野の花 庭の花

野の花や山の花は心を慰めてくれます。庭園に咲き誇る花は心をはなやかにしてくれます。

優雅なたたずまいのフタリシズカ

2019年05月31日 14時24分45秒 | 
高尾山ではヒトリシズカはもう終わっていたが
フタリシズカが群れて咲いていた。
優雅な名前をもらった植物の一つだ。
花のたたずまいも、名前に恥じずに優雅なものである。
このような花を撮影していると、都会の空気がすっかりと抜けるような気分になる。
(2019-05 東京都 高尾山)





フタリシズカ
フタリシズカ(二人静、学名:Chloranthus serratus)は、センリョウ科の多年草。

特徴
沖縄を除く日本全国の山林の比較的暗い場所に分布する。高さは30~60cm。花期は4~6月。茎の先に数本(2本の場合が多い)の穂状花序を出し、小さな白い花をつける。花には花弁も萼もなく、3個の雄しべが丸く子房を抱いている。花序は立っているが、果実ができると下に曲がる。夏頃(果実の成熟期)に閉鎖花をつける。

和名は、2本の花序を、能楽「二人静」の静御前とその亡霊の舞姿にたとえたもの。ヒトリシズカと対を成す。ただし、花序は二とは限らず、3-4つく例もある。

梅に似た大きな黄色い花を開くキンシバイ

2019年05月31日 08時29分28秒 | 
金糸梅が咲き始めた。
昔はよく調べずに、よくうつ病に効くというセイヨウオトギリソウ(セントジョーンズワート)だと思い込んでいた花だが
ふっくらとしたどこか大柄に梅に似た花の雰囲気は、はるかに優雅だ。
気になると、いたるところで見かけるようになる。
葉のつき方と蕾の形で、花が咲いていなくても、すぐにそれと分かるようになる。
(2019-05 神奈川県川崎市 道端)




キンシバイ
キンシバイ(金糸梅、学名:Hypericum patulum)はオトギリソウ科オトギリソウ属の半落葉小低木。

本種のことをヒペリカム(Hypericum)ということも多いが、ヒペリカムは、オトギリソウ属のラテン名であり、必ずしも本種とは限らない。

特徴
中国原産で、江戸時代の宝暦10年(1760年)に渡来したといわれる。花の形が良く梅に似ており、色が黄色であることが名前の由来である。

庭木や地覆い用植え込みとして、北海道をのぞく日本各地に植えられている。

株立ち上に枝が出て、ゆるやかに枝垂れる。葉は対生で長い楕円形。暖かい地方では落葉しないことが多い。初夏、枝先に濃い黄色で、五弁の花を次から次に咲かせる。ビヨウヤナギのようにオシベは長くない。近縁種にセイヨウキンシバイ(西洋キンシバイ)がある。


子供の頃に草笛にしたスズメノテッポウ

2019年05月31日 06時41分33秒 | 
休耕田で昔懐かしいスズメノテッポウをみつけた。
子供の頃はこの穂の部分を引き抜いて、草笛を吹いたものだった。
薄い半透明な葉耳がリードとなっピ~と高く鳴る。
音の高さは変えられないので、ただピーピー鳴らすだけだが
子供の頃はそれでも満足していたものだ。
この穂をみると、かつての田んぼの風景が一瞬のうちで甦った。
(2019-05 神奈川県川崎市 田畑)





スズメノテッポウ
スズメノテッポウ(雀の鉄砲、学名:Alopecurus aequalis)とは、イネ科に属する小型の草本植物である。春の水田によく見られる細くて真っすぐな穂を一面に出すのでよく目立つ。史前帰化植物である。

特徴
草丈は20 cm からせいぜい40 cm 位。地下茎はなく、根元で多少枝分かれした茎は、少し横に這って立ち上がる。関節はやや膨らむ。葉は細長く、縁は少し波打ち、ほぼ上を向く。葉の基部は長い葉鞘となっており、鞘と葉身の境目には薄い膜状の葉耳が突き出る。植物体は全体に濃い緑色で、少し粉を吹いたようになっている。葉鞘の上の方が赤紫に染まる傾向がある。

花は春に出る。花茎の先端に3 - 8 cm の棒状の穂がつく。穂は真っすぐに立ち上がる。小穂は軸に密着し、互いに密に寄り集まっているので、外見では個々の区別がつかず、ただただ緑色の多少毛羽だった棒にしか見えないが、花が咲く時には、小穂から葯が突出してくる。この葯は濃い黄色になるのでよく目立つ。

小穂は長さ3 - 3.5 mm、楕円形で偏平。外側を一組の包穎が包む。包穎は緑色、小穂の縁に当たる竜骨沿いに多数の毛がはえる。その内側には、一個の子花だけが入っている。子花の護穎は小穂とほぼ同じ長さで包穎の間から顔を出す。護穎の基部近くの外側からは芒が伸びて、包穎の外まで少し突き出る。

利害
春の水田に出現する水田雑草として代表的なものである。特に害が論じられることもないが、役立つものでもない。しかし、穂が意外に目立つので、地味な割にはなじまれている。それに、草笛に使える。

葉鞘の部分を折り取り、中の茎を抜いて、葉身の部分を裏側を葉鞘に沿わせるように根元から折り曲げれば、薄い膜状の葉耳が突き出る。葉耳がリードの役をするので、この部分を口に収めて注意深く吹くと、ピーというような高い音が出せる。レンゲ畑での子供の遊びであった。

名前は「スズメの鉄砲」で、穂が真っすぐなところを鉄砲に見立てたものと言われる。

生育域
水田によく見られるが、畑地などにも見られる。北海道から九州までの平地に広く分布し、国外では北半球の温帯に広く知られる。なお、日本の水田にあるものを変種スズメノテッポウ(var. amurensis (Komar.) Ohwi)とし、原名変種、和名ノハラスズメノテッポウ(var. aequalis)を分ける説もある。原名変種の方はやや小柄で、畑地に多いと言う



高尾山の全山を飾っていたヤマアジサイ

2019年05月30日 09時37分41秒 | 
このアジサイは高尾山の全山いたるところで花を開いていた。
ヤマアジサイともサワアジサイとも呼ばれる。
沢沿いのほぼ目の高さに白い花を咲かせるので、よく目立つ。
足元ではシャガがやはり谷筋に満開だった。
(2019-05 東京都 高尾山)




ヤマアジサイ
ヤマアジサイ(学名: Hydrangea serrata)は、アジサイ科アジサイ属の1種である。山中で沢によく見られることから、サワアジサイとも呼ばれる[1]。

ただし、独立した種として認めず、アジサイ Hydrangea macrophylla(種としてのアジサイ、ガクアジサイ)の亜種 Hydrangea macrophylla subsp. serrata などとする説もある[2]。

分布
本州では関東より西、また四国、九州などの山地に分布する[3]。千島列島、台湾、中国南部の山地にもみられる[4]。

特徴
ガクアジサイと比べ、花の色が多様性に富む[1]。花序は直径7–18センチ、装飾花は直径1.7–3センチ[3]。葉質は薄く光沢がなく、小さく(6.5–13センチ[3])、長楕円形・楕円形・円形など形はさまざまである[1]。枝は細く、樹高1メートル程度である[3]。

利用
葉にフィロズルチンの配糖体を含むものがあり、甘茶として利用される[3][5]。「甘茶(アマチャ)」は分類上特定の品種を指す名称ではない[6]。

木陰でやさしい紫の花を咲かせるムラサキシキブ

2019年05月30日 06時40分51秒 | 
木陰でムラサキシキブのやさしい紫の花が咲いているのに気づいた。
枝の下に隠れて咲くので、よく探さないと見えない。
でも蜂が集まっているので、ここに何かあるぞ、と分かる。
写真は、葉に星状毛が多く、触ってみるとふさふさしているし、
葉の付け根が丸いので、ヤブムラサキだろう。
秋にどんな実がなるのか、楽しみだ。

花や実などの詳しい写真は、ムラサキシキブ(紫式部)ヤブムラサキ(薮紫)のサイトが詳しい。

(2019-05 神奈川県川崎市 林間)






ムラサキシキブ
ムラサキシキブ(紫式部、Callicarpa japonica)はシソ科の落葉低木である。日本各地の林などに自生し、また果実が紫色で美しいので観賞用に栽培される。
特徴
高さ3m程度に成長する。小枝はやや水平に伸びる。
葉は対生で長楕円形、鋭尖頭(先端が少し突き出すこと)、長さ6-13cm。細かい鋸歯がある。葉は黄緑で洋紙質、薄くて表面につやはない。初めは表側に細かい毛があることもある。

花は淡紫色の小花が散房花序をつくり葉腋から対になって出て、6月頃咲く。秋に果実が熟すと紫色になる。果実は直径3mmで球形。栽培品種には白実のものもある。

名前の由来は平安時代の女性作家「紫式部」だが、この植物にこの名が付けられたのはもともと「ムラサキシキミ」と呼ばれていたためと思われる。「シキミ」とは重る実=実がたくさんなるという意味。
スウェーデンの植物学者のカール・ツンベルクが学名を命名した[1]。

分布など
北海道から九州、琉球列島まで広く見られ、国外では朝鮮半島と台湾に分布する。低山の森林にごく普通に見られ、特に崩壊地などにはよく育っている。ムラサキシキブ(コムラサキ、シロシキブ)の名所として、京都・嵯峨野の正覚寺が有名である。

したたかに生き延びるワルナスビ

2019年05月30日 06時21分53秒 | 
街路の舗装の隙間からワルナスビが花を開ているのをみつけた。
目に見えないような隙間からよく生えたものだと驚く。
ワルナスビという名前は、ナスに似た花を咲かせるが
茎などの強い棘をもっているから「悪い」というわけだろう。
あるいは根絶しにくいという意味もあるだろう。
かわいい花なのだが。
(2019-05 神奈川県川崎市 道端)







これは後ろ姿なので、前からみると






ワルナスビ
ワルナスビ(悪茄子、学名:Solanum carolinense)はナス科の多年草。日本も含め世界的に帰化している外来種である。
特徴
茎や葉に鋭いとげが多く、種子が家畜の糞などに混じって広がり、垂直および水平に広がる地下茎を張ってあっという間に繁茂する。耕耘機などですきこむと、切れた地下茎の一つ一つから芽が出てかえって増殖してしまい、また除草剤も効きにくいため、一度生えると完全に駆除するのは難しい。

花は白または淡青色で同科のナスやジャガイモに似ており、春から秋まで咲き続ける。果実は球形で黄色く熟し、プチトマトに似ているが、全草がソラニンを含み有毒であるため食用にはできず、家畜が食べると場合によっては中毒死することがある。

和名はこれらのたちが悪い生態により付けられた[3]。英語でも「Apple of Sodom(ソドムのリンゴ)」、「Devil's tomato (悪魔のトマト)」などという悪名で呼ばれている。

外来種問題
日本では1906年(明治39年)に千葉県成田市の御料牧場で牧野富太郎により発見及び命名され、以降は北海道から沖縄まで全国に広がっている[4]。1980年代頃から有害雑草として認識されるようになった[4]。鋭い刺や毒を有するため、家畜に被害を与え、作物の品質を低下させる[1]。また、ナスやジャガイモなどの作物の害虫であるニジュウヤホシテントウの温床ともなる[3]。

外来生物法により要注意外来生物に指定されている。

幽遠な気分を誘うミヤマヨメナ

2019年05月29日 10時52分33秒 | 
高尾山で咲いていた可憐な春の菊、ミヤマヨメナ
立ち上がった花弁が美しい。
少し白みをおびた花もまじっていて、そこだけ別の静かな時間が流れているような
幽遠な気分を誘う。
(2019-05 東京都 高尾山)






ミヤマヨメナ
ミヤマヨメナ Aster savatieri は、シオン属のキク科植物。春に開花する数少ない野菊の一つである。園芸植物としてよく知られるミヤコワスレは本種の園芸品である。

特徴
多年生の草本[1]。地下茎は這う[2]。地上の茎は立ち上がって高さ20-50cmに達し、普通は束になって出る。根出葉はロゼット状で長い柄があり、開花時にも存在する。葉身は長楕円形で、時には卵状楕円形の場合があり、その大きさは長さ3.5-6cm、幅は2.5-3cm。先端は鋭く尖るかまたは鈍く尖り、縁には荒い鋸歯がある。また葉質は柔らかく、その両面には細かな毛がある。

花は5-6月に咲く。伸びた枝の先に単独で生じ、総苞は半球形で長さ6mm、個々の鱗片は2列に並んで全てほぼ同長で草質で先端は尖るか突き出して尖り、縁に細かな毛がある。花は縁に1列の舌状花が並んでいて淡青紫色で径3.5-4cm。内側の筒状花は黄色で花冠の長さ4.5mm。舌状花はほとんど白くなることもある[3]。種子(果実・痩果)は倒卵状長楕円形で少し扁平になっており、冠毛はない。

和名は深山に生えるヨメナの意である[4]。別名であるノシュンギクの名は野菊としては珍しく春に咲くことによる[5]。

種小名はフランスの植物学者サヴァティエ(P. A. Savatier)にちなむ[6]。

分布と生育環境
本州から九州に分布し、温帯下部に生育する[7]。山地に生え、木陰に生じる[8]。

いろいろな花を思い出させるゼニアオイ

2019年05月29日 05時54分40秒 | 
ゼニアオイとはちょっとひどい名前だが
フヨウやムクゲなどと同じアオイ科の一つの属を形成する植物である。
日本には江戸時代から持ち込まれたという。
道端の思わぬところで咲いているのをみつけた。
花がフヨウほど大きくないので、いろいろと似た花が思い出される。
(2019-05 神奈川川崎市 道端)






ゼニアオイ
ゼニアオイ(銭葵、学名: Malva mauritiana L.)は、アオイ科ゼニアオイ属の多年草。ウスベニアオイの変種とされることもある[3]。ともにコモン・マロウ(英:Common Mallow)とも呼ばれている。

形態・生態
大変丈夫で寒さに強い植物であり、草丈は60-150cmほど。日本には江戸時代に鑑賞目的で渡来したが、強健な性質から逸出し、現在では帰化植物のひとつとなっている。
初夏から夏にかけて赤紫色の花を咲かせる。この花は近縁種のウスベニアオイと同様にハーブティーとなる。

アンバランスな花弁で目を引くミゾカクシ

2019年05月29日 05時39分39秒 | 
かつては溝を隠すほどに茂っていたのだろうが
今ではなんとか生き延びているにすぎない。
休耕田の畔で見つけたときには、どこかほっとした。
どこかユキノシタに似たアンバランスな花弁のつき方が特徴的だ。
雑草と言われながら、いつまで生き延びることができるのだろうか
(2019-05 神奈川川崎市 田畑)




ミゾカクシ
ミゾカクシ (溝隠、Lobelia chinensis)はキキョウ科ミゾカクシ属の雑草。和名は、溝を隠すほど茂ることから付けられた。また、田の畦に筵を敷いたように生える様子からアゼムシロ(畦筵)ともいう。

特徴
湿った場所に生える多年草。茎は細くて横に這い、節ごとに葉をつけ、根を下ろす。

葉は互生、間隔を置いて付き、長さ1-2cmで狭い披針形、葉柄はなく、縁には低い鋸歯がある。葉は黄緑でのっぺりしており、主脈以外は目立たない。

花は6-10月、葉柄から出る花茎は1.5-3cmで立ち上がり、先端に一つ花をつける。花は径1cmほど、唇形花で上二弁と下三弁に分かれ、下三弁はくるりと外へ巻く。花は白から薄い紫を帯びる。

分布と生育環境
日本では北海道から琉球まで分布し、日本国外では中国、インド、マレーシアに分布する。湿地に多く、特に水田周辺ではよく見かける、水田雑草の一つである。

欧米ではグラウンドカバーとして利用される。

漢方薬
中国医学では漢方薬の基本となる50種の薬種の一つである。夏に採取したものを洗浄、乾燥させたものを用いる。腫瘍や毒蛇の咬傷、利尿剤として用いられる。

季節外れの椿の花のような赤いザクロ

2019年05月28日 11時58分42秒 | 
道を歩いていると赤い花が散乱していて、上を向くとザクロの花だった。
昔、知り合いのうちで木になっているザクロをもがせてもらって食べたことがある。
透明な果実の透明な味が好きだった。
(2019-05 神奈川川崎市 道端)






ザクロ
ザクロ(石榴、柘榴、若榴、英名: pomegranate、学名: Punica granatum)は、ミソハギ科ザクロ属の1種の落葉小高木、また、その果実のこと[2]。庭木などの観賞用に栽培されるほか、食用になる[3]。

形態・生態
葉は対生で楕円形、なめらかで光沢がある。初夏に鮮紅色の花をつける。花は子房下位で、蕚と花弁は6枚、雄蕊は多数ある。果実は花托の発達したもので、球状を呈し、秋に熟すと赤く硬い外皮が不規則に裂け、赤く透明な多汁性の果肉(仮種皮)の粒が無数に現れる。果肉1粒ずつの中心に種子が存在する[9][10]。

ザクロの食用部分である種衣は種子を覆う形で発達する
ザクロには多くの品種や変種があり、一般的な赤身ザクロのほか、白い水晶ザクロや果肉が黒いザクロなどがあり[11]、アメリカ合衆国ではワンダフル、ルビーレッドなど、中国では水晶石榴、剛石榴、大紅石榴などの品種が多く栽培されている[12]。日本に輸入されて店頭にしばしば並ぶのは、イラン産やカリフォルニア州産が多く[13]、輸入品は日本産の果実より大きい[14]。

分布・生育地
原産地については、トルコあるいはイランから北インドのヒマラヤ山地にいたる西南アジアとする説[15][16][3]、南ヨーロッパ原産とする説[15]およびカルタゴなど北アフリカ原産とする説などがある[16]。



ザクロは柘榴と書くせいもあって、俳句では好まれる題材である。
実が割れることが、象徴的に捉えられることが多い。
「柘榴作裂みづからの力あらあらし 山口青邨」のように。



石榴 の例句
いとけなき柘榴の壺が搖れてゐる 日野草城
お詣りの人並を外れ石榴の実 岡井省二 山色
さまざまの片端がめぐる柘榴の樹 飯島晴子
しみじみと日の七彩や柘榴の実 岡本眸
なまなまと枝もがれたる柘榴かな 飯田蛇笏 山廬集
はちわれて實もこぼさゞる柘榴哉 正岡子規 柘榴
はちわれて實をこぼしたる柘榴哉 正岡子規 柘榴
ひやびやと日のさしてゐる石榴かな 安住敦
ぼんやりと出で行く石榴割れし下 西東三鬼
むかふから湖の日のある割れ石榴 岡井省二 山色
もぎてきて置きて石榴の形かな 波多野爽波
一粒一粒柘榴の赤い実をたべる 臼田亜郎 定本亜浪句集
不利な承諾柘榴の空へ唾を吐く 飴山實 おりいぶ
兄達のいろの青空柘榴垂れ 飯田龍太
光こめて深くも裂けし柘榴かな 渡邊水巴 白日
初発心世を見れば柘榴の中のへだて哉 露川
刻々と緋を溜めてゐる柘榴の実 飯田龍太
割れ柘榴詩をすててより友は富みき 能村登四郎
割れ物のごとくに割れて石榴の実 鷹羽狩行
受験に急ぐ子が二三人海石榴市に 能村登四郎
受験生窓より寺の石榴とる 細見綾子
口あけて柘榴のたるゝ軒端哉 正岡子規 柘榴
号令の無き世柘榴のただ裂けて 中村草田男
善哉石榴を食ひこぼし坐し 中川一碧樓
噛めば口中にしぶきて石榴の実 鷹羽狩行
夫妻の間柘榴枯木の影こまやか 山口青邨
姨捨やくわつと口あけ石榴の実 鷹羽狩行
子のゆくえ石榴には声悪しき鳥 橋閒石 風景
子の声に応ふる空や柘榴割れ 大野林火 冬雁 昭和二十二年
子を食ふと鬼子母の石榴酒かもす 山口青邨
実の熟れて柘榴たま~ちる葉かな 飯田蛇笏 霊芝
実柘榴のいろの中なるかなしき日 岡本眸
実柘榴のかゝる鉄皮に爪のあと 上田五千石『田園』補遺
実柘榴のつやつやと庫裡つやつやと 後藤比奈夫
実柘榴や校正三日雨三日 雨滴集 星野麥丘人
実柘榴を割りて昨日のこと思ふ 岸田稚魚 紅葉山
実石榴や盆地の墓地のありどころ 鷹羽狩行
宵闇の手にさはるもの柘榴哉 紫道
封筒に種吐き出して石榴食ふ 右城暮石 天水
屑原稿拡げ柘榴の種子を吐く 上田五千石『田園』補遺
川向うなる弟の石榴かな 橋閒石俳句選集 『和栲』以後(Ⅱ)
師をもつや冬まで落ちぬ石榴の実 秋元不死男
幾刻ぞ月と柘榴の位置かはる 加藤秋邨
廃屋は人目なしとて柘榴裂くる 中村草田男
心中に全き柘榴ざくろ食ふ 加藤秋邨
手のとどく柿や柘榴や庭たのし 後藤比奈夫
手の物は落さぬ風の柘榴哉 路健
指弾して石榴の紅き鉄皮愛づ 上田五千石 風景
散らばれる石榴の破片鵙日和 右城暮石 散歩圏
斯かりし母よ育児の妻よ風の柘榴 中村草田男
旅なれば早起き柘榴霧を呼ぶ 大野林火 青水輪 昭和二十三年
早稲の香や老樹の柘榴垣に垂り 飯田蛇笏 雪峡
昨日寸前今日また寸前熟れ柘榴 林翔
朝市に 贄の豚首ら 柘榴弾け 伊丹三樹彦
枝交へ枯れし柘榴と枯れし桜と 橋本多佳子
柘榴が口あけたたはけた恋だ 尾崎放哉 須磨寺時代
柘榴とりつくしたる日しづかに熱いづる 野澤節子 未明音
柘榴の実小さき顔の少女出づ 原裕 青垣
柘榴の実欲しき顔なりゑくぼ持つ 水原秋櫻子
柘榴の粒幾百食はば寂しさ消ゆ 橋本多佳子
柘榴ひとつわけてもらひしゑくぼかな 加藤秋邨
柘榴ふとる灰ありなしの雨にくろみ 野澤節子 未明音
柘榴みて髪にするどきピンをさす 野澤節子 未明音
柘榴もぎおとす露の輝やきに 橋閒石 朱明
柘榴もぎ呉れて 歯のない口 笑う 伊丹三樹彦
柘榴・柿その他灯の輪に骨還る 加藤秋邨
柘榴作裂みづからの力あらあらし 山口青邨
柘榴割れてしまへば仰ぐこともなし 加藤秋邨
柘榴吸ふはるか酸つぱきもの来り 加藤秋邨
柘榴哄笑す 雌鶏しろき卵を抱けば 富澤赤黄男
柘榴揺れゐてさ迷へる国ありき 飯田龍太
柘榴火のごとく割れゆく過ぎし日も 加藤秋邨
柘榴熟れて空は白雲澄む日和 村山故郷
柘榴紅く日輪は裂け重なれる 山口青邨
柘榴裂け岐路一方に逃げ易し 古舘曹人 能登の蛙
柘榴見つつ胸中おしあひへしあひぬ 加藤秋邨
極まれり石榴作裂地上惨 山口青邨
浜の銅鑼高鳴るときや柘榴裂け 赤尾兜子 玄玄
海へ向く青年の掌に石榴はぜ 飴山實 おりいぶ
深みきて柘榴のいろに憑きし秋 森澄雄
深裂けの柘榴一粒だにこぼれず 橋本多佳子
瀧つ瀬の性や石榴をむさぼる母 橋閒石 荒栲
火の雲が石榴の裂けをつくろひに 鷹羽狩行
燈心に顔あらはれて柘榴売 加藤秋邨
玉と見て蜂の臺よ割石榴 小西来山
珠玉蔵す柘榴赤磁の壺といはん 福田蓼汀 秋風挽歌
生写しなる柘榴見し陶画かな 阿波野青畝
盆栽ノ柘榴實垂レテ落チントス 正岡子規 柘榴
眦あげて子が怒り泣き柘榴爆ぜ 小林康治 四季貧窮
眼前に石榴爆ぜしは一転機 安住敦
矢の如く速達が来て石榴の家 波多野爽波
石切る島 行くさきざきに 石榴はじけ 伊丹三樹彦
石垣の上の姉より柘榴受く 廣瀬直人 帰路
石榴のみ破裂したりし轍かな 阿波野青畝
石榴の実の一粒だにも惜しみ食ふ 山口誓子
石榴の実割りて父たること示す 鷹羽狩行
石榴の実露人の口に次ぎ次ぎ入る 西東三鬼
石榴みな弾けて媼にこにこと 波多野爽波
石榴一本の背戸春の雪積もりたり 中川一碧樓
石榴割つて蟻のこぼるる机上かな 山田みづえ まるめろ
石榴喰ふ女かしこうほどきけり 炭太祇
石榴裂く異教徒の語は疎まし 金子兜太
石榴裂け生涯いくつ時計もつ 波多野爽波
砂丘にて海の没日と石榴かな 岡井省二 大日
神持たぬ安穏にをり柘榴の実 藤田湘子 てんてん
筆筒に拙く彫りし柘榴かな 正岡子規 柘榴
簪も櫛もなき髪笑む柘榴 中村草田男
紅き実がぎつしり柘榴どこ割つても 橋本多佳子
紅壺に収めし緋の裳石榴蕾む 香西照雄 素心
罅はしる柘榴とゴヤの黒画集 能村登四郎
罪もなき頭上あまたの柘榴裂け 山口青邨
羽音暗し心の庭の石榴裂け 橋閒石 卯
良寛と笑み交したる石榴かな 相生垣瓜人 負暄
良寛の食ひし如くに石榴食ふ 右城暮石 句集外 昭和六十年
苔むせるごとき柘榴もありにけり 山口青邨
蒼空に けらけら嗤うたり 柘榴 富澤赤黄男
裂け深き石榴は神の食べ余し 鷹羽狩行
裂目より実石榴の血は滴らず 鷹羽狩行
裏町に住んで柘榴の一木かな 河東碧梧桐
見つつ入り見つつ別れし柘榴かな 加藤秋邨
身辺に割けざる石榴置きて愛づ 山口誓子
追分や鷄飼ふ茶屋の柿石榴 正岡子規 柿
過去のこと石榴一粒づつを噛み 鷹羽狩行
道元にこころある日の割柘榴 森澄雄
雑草園柘榴黄落冬近し 山口青邨
雨鬼鳴きてくもる菜園柘榴さく 飯田蛇笏 雪峡
露の夜の炉火や石榴の実のごとし 山口誓子
露人ワシコフ叫びて石榴打ち落す 西東三鬼
青柘榴家抜けてすぐ湖のへり 右城暮石 声と声
麦みな貧し柘榴おほかた爆ぜつくし 小林康治 四季貧窮




猫の尻尾のようなチガヤのふわふわな穂

2019年05月28日 05時56分05秒 | 
春に花をつけていたチガヤ、すっかり穂になっていた。
まるで猫の尻尾のようなふわふわの穂だ。
春の花はこんなふうだった。
このようなほわほわの穂であればこそ、
「春日野の浅茅が上に思ふどち遊ぶ今日の日忘らえめやも」という万葉の歌や
「山原のほほけ茅花(つばな)のうちなびき乱るるが中にころぶしにけり」という古泉千樫の歌もよく理解できるというものだ。
(2019-05 神奈川川崎市 道端)





高尾山にまだ残っていたエビネ

2019年05月28日 05時36分30秒 | 
キエビネとは別に、ふつうのエビネも残っていた。
落ち着いたシックな配色は魅力的だ。
こんな装いをした女性をみたことがあるような気がする。
(2019-05 東京都 高尾山)





エビネ(春咲き)とは

特徴
エビネの仲間には春咲き種と夏咲き種があり、春咲きエビネの代表がエビネ(Calanthe discolor)で、ジエビネとも呼ばれています。かつては各地の低山に普通に見られた常緑のラン科の植物で、落葉広葉樹林の落ち葉が厚く積もった場所に生え、群生していました。
春に株の中心から1~3本の花茎が立ちあがり、茶で唇弁は白の花、まれに緑や赤、薄黄色と唇弁が桃色や薄黄色のコンビの花を、10~30輪ほど穂になって咲かせます。地下には球根のような偽鱗茎(バルブ)というものが10個前後連なっていて、エビの背のように見えることから、エビネと呼ばれます。
南西諸島には変種のオキナワエビネ、トクノシマエビネなどが知られていますが、園芸的な価値は高くありません。
春咲きエビネには、ほかにキエビネ(C. striata)、キリシマエビネ(C. aristulifera)、ニオイエビネ(C. izuinsularis)などがありますが、キエビネのほかは育てるのがむずかしく、栽培はおすすめできません。
一方、エビネは同じ場所に生えるほかのエビネ類と自然に交雑しやすく、さまざまな雑種が見られます。キエビネとの雑種で育てやすいタカネ(C. × bicolor) のほか、ヒゼン(キリシマエビネとの雑種)、サツマ(キリシマエビネとキエビネ、エビネとの雑種)、コオズ(ニオイエビネとの雑種)、イシズチ(サルメンエビネとの雑種)などがあります。現在はさらに交配種どうしをかけ合わせて、自然界では見られないような華麗な園芸品種群が登場しています。

また咲き始めたウツギの葉の星状毛を観察する

2019年05月27日 12時39分17秒 | 
もう終わったかと思っていたが、近くでまたウツギが咲き始めた。
ウツギの葉には、星状毛があるのでザラザラする。



これがどんなものかは説明ではなかなかわかりにくかった。
「放射状にのびた毛のことをいう」と言われても、ハ?という感じにしかならない。
そこで簡単な顕微鏡写真をとってみた。
たしかに放射状に伸びている。かなり規則的に分散しているきれいな毛だ。
しかしもっとうまい説明方法はないものか。
この星状毛の機能についてはよく分かっていないらしい。
水分の蒸発の制御にあるらしいのだが。







グミの葉の星状毛
植物の葉には種類によって様々な形をした星状毛が発達しています。基本的には乾燥を防ぐ手段として気孔を覆うように発達したものを多く見かけます。

妖精たちに囲まれた気分になるシロバナコバノタツナミ

2019年05月27日 07時06分06秒 | 
高尾山で咲いていたコバノタツナミソウの白花バージョンのシロバナコバノタツナミ。
群れて咲いていると、妖精たちに囲まれた気分だ。
ムラサキよりもシロのほうが優雅だ。
(2019-05 東京都 高尾山)





コバノタツナミソウ
コバノタツナミソウ (シソ科タツナミソウ属)【小葉立浪】
(Scutellaria indica var. parvifolia)


普通の「タツナミソウ」よりも葉が小さく背も低い変種です。

低地や海岸性で、路傍などにも生える種類です。

丸い葉には細かい毛が密生してビロード状の表面になっています。

それで別名「ビロードタツナミ」ともいわれます。

通常はタツナミソウ標準の紫系ですが、かなりの比率で白花も多いようで、「シロバナコバノタツナミ」とされ、園芸種としても人気があるようです。

ナスに似ているがはるかに優雅なツルハナナス

2019年05月27日 07時01分25秒 | 
街路の垣根に絡みついていたツルハナナス。
たしかに茄の花に似ているが
蕾などもはるかに優雅だ。
これも新しい園芸種なのだろう。
(2019-05 神奈川県川崎市 道端)






ツルハナナスの基本情報
学名:Solanum jasminoides
和名:ツルハナナス(蔓花茄子)  

科名 / 属名:ナス科 / ナス属(ソラナム属)
ツルハナナスはつる性の常緑低木で、トレリスなどに絡ませたり、あんどん仕立ての鉢物などにして楽しむことができます。花は咲き始めは白色ですが、徐々に薄青色に変化します。寒さにも比較的強く、海沿いの霜が降りないような暖地では戸外でもよく冬越しします。ヤマホロシの名でも流通することがありますが誤称で、ヤマホロシは日本原産の近縁種Solanum japonense の和名です。