全体的にニヤける程度でも笑える話ばかりだったから良かった」

芋子「もちろん1話が面白かったと思う人もたくさん居ますから、これは合う合わないの問題だと思います」


<2話が面白かった理由>

小野「で、ここからが重要なんだけど、2話はAパートが女性声優(悠木碧・竹達彩奈)、Bパートが男性声優(古川登志夫・千葉繁)だったから、Aパートは女性キャラに女性声優を当てるという普通のキャスティングをしたから、普通のギャグアニメとして違和感無く観ることが出来た。そしてBパートで同じキャラを男性声優が演じるという変化球を投げてきたわけだ」

芋子「つまり、Aパートはあくまでもフリで、Bパートで同じ話を男性の声に変えることで笑いに昇華するという、30分まるごと使ったギャグということですか?」

小野「まさにそれを言いたかった。もちろんAパートの女性声優2人も独自の味を出していたけど、Bパートの変化球が壮大すぎて、Aが霞むというか、結果的にフリになってしまったという個人的見解だから、誤解しないでもらえると助かる」

芋子「ショートの1つ1つがギャグではあるけれど、構成上は30分まるごと使ったギャグでもあるとは、深いですねえ」


<10話は絶対に観るべき>

小野「そして、その2話の良さを最大限に生かしたのが今回の10話だ。Aパートは女性声優(徳井青空・三森すずこ)、Bパートを男性声優(小山力也・高木渉)にしたことで前述の『Aパートがフリで、Bパートの変化球で笑いに昇華する』手法がちゃんと確立しているし、とにかくBの変化球の度合いが半端ではない。台詞もちょいちょいアドリブを入れたりしていて、もう完全に遊んでいるよね。さすがはネクストコナンズヒント(検索)でアドリブコメントを鍛えてきた高木さんだけあるよ」

芋子「その『Aパートがフリで、Bパートの変化球で笑いに昇華する』ですけど、1話はそれが上手く出来ていなかったということですよね」

小野「まあ1話はギャグアニメとしては分かりづらかったよね。Aパートでいきなり男性声優を使う変化球を投げちゃって、それからBパートで同じ話を女性の声にされても、女性キャラに女性の声を当てるのは普通のことじゃんってなる」

芋子「いや、片方は三ツ矢さんのオカマ声ですから、それはそれで変化球なのですけどね」

小野「あと、上坂すみれのOPも何気に良曲だから、それが1話で流れなかったのも痛い」

芋子「1話は色々と惜しかったのですね」

小野「まあ色々言っちゃったけど、結果的に今期一番かと思われるほど人気アニメになったのだから、世間的には1話はあれで良かったのだろうね。やったもん勝ちだよね、こういうのって」

芋子「そんな色々な意味で斬新なギャグアニメクソアニメ『ポプテピピック』は、TOKYO MXで土曜25時から、『スロウスタート』の後に放送中です」