野の花 庭の花

野の花や山の花は心を慰めてくれます。庭園に咲き誇る花は心をはなやかにしてくれます。

卯の花の匂う垣根にと歌われた「ウツギ」(春の花 21-47)

2021年04月24日 09時13分52秒 | 

卯の花の匂う垣根にと歌われた「ウツギ」。白い花が満開でまるで白いレースのカーテンがかかったようだ。初夏の長雨をいう「卯の花腐し」(うのはなくたし)という季語もあるようだ。今の気分としては「かすみつつこころ山ゆく花うつぎ 飯田龍太」というところだが。

(2021年春 川崎市)

■春の花シリーズ

「サクラソウ」(春の花 21-01)
「ワスレナグサ」(春の花 21-02)
「ヒメツルソバ」(春の花 21-03)
「レウィシア」(春の花 21-04)
「オオキバナカタバミ」(春の花 21-05)
「スイート・アリッサム」(春の花 21-06)
「ドウダンツツジ」(春の花 21-07)
「カントウタンポポ」(春の花 21-08)
「ホウキモモ」(春の花 21-09)
「アリウム・トリケラトゥム」(春の花 21-10)
「シャガ」(春の花 21-11)
「チョウセンレンギョウ」(春の花 21-12)
「キブシ」(春の花 21-13)
「キランソウ」(春の花 21-14)
「アネモネ」(春の花 21-15)
「タネツケバナ」(春の花 21-16)
「ヘビイチゴ」(春の花 21-17)
「山吹」(春の花 21-18)
「ホトケノザ」(春の花 21-19)
「海棠」(春の花 21-20)
「セイヨウシャクナゲ」(春の花 21-21)
「ホウチャクソウ」(春の花 21-22)
「ラミウム・ガレオブドロン」(春の花 21-23)
「キツネノボタン」(春の花 21-24)
「ビオラ・ソロリア・プリセアナ」(春の花 21-25)
「シロヤマブキ」(春の花 21-26)
「 アニソドンテア・マルウァストロイデス」(春の花 21-27)
「オランダミミナグサ」(春の花 21-28)
「斑入りビンカ・マジョール」(春の花 21-29)
「チエリーセージ」(春の花 21-30)
「スズラン」(春の花 21-31)
「ユウゲショウ」(春の花 21-32)
「レンゲ」(春の花 21-33)
「フジ」(春の花 21-34)
「シラン」(春の花 21-35)
「ヒメウツギ」(春の花 21-36)
「ナルコユリ」(春の花 21-37)
「アヤメ」(春の花 21-38)
「ナデシコ」(春の花 21-39)
「クレマチス」(春の花 21-40)
「シラー・カンパニュラータ」(春の花 21-41)
「ブルビネ・フルテッセンス」(春の花 21-42)
「ヒメライラック」(春の花 21-43)
「シラー・ペルビアナ」(春の花 21-44)
「サボンソウ」(春の花 21-45)
「スパラキシス」(春の花 21-46)

■早春の花シリーズ

「チロリアンデージー」(早春の花 001)
「クリスマスローズ」(早春の花002)
「ツルニチニチソウ」(早春の花 003)
「ペーパーホワイト」(早春の花 004)
「日本水仙」(早春の花 005)
「黄水仙」(早春の花 006)
「カラスノエンドウ」(早春の花 007)
「ラッパスイセン」(早春の花 008)
「ヒマラヤユキノシタ」(早春の花 009)
「ジンチョウゲ」(早春の花 010)
「ヒメオドリコソウ」(早春の花 011)
「アラセイトウ」(早春の花 012)
「オオイヌノフグリ」(早春の花 013)
「ハクモクレン」(早春の花 014)
「玉縄桜」(早春の花 015)
「タチツボスミレ」(早春の花 016)
「河津桜」(早春の花 017)
「ノースポール」(早春の花 018)
「ヒヤシンス」(早春の花 019)
「ミモザ」(早春の花 020)
「フレンチ・ラベンダー」(早春の花 021)
「シデコブシ」(早春の花 022)
「ムスカリ」(早春の花 023)
「レンギョウ」(早春の花 024)
「クロッカス」(早春の花 025)
「馬酔木」(早春の花 026)
「ヤグルマギク」(早春の花 027)
「雪柳」(早春の花 028)
「イベリス」(早春の花 029)
「オオアラセイトウ」(早春の花 030)
「スノーフレーク」(早春の花 031)
「モクレン」(早春の花 032)
「ハナニラ」(早春の花 033)
「ヤマザクラ」(早春の花 034)
「ネモフィラ」(早春の花 035)
「キンギョソウ」(早春の花 036)
「福寿草」(早春の花 037)
「ベニスモモ」(早春の花 038)
「ソメイヨシノ」(早春の花 039)
「ハルジオン」(早春の花 040)
「キュウリグサ」(早春の花 041)
「コブシ」(早春の花 042)
「ヤエベニシダレ」(早春の花 043)
「カタバミ」(早春の花 044)
「ゼラニウム」(早春の花 045)
「ハコベ」(早春の花 046)
「おやゆび姫」(早春の花 047)
「ヒュウガミズキ」(早春の花 048)
「ヒイラギナンテン」(早春の花 049)
「ムラサキサギゴケ」(早春の花 050)
「源平枝垂れ桃」(早春の花 051)
「レッドキャンピオン」(早春の花 052)
「イワニガナ」(早春の花 053)
「アブラナ」(早春の花 054)
「ジャノメエリカ」(早春の花 055)

「ウツギ」

ウツギの基本情報
学名:Deutzia crenata
和名:ウツギ(空木)  その他の名前:ウノハナ、ウノハナウツギ
科名 / 属名:アジサイ科 / ウツギ属

特徴
ウツギは北海道から九州、奄美大島まで自生地の分布域は広く、昔は畑など耕作地の境界木としてよく植えられてきました。幹は木釘に加工されて利用されます。和名のウツギは、幹が中空であること「空木(ウツギ)」に由来しています。別名のウノハナはウノハナウツギの略称です。ちなみに、まったく科や属の異なる種でも幹が中空な植物はウツギと呼ばれていることがあります。

※科名:ユキノシタ科で分類される場合もあります。

●関連図鑑
タニウツギ
ノリウツギ
バイカウツギ

基本データ
園芸分類 庭木・花木
形態 低木 原産地 日本、中国
草丈/樹高 1.5~2m 開花期 5月中旬~6月上旬
花色 白,ピンク 栽培難易度(1~5) 
耐寒性 強い 耐暑性 強い
特性・用途 落葉性,耐寒性が強い,生け垣向き,初心者でも育てやすい

 

卯の花 の例句(←ここをクリック)
http://fudemaka57.exblog.jp/22590901/


卯の花 補遺

(政岡子規は間違い。正しくは正岡子規)

*かがいへの挿頭の花の卯つ木咲く 能村登四郎
あぶく吐く卯の花腐し面白し 阿波野青畝
うぐひすの声さみどりや花卯つ木 渡邊水巴 富士
うたかたの刎ねて卯の花腐しがな 阿波野青畝
おしあふて又卯の花の咲きこぼれ 政岡子規 卯の花
かすみつつこころ山ゆく花うつぎ 飯田龍太
きつたてといふ水甕や卯の花月 岡井省二 鹿野
この祭いつも卯の花くだしにて 政岡子規 五月雨
そもさんか卯の花か達磨の骨なるか 政岡子規 卯の花
たはやすく卯の花こぼれ鞍馬川 飴山實 辛酉小雪
つづかねばならぬ卯の花腐しかな 後藤比奈夫
ところどころの卯の花に触れてゆく 岡井省二 夏炉
ひと日臥し卯の花腐し美しや 橋本多佳子
めにたちて卯つ木の花のましろにぞ 日野草城
よく見ゆる雀のかほや花卯木 斎藤玄 雁道
万太郎逝きて卯の花腐しかな 石田波郷
中尊寺みちの客馬車花卯木 山口青邨
乳腫れし妻に卯の花腐しかな 高田風人子
優しかり卯の花どきの湯殿山 佐藤鬼房
兄ら恋し卯の花腐しかかる日は 三橋鷹女
八階の窓も卯の花くだしかな 富安風生
内弟子と弟子の差卯の花腐しかな 鷹羽狩行
卯つ木咲く雨に出でゆくこごみ癖 角川源義
卯の花とすりあうてゆきにけるなり 岡井省二 鯛の鯛
卯の花と其に似し花と谷間行く 松本たかし
卯の花と沢蟹が友春雷句碑(冨谷春雷さん句碑) 細見綾子
卯の花に 鼻泳がせて 生き残って 伊丹三樹彦
卯の花におそき田植をしてゐたる(白河関跡) 細見綾子
卯の花にかくるゝ庵の夜明哉 政岡子規 卯の花
卯の花にこれから風の明るさよ 後藤比奈夫
卯の花につながれて牛風を見る 下村槐太 天涯
卯の花にねむりの浅き旅をゆく 上村占魚 鮎
卯の花にふじを結ひこむ垣根哉 政岡子規 卯の花
卯の花にみちのくの深すぎるなり 岡井省二 夏炉
卯の花に不二ゆりこぼす峠哉 政岡子規 卯の花
卯の花に二十四時間水の音 右城暮石 散歩圏
卯の花に仏は暑き赤子哉 政岡子規 仏生会
卯の花に仏は黒き赤子哉 政岡子規 仏生会
卯の花に伏目ありしと思ひしが 岡井省二 五劫集
卯の花に尿のかゝる闇夜かな 政岡子規 卯の花
卯の花に昨日の人をまた見たり 橋閒石 和栲
卯の花に昼の稲妻たゞ黄いろ 川端茅舎
卯の花に曽良が剃りたて頭かな 金子兜太
卯の花に曽良の晴着とわが晴着 後藤比奈夫
卯の花に泣きあかしけり尼一人 政岡子規 卯の花
卯の花に用無くて人訪ねたり 橋閒石 微光
卯の花に男のごとき声すなり 橋閒石 卯
卯の花に白波さわぐ山路哉 政岡子規 卯の花
卯の花に経よむ声のなまめかし 政岡子規 卯の花
卯の花に鍋を干したが発句かや 政岡子規 卯の花
卯の花に雨のはげしくなるもよし(鎌倉二句) 細見綾子
卯の花に雲のはなるゝ夜明かな 政岡子規 卯の花
卯の花に雲のはなれし夜明哉 政岡子規 卯の花
卯の花のかたへふすぼる捨篝 政岡子規 卯の花
卯の花のかむさり咲ける茂かな 松本たかし
卯の花のこぼれては浮く堤かな 飴山實 句集外
卯の花のころや沖には鰹潮 森澄雄
卯の花のさながら腐つ山出水 石川桂郎 含羞
卯の花のともれる宇陀をひとり旅 飴山實 辛酉小雪
卯の花の中から牛の角二つ 政岡子規 卯の花
卯の花の十円買ひや春の雪 鈴木真砂女 居待月
卯の花の咲けばそゞろに旅心 星野立子
卯の花の咲頃を野に出そびれし 飯島晴子
卯の花の夕べの道の谷へ落つ 臼田亜郎 定本亜浪句集
卯の花の宿とばかりもことづてん 政岡子規 卯の花
卯の花の山ゆく旅はうつつかな 岡井省二 明野
卯の花の岩座道は神の域 角川源義
卯の花の散り残りけるは鴨足草 尾崎放哉 大学時代
卯の花の暁くる小綬鶏遠呼びに 石田波郷
卯の花の清浄濡るゝ昼の雨 石塚友二 光塵
卯の花の白か車窓にきらめきし 篠原梵 年々去来の花 雨
卯の花の白し雑草園に女客 山口青邨
卯の花の老いて久しき空のいろ 飯島晴子
卯の花の色夢に入る真の闇 飯田龍太
卯の花の里を氷のやけど哉 政岡子規 卯の花
卯の花の闇を吠ゆるや翁丸 政岡子規 卯の花
卯の花の雨となりたる中辺路を 高浜年尾
卯の花の雨の鎌倉山めぐる(鎌倉二句) 細見綾子
卯の花の雪かむさりぬ巌こごし 松本たかし
卯の花の雪やこほれて水の上 政岡子規 卯の花
卯の花はむらがり咲けど何か足らぬ 加藤秋邨
卯の花は咲けども起てず病われ 石田波郷
卯の花やうす紫の著物欲し 星野立子
卯の花やどの思ひ出もみな別れ 平井照敏
卯の花やみちのくぶりの大鎧 水原秋櫻子 殉教
卯の花や一握となる洗ひ髪 鷲谷七菜子 銃身
卯の花や仰臥の指に葉一枚 石田波郷
卯の花や兄の書斎に一日ゐて 山口青邨
卯の花や判官主従のこす笈 水原秋櫻子 殉教
卯の花や厨のともし今は消え 山口青邨
卯の花や名もなき飛湯一つならず 阿波野青畝
卯の花や妹か垣根の朝ほらけ 政岡子規 卯の花
卯の花や弱法師の袖に蝨ちる 政岡子規 卯の花
卯の花や患者われらの森の道 石田波郷
卯の花や戸さゝれぬまの夜気に寝ん 渡邊水巴 白日
卯の花や月にはうとき松の闇 政岡子規 卯の花
卯の花や月夜となればこぼれ立つ 政岡子規 卯の花
卯の花や朝昼晩と句を選び 鷹羽狩行
卯の花や流れは鍬を冷しつゝ 飴山實 辛酉小雪
卯の花や牛叱りたる御随身 政岡子規 卯の花
卯の花や町のとまりは善光寺 政岡子規 卯の花
卯の花や縦一文字ほとの神 森澄雄
卯の花や躓きてより旅の翳 鷲谷七菜子 銃身
卯の花や雨の三七日五七日 安住敦
卯の花や雨夜の月は傾きぬ 政岡子規 卯の花
卯の花をくたすばかりや忘れ鍬 飴山實 辛酉小雪
卯の花をこほさすはいれ豆腐売 政岡子規 卯の花
卯の花をめかけてきたかほとゝきす 政岡子規 卯の花
卯の花をゆきて合歓の木ヤマメ釣り 飯田龍太
卯の花を夜目のあなたや初松魚 森澄雄
卯の花を山吹のごと咲かしある 右城暮石 句集外 昭和六年
卯の花を煎る大鍋や日脚伸ぶ 鈴木真砂女 夕螢
卯の花を腐して足らずけふも降る 上田五千石 風景
卯の花月夜実朝公の軸かけて 山口青邨
卯の花腐しとも花蜜柑くたしとも 上田五千石 風景
卯の花腐し分秒刻む夜なりけり 中村汀女
卯の花腐し君出棺の刻と思ふ 石田波郷
卯の花腐し天草干しし浜辺にも 細見綾子
卯の花腐し寝嵩うすれてゆくばかり 石橋秀野
卯の花腐し山国は墓所多し 飯田龍太
卯の花腐し泣きの涙の石仏 上田五千石『田園』補遺
卯の花腐し生きて安堵といふことなし 鈴木真砂女 夏帯
卯の花腐し白鷺は陵墓越え 廣瀬直人
卯の花腐し追るゝごとく旅に出づ 小林康治 四季貧窮
卯の花腐し酒が奪ひし二人かな 大野林火 方円集 昭和五十一年
卯の花腐し馬鈴薯籠に芽を吹きて 鈴木真砂女 夕螢
卯木咲き螢出初むる水の上 右城暮石 句集外 大正十五年
卯木咲く水に沈めるネズミ捕り 飯田龍太
卯木咲く虫さまざまの音にとび 飯田龍太
古傘に受くる卯の花腐しかな 日野草城
可愛岳を蝶群れのぼる花卯つ木 水原秋櫻子 殉教
塔の軒深し卯の花腐し降る 右城暮石 句集外 昭和四十七年
夕心旅心めき花卯木 高田風人子
夘の花の垣なつかしみおとづれん 政岡子規 卯の花
夜にかけて卯の花曇る旅もどり 飯田蛇笏 旅ゆく諷詠
大玻璃のくもり卯の花腐しかな 星野立子
女工らに卯の花腐しただ降れり 三橋鷹女
女等に卯の花腐し濡れ通る 細見綾子
家めぐる米のとぎ汁花卯木 鷹羽狩行
密教の寺に卯の花腐し降る 右城暮石 句集外 昭和四十八年
寝くたれてをれば卯の花くだしかな 伊藤白潮
小晦日卯の花煎つてゐたりけり 鈴木真砂女 都鳥
山吹の余花に卯の花くだし哉 政岡子規 五月雨
山里の卯の花月夜鳥啼く 政岡子規 卯の花
山駕籠や片よせて舁く花卯木 政岡子規 卯の花
左からのみ顔撮らせ花卯つ木 能村登四郎
幣として卯の花を挿す杣の畑 飴山實 次の花
幻の卯の花垣の辺に立てり 相生垣瓜人 負暄
廃水車回す卯の花くだしかな 阿波野青畝
怠れば卯の花腐し容赦なし 星野麥丘人
我思ふ人の姿よ花卯木 政岡子規 卯の花
文使や卯の花腐し気の毒に 阿波野青畝
旅の日の果てて卯の花の夕残す 能村登四郎
旅の髪洗ふ卯の花腐しかな 小林康治 玄霜
旅衣卯の花摺りてとぶらひぬ 阿波野青畝
日もすがら卯の花腐し茶を淹るゝ 星野立子
明け行くや卯の花月夜しんしんと 政岡子規 卯の花
春ひと日卯の花煎りて人に饗す 鈴木真砂女 夕螢
昨日まで卯の花くだし鞍馬川 飴山實 辛酉小雪
昼酒の人と卯の花くたしかな 村山故郷
時鳥啼かず卯の花くだしつゝ 政岡子規 時鳥
書架静かなりし卯の花腐しかな 後藤夜半 底紅
書淫の眼あげて卯の花腐しかな 富安風生
朝霧の晴れて山見ゆ花うつぎ(箱根) 細見綾子
朝食や卯の花腐したのしみて 阿波野青畝
桶干割れ卯の花くだし溜めもせず 飴山實 辛酉小雪
梅花卯木とはいみじくも呼びなせる 富安風生
水虎鳴く卯の花月の夜明けかな 飯田蛇笏 霊芝
泥川や卯の花垣根結ひつゞく 政岡子規 卯の花
注射腕にかさね卯の花腐しかな 大野林火 青水輪 昭和二十三年
海風にあふられどほし白卯の花(伊豆白田) 細見綾子
淡海より京へ卯の花蝉丸忌 森澄雄
深緑や卯の花見えて苔の花 渡邊白泉
灯ともせば卯の花籬すぐに透く 後藤比奈夫
炭竈の卯の花腐し恐ろしき 川端茅舎
田と畑とわかつ畦径花うつぎ 山口青邨
男ごゑ女ごゑ卯の花垣をたもとほる 森澄雄
疑ひて見れば卯の花ならぬやう 右城暮石 句集外 昭和十二年
病むとなく憂き日々すぎぬ花卯つ木 村山故郷
痛み呆けて泣けば卯の花腐しかな 石橋秀野
白湯に味卯の花腐しよろこべば 上田五千石 風景
眠ければ眠る卯の花月夜かな 高野素十
眼を病んで卯の花腐し吾を縛す 燕雀 星野麥丘人
石垣に垂れて卯の花みかん山(小田原蜜柑山) 細見綾子
磯掻に日照雨すぎけり花卯木 石田波郷
稜線をはなれ卯の花月夜なる 稲畑汀子
空病みて川かなします花うつぎ 岡本眸
筧浚ふ人も卯の花露明り 河東碧梧桐
糞づまりならば卯の花下しませ 政岡子規 卯の花
緋鯉真鯉卯の花腐しうれしくて 阿波野青畝
胃の腑をも卯の花腐し腐しけり 相生垣瓜人 負暄
胎蔵寺卯の花くだし漏るならむ 阿波野青畝
胸にはラッセル卯の花腐し熄める夜も 石田波郷
花もなき卯木の垣や洗ひ飯 政岡子規 水飯
花卯つ木折ふし遠く雉子鳴く 飯田龍太
花卯つ木薙ぎ伏せにけむ野太刀かも 水原秋櫻子 緑雲
花卯木水模糊として舟ゆかず 飯田蛇笏 霊芝
袋で水運ぶ少年花うつぎ 岡本眸
覺束な卯の花垣の薄月夜 政岡子規 月夜
越前から美濃へ溢れて藤や卯の花 金子兜太
身体髪膚老いて卯の花腐しかな 岸田稚魚 紅葉山
鉄路踰ゆる卯の花月夜ありにけり 藤田湘子 途上
鎖戸樋卯の花腐し奏でけり 阿波野青畝
降りそめてゐたりし卯の花腐しかな 岸田稚魚 紅葉山
降り出して卯の花腐しなりしかな 稲畑汀子
雨の洲の卯の花かなし衣川 水原秋櫻子 帰心
雨意のごと卯の花散れり山下る 細見綾子
面影か卯の花垣に懸かりしは 中村苑子
顔入れて馬も涼しや花卯木 前田普羅 飛騨紬
香足して卯の花曇り詣でけり 星野麥丘人


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