78回転のレコード盤◎ ~社会人13年目のラストチャンス~

昨日の私よりも今日の私がちょっとだけ優しい人間であればいいな

◎新・無断欠勤少女物語(後編)

2013-08-17 07:50:14 | ある少女の物語
 シフトインの回数を重ねる毎に、僕は感情的になりやすくなっていた。
「やることないならこっちのレジ手伝ってください!」
「独り言は相手を不安にさせるから絶対に言わないでください!」
「とにかく声を出してください。店長に認められませんよ?」
「駄目駄目!」
「気をつけて!」

 怒るつもりは皆無。無いはずなのに、教え続ける疲れと苛立ちが言葉を選ぶ余裕さえも奪ってしまう。

 冷静に考えて気づいたことがある。
 僕は今、女子高生に対して何の感情も抱いていない。こんなに近くにいて、こんなに会話を交わしているのに、何の感情も抱かないのは少女が初めてかもしれない。
 僕は元々子供を好きになれない性格であり、少女は子供が少し大きくなった程度にしか思えないのだ。同じ女子高生というカテゴリーでも、真面目で従順で良くも悪くも正直で、そして笑顔が可愛いあの娘に比べれば……

(A)「少女さんって誰ですか?」
(U)「ああA君は知らないのか。最近入った女子高生です」
「まあカピバラさんのほうが可愛いですよ(真顔)」
(A)「(爆笑)」
(U)「僕さん、そんなこと言っているからロリコン疑惑が持たれるんですよ(笑)」
(言えない……真面目に言ったなんて言えない)

 同じ職場に27歳の女性が居るだけで興奮していた2年前とは違う。上辺だけの感謝と笑顔に騙された1年前とも違う。今はカピバラがいる。それだけで心は満たされている。カピバラという比較対象が出来てしまった以上、彼女より後に入ったスタッフはどうしても彼女を基準とした相対評価になってしまう。

 しかし、何かとても大事なことを忘れていないか。少女はまだ15歳、高校1年生だ。この年で仕事を頑張ろうとすること自体、褒めるべきことではないか。しかも、朝9時から15時頃まで学校で勉強してからここに来て、更に4時間も仕事をしているのだ。高校すら中退し、束縛するものが何も無い悠々自適な日々を送っていた僕なんかより何倍も偉いではないか。本当に駄目駄目駄目駄目なのは僕のほうだ。

「なんか色々強く言っちゃってすみません」
「イヤ、全然大丈夫ですよ(笑)」

 女性の言葉と笑顔をそう簡単に信じてはならないことを昨年のKSM事件で学習している僕から不安の2文字が取り除かれることはなかった。



「少女さん今日はお休みです」
 不安は的中した。7月4日、1ヶ月の試用期間満了を目前にして初めての欠勤。
「今日の昼に電話がかかってきたんだけど、様子がおかしいのよ。『具合が悪いから休みます』ってそれだけ。すみませんとかも無し。何より他の人の雑音が五月蝿かったのよ。学校に居たんじゃないかしら」
 本当に体調不良なら自宅で安静にしているはず。まさかの仮病か。
 ショックだった。どんなに仕事を覚えるのが遅くても、どんなに声が出ていなくても、欠勤だけはしない真面目な人だと思っていた。事実この1ヶ月弱はその通りだった。少しずつ、本当に少しずつではあるが、成長はしていた。どんなに硬い肉でも長い時間をかけて熟成させれば美味しくなる、そんな希望も抱いていた。
 少女が次にシフトインするのは9日後の7月13日。果たして来てくれるのか。

「少女さんと連絡は取っていますか?」
 7月12日。少女とLINEのアカウントを交換したという男子高校生スタッフに聞いてみた。
「最近はあまり取っていないですね。でも最後にLINEやった時は反省しているみたいなこと言っていましたし、やる気はあるんじゃないですか?」
「前回来なかったんですよ。明日もし連絡無しに来なければ(解雇は)ほぼ確定ですね」
「今日一応(明日シフトインの件)伝えておきますね」
 これでシフトの勘違い等の可能性は消え、話は単純になった。翌日来れば本採用、来なければ解雇、ただそれだけである。そして少女が選んだのは――。



「少女さんまだ来ていませんよ」
 7月13日、少女の答えは後者だった。初めての連絡を伴わない欠勤。
 怒りを露にしてしまった僕の責任なのか。一年前の元祖無断欠勤少女やWに対する対応とは明らかに違う。初めて女子高生を客観的に見た結果である。



「あの……誠に申し上げにくいのですが、店長の判断により本採用にはなりませんでした」
 7月15日。着替えを取りに来た少女に対して僕は残酷な言葉を投げるのだった。
「え? 土曜日(13日)出勤だったんですか? 知らなかったです」
 なんと少女はシフトを勘違いしていた。男子高校生スタッフは結局LINEで伝えていなかったのか。
「本当にすみません。ちゃんとシフトを確認して来て毎回来てくれればこっちも助けてあげられたのですが……」
「分かりました。もういいです」

 逆ギレ状態の少女はその言葉を最後に無言で店を去った。

「お疲れ様です」
「………」

 無視である。何故僕が嫌われたみたいになっているのか。僕は店長に比べればまだ少女に希望を抱いていたほうだった。2回も休んだ少女が悪いではないか。

 
――ただの馬鹿な女子高生の話と言えばそれまでだ――


 本当に、ただの馬鹿な女子高生の話だった。


(Fin.)

◎新・無断欠勤少女物語(前編)

2013-08-17 07:45:54 | ある少女の物語
 ただの馬鹿な女子高生の話と言えばそれまでだ。しかし、2月の機種変更で生まれて初めて手中に納めたスマートフォンを有効活用しようとダウンロードしたテキストエディタのアプリを開き、4インチの液晶画面に親指で連打している自分がいるということは、心の何処かにこの話を簡単に片付けたくない想いが残されているのかもしれない。コンビニエンスストアで働き始めて5クールが経過しても未だに平社員を卒業できずにいる駄目駄目な僕が、駄目駄目駄目駄目な少女の為に何が出来るのか、悩み苦しんだ一部始終がここにある。



「少女さんを本採用する気無いんで、次来た時も酷かったらその場でクビ宣告しちゃってもいいから。もうそれぐらい酷いの」

 2013年6月某日。僕の配属店舗に異動してから4つの季節が一周した今でも健在のアラフォー女性店長が、僕の知る限り初めて匙を投げた。まだ2回しかシフトインしていない新人アルバイトの育成を放棄し、事実上僕に押し付ける形になったのだ。カピバラ以来の女子高生アルバイトが入ったとは聞いていたが、彼女とは対照的に駄目駄目の4文字、否、駄目駄目駄目駄目の8文字が当てはまると言って良いレベルにまで達していると言う。その弱冠15歳の少女とは具体的にどこまで酷いのか。


 数日後の6月13日、17時。普段は“2回し”の夕勤が、僕と少女を含め異例の4人体制でスタートした。最低限の人件費で最大限のクオリティを維持してきたこの店では有り得ない事だが、全ては少女に徹底した指導を施すために店長が決めたこと。

 少女は出勤時から様子がおかしかった。
「………」
「おはようございます」
「おはようございます」
 僕があえて数秒間だけ気付かないフリをしても、少女の口から挨拶は無かった。3回目のシフトインでこれである。僕の挨拶に続いただけまだマシと言えるのだろうか。

「雇用契約書です。次回の勤務までに保護者のサインをもらった上で提出して下さい」
「ハイ」
「まあ難しいこと色々書いていますけど、要は一ヶ月の試用期間で本採用に足るレベルにまで達していないと店長が判断した場合は、申し訳ございませんが……てなるってことです」

 そう、少女はまだ仮採用に過ぎない。しかも今のままでは本採用は絶望的。せっかく入った新たな仲間なのだから、残り3週間の試用期間で少女を何とか助けたい。

「まあ店長に何を言われたのか解りませんが、この仕事難しいことは無いんで。基本さえちゃんと、当たり前のことを当たり前にやっていれば大丈夫です」

 いよいよ、僕と少女の戦いが始まった。目標は少女をしっかり育て、諦めた店長を見返すことだ。

「外のゴミ箱の袋を変えてください。傘差しながらで良いんで」
「否、邪魔になるんで大丈夫です」
「肌荒れますよ?」
「大丈夫です、問題ないです」
 装備なしで雨に立ち向かう少女。何かがおかしい。事前に聞いていた情報ほどの酷さは見られない。
「いらっしゃいませ、こんばんは」
「いらっしゃいませ、こんばんは」
「良い笑顔です。それは僕には上手く出来ないことなんで、その笑顔を大事にしてください」
 真面目か不真面目かで言えば、真面目だと思う。彼女が駄目駄目であるという先入観が違和感の元凶だろうか。

 しかし、メッキは次第に剥がれていく。店長曰く彼女の最大の問題は「声が小さい」こと。

「もっと売場全体に聞こえるように声を出して下さい」
「腹から声を出して下さい」
「テレビに出ている芸能人と素人では声の聞こえ方が違うと思いません? 芸能人やアナウンサーは腹式呼吸で、素人は胸式呼吸だから前者のほうが声が出ているんですよ」
「僕が言っているんじゃなくて店長が厳しく言っていることなんで、本当にお願いします」

 何度言っても少女の声量は改善されない。それさえもクリアできないのであれば本採用の可能性は限りなくゼロに近いと察している僕は必死だった。
 しかも、課題は声量だけではなかった。ヘナヘナした歩き方、亀かと疑うほど遅い動き、疲労を隠そうとする気すら無い終盤のダルさ。少女にやる気が感じられない。

「何かね、すごく惜しいんですよ。頑張っているのかもしれないけど、傍から見てそれが感じられない。そりゃ店長も怒りますよ。せっかく頑張っているのならそれをアピールしないと勿体無いですよ」


(つづく)

◎星を数えるよりもこうして君とずっとずっとつながっていたいよ

2013-08-17 01:17:08 | 思ったことそのまま
気付くのが遅すぎた。


当方のコミュ障は治らない。

コミュニケーション能力を上げることは諦めたほうがいい。




言葉は刃物
人間は分かり合えない生き物




この2つの名言を毎日のように自分に言い聞かせてきたはずなのに。

それでも希望を抱いていた。

素敵な明日を願っていた。



そして、3つめの名言が脳裏をよぎる。




諦めることも大事。
ただし、諦めたら、その次のことを考えろ。



「その次」がようやく見つかった。

コミュニケーション能力のない人間がすべきことは何か

やっと分かった。

何故今まで気付かなかったのか。




当方の新たな挑戦が始まる。

そのスタートの記念として、ここに記録を残す。




(いやまあ仕事辞めるわけじゃないし、大した事じゃないんだけど)

◎テレビ局のクリエイティブ問題を解いて現実逃避しよう【#6】

2013-08-05 18:53:23 | 現実逃避クイズ
今回から数回に渡り、当方が昔目指していた職業でもある(知らんがな)
「テレビ局」の入社試験問題を取り上げる。

中でも特徴的なのが「クリエイティブ試験」というもので、
発想力や機転を利かせる能力が問われる問題がある。

これを見ても分かるとおり、テレビ局は良い意味で変な人じゃないと入れないことがつくづく窺える。





【問題1】(画像有)

は何に見えますか。五つだけ書いてください。


(すぐ正解例があります)
















正解(合格例1):
(1)100m先から火の輪をくぐろうと助走しはじめたライオン
(2)白身ばかりの食べごたえのない目玉焼き
(3)麻生太郎総理(当時)が未曾有を「みぞうゆう」と読んだ時、私の目はこうなった
(4)戦闘機にロックオンされた!
(5)心に潜む一点の出来心


===

正解(合格例2):
小学生の悩み相談の時間です。
(1)僕って、たらこ唇だから皆から「オバQ」とか「キン肉マン」って言われるんだよ。いやだな~。(小2男子)
(2)おれさあ、コンパス使って円を書くときいつも力をいれすぎちゃって真ん中に穴があいちゃうんだよねえ……。(小3男子)
(3)私ってどうしてこんなに瞳がちっちゃいんだろう。アユみたいな大きな瞳が欲しいなあ。(小4女子)
(4)バレンタインデーに、◎◎くんのためにドーナツつくったんだけど、膨らみすぎて穴がなくなっちゃった。お母さ~ん、どうしよう。(小5女子)
(5)やべえ、算数のテストで、小数点をつけるかどうか迷って、点をつけたかつけないかわからないぐらいの大きさで点を書いたけど、ばっちし指摘されちゃった。(小6男子)


【Point】試験とは思えない多少はっちゃけた文章でも「発想力」をアピールできれば合格できる。



【問題2】
あなたが有名になるとしたらどのように有名になりますか。その方法を書いてください(1日目、2日目、3日目)。

※僅か3日で有名になる方法です。


(すぐ正解例があります)
















正解(合格例1):
1日目:アフガニスタンに入国する。
2日目:反米武装組織にあえてつかまり、人質となってビデオ映像をとられる。
3日目:ビデオ映像をカタールの衛星テレビ・アルジャジーラに送り、全世界に放映してもらう。


【Point】実現不可能でも良いから「発想力」をアピールする。


正解(合格例2):
1日目:「旧中山道」を「いちにちなかやまみち」と読む。
2日目:「すべからく」を誤用する。「あからさま」を「あらさかま」と言う。
3日目:日本語の使えない女子アナとなる(みんなそうか)。


【Point】見事な三段オチ。


正解(合格例3):
1日目:将来有望な無名アーティストと契約する。
2日目:大学祭に呼んでコンサートを行う。
3日目:名前を「◎◎◎◎(=自分の名前)」で売り出したため、「昨日のアーティスト、歌うまかったよね」とたちまち学内中の有名人になる。





【問題3】
天気予報番組を視聴率80パーセントにするにはどうしたらよいか。


(すぐ正解例があります)
















正解(合格例):
◎天気予報の時間になったらチャンネルが勝手にそこに固定されるテレビを開発する。

◎やらせでテロを起こす。天気予報キャスターを人質にしてそれを放映。

◎史上最大の台風をつくる。今の科学技術を駆使すれば可能であろう。
そうすれば誰もが身の危険を感じて天気予報を見るようになる。
天気予報の番組の演出だけを考えても80%はとれない。天気自体を変えていくしかない。







さあ、考えるのが面倒で答えを見てしまったアナタ、
見てからでも遅くない。じっくり答えを考えてみよう(お前は考えないのかよ)。