野の花 庭の花

野の花や山の花は心を慰めてくれます。庭園に咲き誇る花は心をはなやかにしてくれます。

巨大な樹木に大きな白い花が咲く「タイサンボク」(夏の花 21-021)

2021年06月22日 10時26分04秒 | 

巨大な樹木に大きな白い花が咲く「タイサンボク」。多くの花は木の上のほうで咲くので、意外と写真に撮りにくい花である。それでも優雅な花だし、この季節を象徴する花だけに、かつては近くを探し回ったものだった。泰山木という漢字名もよい。学名は大きな花の咲くモクレン属の木という意味で、文字通りである。この花は梅雨とよくあう「梅雨荒し泰山木もゆさゆさと 日野草城」。
(2021年初夏 東京都)

■夏の花シリーズ

「アカンサス」(夏の花 21-001)
「タチアオイ」(夏の花 21-002)
「コバンソウ」(夏の花 21-003)
「エノテラ ‘アフリカンサン’」(夏の花 21-004)
「ヒメコバンソウ」(夏の花 21-005)
「ムシトリナデシコ」(夏の花 21-006)
「ゼニアオイ」(夏の花 21-007)
「ナンテン」(夏の花 21-008)
「ハクチョウソウ」(夏の花 21-009)
「セイヨウノコギリソウ」(夏の花 21-010)
「ノアザミ」(夏の花 21-011)
「マトリカリア」(夏の花 21-012)
「ホタルブクロ」(夏の花 21-013)
「オランダカイウ」(夏の花 21-014)
「萩」(夏の花 21-015)
「アメリカデイゴ」(夏の花 21-016)
「サンゴシトウ」(夏の花 21-017)
「キキョウソウ」(夏の花 21-018)
「トリトマ」(夏の花 21-019)
「テッポウユリ」(夏の花 21-020)

「タイサンボク」

タイサンボクの基本情報
学名:Magnolia grandiflora
和名:タイサンボク(泰山木)  
科名 / 属名:モクレン科 / モクレン属

タイサンボクは、モクレンやコブシなどと同じ仲間。早春から続くこのマグノリア(モクレン)属の開花の最後を飾るのが、タイサンボクです。こんな時期にと思うほど遅い6月から7月に、大輪で純白の香りのよい花を咲かせます。花の白と、常緑で光沢のある葉の深緑色との対比は非常に美しいものですが、花が上向きに咲き、樹高が高いため、見上げないと開花に気づかないことがあります。大きな葉の裏面には、茶色の毛が密生し、花のない時期にも端正な樹形と相まって美しいものです。
日本へは明治時代に導入されましたが、現在では広く栽培されるマグノリアの一つとなっています。鉢植えの苗はコンパクトに仕立てられていますが、意外に成長が早く複数の幹が立ち横枝も張りますので、庭木として栽培します。

基本データ
園芸分類 庭木・花木
形態 中高木 原産地 北米南西部
草丈/樹高 20mに達する 開花期 6月~7月
花色 白 栽培難易度(1~5) 
耐寒性 強い 耐暑性 強い

泰山木の花 の例句

あけぼのや泰山木は蝋の花 上田五千石 田園
あさの客泰山木を挿してまつ 及川貞 夕焼
お上りに泰山木の花頽る 佐藤鬼房
かがみて拾ふ泰山木の花びらを 細見綾子
けふ絣着て泰山木の花 森澄雄
さし寄りて泰山木の花逞し 日野草城
しぐるるや泰山木と虚子像と 星野麥丘人
しづかに切る泰山木の花の枝 日野草城
ただありて泰山木の冬日和 森澄雄
たまたまたづね来てその泰山木が咲いてゐて 種田山頭火 草木塔
だんまりや泰山木の白法師 鷹羽狩行
ばらりずんと泰山木の花崩る 日野草城
ひらくことつつしみ泰山木の花 鷹羽狩行
らう~と泰山木は霜に照り 川端茅舎
セビリヤの朝来て泰山木の花 岸田稚魚
ロダンの首泰山木は花得たり 角川源義
一番花泰山木の秀枝より 阿波野青畝
万緑に泰山木の花二つ 日野草城
上層中層下層泰山木咲きぬ 中村草田男
人一人泰山木の花仰ぐ 高野素十
仰視をば泰山木に強ひられし 相生垣瓜人 負暄
処世過ちて泰山木落花 後藤比奈夫
可睡斎目覚むるごと咲く泰山木 松崎鉄之介
墨かをり泰山木の花かをる 日野草城
壺に咲いて奉書の白さ泰山木 渡邊水巴 富士
太陽と泰山木と讃へたり 阿波野青畝
妻の背に泰山木の花裏に 古舘曹人 能登の蛙
子に遠し泰山木を壺に挿し 三橋鷹女
子へ書けり泰山木の花咲くと 三橋鷹女
孫夫婦よ泰山木一樹花溢れ 松村蒼石 雁
守宮立つ泰山木の宝座かな 阿波野青畝
宮殿を地下に泰山木の花 鷹羽狩行
師弟はまた主従泰山木一花 鷲谷七菜子 游影
廟は動ぜず泰山木の花風に 山口青邨
徹夜稿泰山木に朝の神 原裕 青垣
忌に咲いて泰山木の椀円か 上田五千石『琥珀』補遺
慰霊の日泰山木の一花の白 日野草城
旅を来て魯迅墓に泰山木数華 金子兜太
明日ありて今日の泰山木の花 鷹羽狩行
昼寝ざめ泰山木の花の香に 日野草城
暁の空気泰山木咲けり 星野立子
林泉や雨よくかゝる泰山木 渡邊水巴 富士
梅雨荒し泰山木もゆさゆさと 日野草城
泰山木いやはての蕾咲きにけり 日野草城
泰山木くだつ霖雨や通し鴨 渡邊水巴 富士
泰山木その一枝をぽつきりぬすんだ 種田山頭火 自画像 落穂集
泰山木ちりては杓子雨を汲む 山口青邨
泰山木に雪あつきかなまた雪に 角川源義
泰山木の一花の統べし日暮かな 岸田稚魚 紅葉山
泰山木の一花は友の母の座よ 野澤節子 八朶集
泰山木の咲き隠々としてありぬ 岸田稚魚 紅葉山
泰山木の咲くを夢見む今日あれば 岸田稚魚 紅葉山
泰山木の大きな蕾大きな花 日野草城
泰山木の大き花かな匂ひ来る 臼田亜郎 定本亜浪句集
泰山木の巨花見下しに茶を喫す 大野林火 月魄集 昭和五十五年
泰山木の木蔭に入りて出でずゐる 岸田稚魚 紅葉山
泰山木の花ありつたけ崩壊秘め 加藤秋邨
泰山木の花に怒りの相を見し 波多野爽波
泰山木の花の横顔に昼寝覚む 日野草城
泰山木の花の香追善茶会なり 及川貞 榧の實
泰山木の花や男を保つべし 森澄雄
泰山木の花や起伏の多き町 細見綾子
泰山木の花をはなびらを蘂を視る 日野草城
泰山木の花視野になしそのかをり 日野草城
泰山木の蕊くづるるは噎ぶなり 松村蒼石 雪
泰山木はるか沖より梅雨の風 飯田龍太
泰山木ひらきおくれの花一つ 星野麥丘人
泰山木ひらき即ち古びに入る 橋本多佳子
泰山木よりも高所寝 魯迅の街 伊丹三樹彦
泰山木一花は低く墓にそふ 山口青邨
泰山木七つの蕾ひらき次ぐ 日野草城
泰山木匂ひ蘇州に遅き月 松崎鉄之介
泰山木博士鋳像と成りたまふ 阿波野青畝
泰山木厳冬花は無かりけり 渡邊水巴 富士
泰山木合掌薫るおん佛 水原秋櫻子 旅愁
泰山木君臨し咲く波郷居は 及川貞 夕焼
泰山木咲いて潮の土佐の国 森澄雄
泰山木咲きつぎ死にゆくもの柔らか 金子兜太
泰山木咲きて法王常に老ゆ 中村草田男
泰山木咲き東京を濡らす雨 平畑静塔
泰山木咲けり押入のものを出す 下村槐太 天涯
泰山木咲けり白幡南町 松崎鉄之介
泰山木天にひらきて雨を受く 山口青邨
泰山木妻へ傾く夜の雲 原裕 葦牙
泰山木家出るたびの遠目ぐせ 野澤節子 鳳蝶
泰山木屋根を圧して花をおく 山口青邨
泰山木巨らかに息安らかに 石田波郷
泰山木楕円の雪の晴れにけり 川端茅舎
泰山木花の玉杯かたむけず 上田五千石 風景
泰山木花を傾く看経に 山口青邨
泰山木花上に雨後の重き天 林翔 和紙
泰山木落花 仏の手窪かと 伊丹三樹彦
泰山木蕊をとどめて花は散る 阿波野青畝
泰山木鏡なす葉に咲かむとす 水原秋櫻子 古鏡
泰山木雨に濡れきし僧が客 大野林火 方円集 昭和五十一年
海よりの残光泰山木の花 有馬朗人 母国
溽暑し泰山木は咲けり匂ふ 日野草城
灯に向いて泰山木の蕾かな 山口青邨
白し 残月 白し 泰山木の花 伊丹三樹彦
皓々と泰山木のけさの花 日野草城
目の前の泰山木の香の死角 稲畑汀子
石踏に毀たれ泰山木の花 鷹羽狩行
磔像は似合う 泰山木の茂み 伊丹三樹彦
磔像や泰山木は花終んぬ 山口誓子
秋の日に泰山木の照葉かな 村上鬼城
移り香に泰山木の花終る 原裕 青垣
筺辺に泰山木の活けられし 阿波野青畝
紅富士や泰山木は花かかげ 角川源義
緑陰のおもて泰山木の花をおき 山口青邨
胸疼くまで明晰の泰山木 佐藤鬼房
花の土に溜る泰山木の滓 阿波野青畝
花の数見す泰山木は男の木 岸田稚魚 紅葉山
葉を一つ落とし泰山木の花 深見けん二
蕾立つ泰山木は男の木 森澄雄
蠅ゆきき泰山木の花と吾に 山口青邨
街路樹に泰山木を咲かす国 稲畑汀子
都市生活寺の泰山木が咲く 阿波野青畝
野馬追武者泰山木の花の下 松崎鉄之介
雀らに泰山木の黙の花 石田波郷
雨の本郷見下す泰山木の花(夫入院) 細見綾子
霖雨や泰山木の花堕ちず 杉田久女
霧たしかむ泰山木の花見ては 岡本眸
魯迅の墓泰山木の巨花が侍す 松崎鉄之介
魯迅の書泰山木の香がとどく(中国旅行吟) 細見綾子



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