野の花 庭の花

野の花や山の花は心を慰めてくれます。庭園に咲き誇る花は心をはなやかにしてくれます。

青紫の五弁花が心に灯をともす「ワスレナグサ」(春の花 21-02)

2021年04月01日 07時18分15秒 | 

青紫の五弁花が心に灯をともす「ワスレナグサ」。勿忘草、「な忘れそ」という名前がすばらしい。園芸品種が出回って、一部で野生化している。野草のヤマルリソウと似ているが、ワスレナグサは「花冠の喉に黄色・白色の目(小斑点)をもつ」ところで区別できる。名前のおかげで俳句でも好まれるテーマだ。「わたしひとり勿忘草のこちら側 浅利康衛」。さて、忘れたのは誰でしょう。

(2021年春 川崎市)

■春の花シリーズ

「サクラソウ」(春の花 21-01)

■早春の花シリーズ

「チロリアンデージー」(早春の花 001)
「クリスマスローズ」(早春の花002)
「ツルニチニチソウ」(早春の花 003)
「ペーパーホワイト」(早春の花 004)
「日本水仙」(早春の花 005)
「黄水仙」(早春の花 006)
「カラスノエンドウ」(早春の花 007)
「ラッパスイセン」(早春の花 008)
「ヒマラヤユキノシタ」(早春の花 009)
「ジンチョウゲ」(早春の花 010)
「ヒメオドリコソウ」(早春の花 011)
「アラセイトウ」(早春の花 012)
「オオイヌノフグリ」(早春の花 013)
「ハクモクレン」(早春の花 014)
「玉縄桜」(早春の花 015)
「タチツボスミレ」(早春の花 016)
「河津桜」(早春の花 017)
「ノースポール」(早春の花 018)
「ヒヤシンス」(早春の花 019)
「ミモザ」(早春の花 020)
「フレンチ・ラベンダー」(早春の花 021)
「シデコブシ」(早春の花 022)
「ムスカリ」(早春の花 023)
「レンギョウ」(早春の花 024)
「クロッカス」(早春の花 025)
「馬酔木」(早春の花 026)
「ヤグルマギク」(早春の花 027)
「雪柳」(早春の花 028)
「イベリス」(早春の花 029)
「オオアラセイトウ」(早春の花 030)
「スノーフレーク」(早春の花 031)
「モクレン」(早春の花 032)
「ハナニラ」(早春の花 033)
「ヤマザクラ」(早春の花 034)
「ネモフィラ」(早春の花 035)
「キンギョソウ」(早春の花 036)
「福寿草」(早春の花 037)
「ベニスモモ」(早春の花 038)
「ソメイヨシノ」(早春の花 039)
「ハルジオン」(早春の花 040)
「キュウリグサ」(早春の花 041)
「コブシ」(早春の花 042)
「ヤエベニシダレ」(早春の花 043)
「カタバミ」(早春の花 044)
「ゼラニウム」(早春の花 045)
「ハコベ」(早春の花 046)
「おやゆび姫」(早春の花 047)
「ヒュウガミズキ」(早春の花 048)
「ヒイラギナンテン」(早春の花 049)
「ムラサキサギゴケ」(早春の花 050)
「源平枝垂れ桃」(早春の花 051)
「レッドキャンピオン」(早春の花 052)
「イワニガナ」(早春の花 053)
「アブラナ」(早春の花 054)
「ジャノメエリカ」(早春の花 055)

「ワスレナグサ」

ワスレナグサ(勿忘草、忘れな草)は、広義には、ムラサキ科ワスレナグサ属の種の総称。狭義には、ワスレナグサ属の一種、シンワスレナグサ(学名:Myosotis scorpioides)の和名。ただし、園芸業界でワスレナグサとして流通しているのは、ノハラワスレナグサ (M. alpestris)、エゾムラサキ (M. sylvatica)、あるいはそれらの種間交配種である。一般には、広義の意味で称される。季語は春である。

特徴
ヨーロッパ原産で、北半球の温帯から亜寒帯(ユーラシア大陸・アフリカ大陸・オセアニア)に約50種が分布している。日本に渡来したのは、明治時代に園芸業者がノハラワスレナグサ (M. alpestris) を輸入したのが最初と言われている。しかしワスレナグサ属ということでは、日本には元来、エゾムラサキ (M. sylvatica) 一種が自生分布している。

野生化して各地に群生しており、日本全国(北海道・本州・四国)に分布している。一般に日当たりと水はけのよい湿性地を好み、耐寒性に優れているが、暑さには弱い。二年生もしくは多年生植物の宿根草であるが、日本で栽培すると夏の暑さに当てられて枯れてしまうことから、園芸上は秋まきの一年生植物として扱われる(北海道や長野県の高地など冷涼地では夏を越すことが可能である)。

花期は3 - 5月(冷涼地では4月 - 7月)。春から夏にかけて薄青(紫)色・鮮青(紫)色(園芸種はさらに白色・ピンク色など)をした6–9ミリ径の小さい5弁の花を咲かせ、花冠の喉に黄色・白色の目(小斑点)をもつ。花は多数でさそり型花序をなし、開花とともにサソリの尾のような巻きは解けて真っ直ぐになる。

高さは20–50センチになり、葉が互生に付く。葉は細長く平らで、長楕円形(葉の中央付近が最も葉の幅が広い)、もしくは倒披針形(葉先近くが最も葉の幅が広い)である。葉から茎まで軟毛に覆われており、属名の Myosotis は、そうした葉の様子(細長く多毛で柔らかい)が、ネズミの耳に似ていることに由来している(ギリシャ語の「二十日鼠 (myos) +耳 (otis)」が語源)。

勿忘草
 
すぐ横を勿忘草の水流れ 佐々木六戈 百韻反故 冬の皺
ふるさとを忘れな草の咲く頃に 成嶋瓢雨
わたしひとり勿忘草のこちら側 浅利康衛
サマルカンド・ブルーはなみだ勿忘草 佐々木とみ子
シヤンソンを聴く薄明の勿忘草 きくちつねこ
バイカルの勿忘草に空高し 依田明倫
一面の勿忘草に日は淡し 轡田進
勿忘草いよいよ口を閉ぢて病む 石田波郷
勿忘草そこが日溜まり司祭館 渡辺乃梨子
勿忘草たちまち迷ふ出湯の径 児玉 小秋
勿忘草にいろいろ別れありにけり 赤松寿代
勿忘草の法體の漢なぞ 佐々木六戈 百韻反故 吾亦紅
勿忘草わかものゝ墓標ばかりなり 石田波郷
勿忘草人は恋にも死ににけり 林 翔
勿忘草光りて呼ぶはちさき水面(みお) 香西照雄
勿忘草利根の離村にやさしかり 大谷雅子
勿忘草司祭の館丘に寂ぶ 小池文子 巴里蕭条
勿忘草夫に贈りし日は遠く 堀内民子
勿忘草神々の座に氷河照り 有働亨 汐路
勿忘草穂高のゆらぐ泉あり 澤田 緑生
勿忘草蒔けり女子寮に吾子を入れ 堀口星眠 営巣期
勿忘草霧に咳き人行けり 堀口星眠
夕さりぬ勿忘草へ山の風 伊藤敬子
奏でる海へ音なく大河勿忘草 中村草田男
小さう咲いて勿忘草や妹が許 村上鬼城
少し長け勿忘草の色減りし 稲畑汀子
忘れな草冷ゆるラファエルの石棺に 小池文子 巴里蕭条
忘れな草更けてゐし寺の夜風にも 中川宋淵
情夫待つ勿忘草の風の中 高橋彩子
摘までゆく勿忘草よふるさとよ 大久保橙青
母の忌に勿忘草を姉さげて 南 耕風
水神へ勿忘草の日向道 伊原正江
消ぬばかり勿忘草の風に揺れ 菊川芳秋
美しき勿忘草を植ゑ替へし 枌 さつき
船室の勿忘草のなえにけり 佐藤眉峰
花よりも勿忘草といふ名摘む 粟津松彩子
血を喀けば勿忘草の瑠璃かすむ 古賀まり子 洗 禮
遠く細し勿忘草の径のこる 田島誠壽
雨やさし勿忘草に降りにけり 佐藤美恵子
雨晴れて忘れな草に仲直り 杉田久女
雫して勿忘草の色褪せず 佐藤きみこ
 
勿忘草 補遺
 
この花に勿忘草といふ名あり 清崎敏郎
その中の勿忘草や植木市 石田勝彦 雙杵
わがための勿忘草を妻の墓 森澄雄
わすれな草濃きもえぞ地と思ふかな(北海道) 細見綾子
雨晴れて忘れな草に仲直り 杉田久女
応へまし勿忘草がそろひ揺るる 中村草田男
宮殿の勿忘草に森開け 稲畑汀子
銃棄ててからのペン歴 勿忘草 伊丹三樹彦
色濃くて勿忘草も蜑のもの 石田勝彦 雙杵
奏でる海へ音なく大河勿忘草 中村草田男
篤農の妻の単衣の藍微塵 星野麥丘人
無理矢理に勿忘草をくるるなり 後藤比奈夫
勿忘草「蒼白傲岸婦女」いまも遥か 中村草田男
勿忘草いよいよ口を閉ぢて病む 石田波郷
勿忘草の春はめぐりて五十三 水原秋櫻子 蘆雁
勿忘草光りて呼ぶはちさき水面 香西照雄
勿忘草日本の恋は黙つて死ぬ 中村草田男
椽ありて墓地の勿忘草を摘む 岡本眸
纜やなづな隠れに勿忘草 中村草田男


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