野の花 庭の花

野の花や山の花は心を慰めてくれます。庭園に咲き誇る花は心をはなやかにしてくれます。

見ごたえのあるシロバナヒガンバナ(園芸種シリーズ09)

2019年09月30日 10時01分24秒 | 

シロバナヒガンバナはシロバナマンジュシャゲとも呼ばれる。ヒガンバナの花が白くなったもので、ヒガンバナとショウキズイセンの自然交雑種だそうである。黄水仙との交雑なので、黄色がかったものも多いらしい。園芸種のものは真っ白で、花の形が複雑なのとあいまって、とても見ごたえがある。最近では花壇だけではなく、いたるところでみかけるようになった。

(2019-09 川崎市 道端) 

 

シロバナマンジュシャゲ  白花曼珠沙華
[別名] シロバナヒガンバナ(白花彼岸花)
[中国名] 乳白石蒜 ru bai shi suan
[学名] Lycoris x albiflora Koidz.
ヒガンバナ科 Amaryllidaceae  ヒガンバナ属

 白花のヒガンバナで、ヒガンバナとショウキズイセンの自然交雑種といわれている。ヒガンバナとほとんど同じで、花期には葉がなく、花茎の先に5~10個の花をつける。花は白色で、外花被片が3、内花被片3。雄しべ6、雌しべ1で、雄しべは長くて反り返った花被片から突き出る。いくつかの園芸品種があり、純白に近いものや、黄色又はピンク色の強いものなどがある。栽培品が逸出したものと思われる。
 鱗茎は卵形、直径約4㎝。葉は春に生じ、緑色、舌状、約長さ35円地×幅1.5㎝、中脈は不明瞭な淡色、先は鈍形。花茎は長さ約60㎝。散形花序は花が6~8個。総苞は2個、倒披針形、約長さ3.5㎝×幅1.2㎝。花被は蕾ではピンク色、普通、花時にクリーム色、後に白色になり、筒部は長さ約2㎝。裂片は反り返り、内面は少数のピンク色の縞を散在し、外面には赤色の中脈があり、倒披針形、約長さ6㎝×幅1.2㎝、縁は波打つ。雄しべは花被とほぼ同長又はわずかに長い。花糸は先が淡赤色。花柱は花被よりわずかに長い。柱頭はローズレッド色。花期は8~9月。 2n=16, 17, 18。
品種) 'Dorman' , 'Hikifunegawa' , 'Manatsu-no-Christmas'(純白) , 'Pink Cherry' , 'Rosea' , 'Shirobarahiganbana' , アルビピンク
[花期] 9月
[草丈] 30~50㎝
[生活型] 多年草
[生育場所] 田のあぜ、土手など民家の近く
[分布] 在来種 日本全土、済州島、中国


ユニークな形の濃紺の花を咲かせるカリガネソウ(高尾山シリーズ01)

2019年09月30日 09時30分53秒 | 

ユニークな形の濃紺の花を咲かせるカリガネソウは、花が雁に似ているということから名付けられた。ただ雁の形と言われても、ハテ?という人も多いだろう。別の和名ホカケソウのほうが、帆掛け船なら創造できるので、分かりよいかもしれない。突き出た雄しべが帆の形を思わせる。ハナバチがやってくると、穂の部分の花粉が背中につくという仕組みらしい。うまく考えたものだ。

(2019-09 東京都 高尾山 )

 

カリガネソウ(雁草、雁金草、学名:Tripora divaricata (Maxim.) P.D.Cantino)は、シソ科に分類される多年草の1種。ホカケソウ(帆掛草)とも呼ばれる。和名は花の形状が雁に似ている草であることに由来する。

かつては Caryopteris 属に分類されていたが、分子系統解析によりこの属は多系統であると分かったため、単型属 Tripora に分離された。

分布
東アジア(日本、朝鮮半島、中国)に分布する。

日本では北海道、本州、四国、九州の山地に自生する。

特徴
よく日が当たるが乾燥しない場所を好み、夏場に草丈 80cm 前後に生長する。葉は対生し、広卵形で縁にギザギザがある鋸葉である。生長し開花期が近づくと独特の匂いを放つ。

花期は8-9月、葉腋から集散花序を伸ばし、青紫色で球状のつぼみをつけ、上写真のような花を咲かせる。5枚の花弁は凹形で縁がひだ状になり、上に2枚、下左右へは各1枚ずつ大きく広がり、下側の花弁が舌状になり紋様が入る。花柱と雄蘂は花の上に伸び、その先が花の手前に回り込むように垂れる。

ハナバチなどの花粉を媒介する虫が花を訪れると、左右の花弁に脚をかけるようにして留まるが、花に虫の重みが加わると花序が垂れ下がって花が首をもたげるように角度を変え、虫の背中に花粉と柱頭が付いて花粉を付けるとともに受粉する仕掛けになっている。

秋深くになると、萼の中に黒く小さな種子が2-4個ほど結実する。


花の形も彩もキュートなキツネノカミソリ

2019年09月30日 07時10分25秒 | 

森林公園の林の陰で咲いていたキツネノカミソリ。ヒガンバナ科の花らしい目をひく彩だ。学名のsanguineaは、「血のように赤い」の意味だ。花の形もキュート。和名の由来は細長い葉がカミソリに似ているというのだが。

(2019-09 川崎市 森林公園) 

 

 

キツネノカミソリ

キツネノカミソリ(狐の剃刀、学名:Lycoris sanguinea)はヒガンバナ科の多年生草本球根植物である。クロンキスト体系ではユリ科に分類される。

解説
明るい林床や林縁などに自生する。早春のまだ他の草が生えていないうちに、狭長の葉を球根から直接出して球根を太らせ、多くの草が生い茂る夏頃には一旦葉を落とす。

盆(8月なかば)前後になると花茎を 30-50cmほど伸ばし、先端で枝分かれした先にいくつかの花を咲かせる。雌雄同花で花弁は橙色が6枚。

本種には、結実するものと、しないもの(三倍体、2n=32)がある。

葉の形や花と葉を別々に出すところ、有毒植物である点ではヒガンバナと共通するが、花の形および葉と花を出す時季は異なる。

毒成分はリコリンなど。外用で薬とすることもあるが、決して口にしてはいけない。


秋の山野を金色で飾ってくれるキンミズヒキ

2019年09月29日 10時10分36秒 | 

森林公園でみたこのキンミズヒキはまだ咲き始めだ。夏の終わりころにはあたり一面がキンミズヒキになる。最初の頃のほうがありがたみがある。夏の山野を金色で飾ってくれる宝物のような植物だ。同じミズヒキでも、赤のミズヒキはいかにもタデ科の野草らしい雰囲気があるが、キンミズヒキはバラ科の野草ではっきりと雰囲気が異なる。どちらも同じころに花を開いて、競争しているかのようだ。

(2019-09 川崎市 森林公園) 

 

キンミズヒキ

キンミズヒキ(金水引、学名:Agrimonia pilosa var. japonica )は、バラ科キンミズヒキ属の多年草。

特徴
地下の根茎は肥厚する。茎は直立し毛が多く、高さは50-100cmになる。よく分枝し、葉は等間隔に互生する。葉は奇数羽状複葉で5-9個の大小不ぞろいの小葉からなる。頂小葉は菱状長楕円形から菱状倒卵形で長さ3-6cm、幅2cmほどになり、先端がとがり、縁にはとがった粗い歯牙状の鋸歯がある。葉の裏面には白色または帯黄色の腺点が多数ある。葉柄の基部に托葉が合着し、ふつう半卵形で内側に曲がり、縁に粗くとがった鋸歯がある。

花期は8-10月。分枝した茎先に総状花序を作り、小さい花をやや密につける。花柄が短いので穂状にみえる。1個の苞と2個の小苞がある。花床筒は倒円錐形で、萼片は5個。花の径は7-10mm、花弁は黄色で5個あり、倒卵形から狭倒卵形で、長さ3-6mm、幅1.5-2mmになる。雄蕊は8-14個あり、花弁より短い。果時の花床筒は長さ5-6mm、径4-5mm、上縁に副萼片が変化したものといわれる、長さ3mmの鉤状の刺があり、動物体に付着して運ばれ、種子が散布される。

分布と生育環境
日本では、北海道、本州、四国、九州に分布し、低山、山地の道ばたや原野にふつうにみられる。国外では、南千島、サハリン、ウスリー、朝鮮半島、中国大陸、インドシナ半島に分布する。

基本種(基準変種)のシベリアキンミズヒキ var. pilosa は、ヨーロッパ東部からシベリア、中国大陸(北部)に分布する。

名前の由来
和名のキンミズヒキは「金水引」の意で、細長い黄色の花穂を「金色のミズヒキ(タデ科)」にたとえたもの。なお、ミズヒキはその花穂を水引にたとえたものである。


とても複雑な構造の白い花を夕方に開くハナシュクシャ(園芸種シリーズ08)

2019年09月29日 07時59分00秒 | 

(園芸種シリーズ01)花縮紗と書くハナシュクシャは、英語名がジャンジャー・リリーというように、ショウガ科の花だ。日本には江戸時代に到来したというが、今までにあまりみたことのない花だ。芳香を放つという花の構造もとても複雑で、それでいて優雅さを失わない。
なみに縮紗の紗は着物の透けるような薄地の生地の織り方で、縮はくしゃくしゃになる縮織のことである。洋服のクレープ織にこの縮紗という語があてられることがある。花縮紗という命名は、そのイメージからきたのだろう。

(2019-09 川崎市 道端) 


 

ハナシュクシャ

開花時期 7月、8月、9月、10月、11月
花の色 白、赤
分布 原産地はインド、マレー半島。
日本へは江戸時代に渡来。
九州や沖縄では野生化。
生育地 畑、 庭植え
植物のタイプ 多年草
大きさ・高さ 1~2メートル
分類 ショウガ科 シュクシャ属
学名 Hedychium coronarium
花の特徴 短日植物で、夕方になると香りのよい白い花を開く。
花の仕組みも独特である。
花被片は6枚あるが、外花被3枚は合着して花のつけ根にある。
内花被3枚はつけ根は合着し、先が3つに分かれる。
もう1枚、唇形の花びらがあるが、これは雄しべが花びらの形になっている。
また、飛び出している蘂は、雄しべと雌しべが1つになったものである。
葉の特徴 葉は長い楕円形で、互い違いに生える(互生)。
実の特徴 花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。
この花について 属名の Hedychium はギリシャ語の「hedys(美味)+chion(雪)」からきている。花が雪のように白く甘い香りがすることから名づけられた。
種小名の coronarium は「花冠のある」という意味である。
流通名はジンジャーである。
これは英名のジンジャーリリー(ginger lily)やホワイトジンジャー(white ginger)からきたものである。
英名のジンジャー(ginger)は生姜(ショウガ)のことだが、それとは異なる。
花から香水用の精油を取るために栽培され、また観賞用に栽培される。
キューバ共和国とニカラグア共和国の国花である


白い花弁の先の旗弁が紫に染まっているヤブマメ

2019年09月29日 07時07分00秒 | 

これも富士山麓の山の下山路で崖に咲いていたヤブマメ。わりと大きめの白い花弁の先の旗弁が紫に染まっていて、一目で分かるし、かわいい。つるでほかの植物に絡むので、見分けやすい。その後、いろいろなところでみかけるようになった。

(2019-08 山梨県 富士山麓 )

 

ヤブマメ  藪豆

[中国名] liang xing dou
[英名] Chinese hog-peanut
[学名] Amphicarpaea edgeworthii Benth.
Amphicarpaea bracteata (L.) Fernald subsp. edgeworthii (Benth.) H.Ohashi var. japonica (Oliv.) H.Ohashi
マメ科 Fabaceae  ヤブマメ属

  ヤブマメ var. japonica やウスバヤブマメ var. trisperma などの変種に分けることもあるが、分けないことが多い。
 茎、葉柄にやや開出ぎみの毛が生える。葉は3小葉、小葉の長さは3~6㎝の広卵形、両面に毛がある。花は短い総状花序に密集してつく。花冠は長さ1.5~2㎝、白色で、旗弁が淡紫色。閉鎖花を総状花序とは別に短い柄につけ、豆果はほとんど閉鎖花からできる。果実(豆果)は扁平、2~3個の種子を入れ、長さ2.5~3㎝、縁に長毛があり、他は無毛。地下にも閉鎖花をつけ、1種子だけの豆果をつける。種子は扁平球で、直径約3.5㎜、ウズラ卵のような黒い斑点がある。2n=22。
 ツルマメは少し似ており、混生していることもある。小葉が細く、花の長さが短く、小型。果実は全体に毛があり、種子の表面もざらつく。
[花期] 9~10月
[草丈] つる性
[生活型] 1年草
[生育場所] 林縁、草地
[分布] 在来種  本州(関東地方以西)、四国、九州、朝鮮、中国、ロシア、インド、ネパール、ベトナム
[撮影] 幡豆町  11.10.16


花まで霜柱に似ているシモバシラ

2019年09月28日 09時39分11秒 | 

富士山麓の山の沢道で花開いていたシモバシラ。花弁が一方向に向くのが特徴的だ。花そのものにどことなく冬の霜柱の趣があるが、この名前はこの植物が咲いていたところに、冬になると霜柱ができるためだ。なんとも奇妙な植物ではある。日本固有種。属名まで植物学者の日本人の名前である。

(2019-08 山梨県 富士山麓 )

 

シモバシラ

シモバシラ(霜柱、学名:Keiskea japonica)はシソ科の多年草であり、枯れた茎に霜柱(霜華)が出来ることで知られる。属名は植物学者の伊藤圭介にちなむ。

特徴
宿根性の多年草である。茎は断面が四角形をしており、やや木質化する。高さ40-70cmほど、先端に向けてやや水平向きに曲がる。葉は茎の節ごとに対生に出て、長さ8-20cmの楕円形、薄くて柔らかくてつやがなく、縁に軽い鋸歯がある。

花は9-10月頃に咲く。茎の先端側半分くらいの葉腋から総状花序を出す。花序の軸は真上に伸び、花はその軸に茎の先端側に偏ってつく。従って、水平になった茎から花序だけが立ち上がったおもしろい姿となる。花はほぼ真横を向いて咲く。花冠は白く、釣り鐘状で、雄蘂はそこから突き出す。

分布など
日本固有種で関東地方以南の本州から九州にかけて分布する。低山の森林内に生え、特に渓流周辺に群落を作ることもある。

シモバシラの霜華
シモバシラが生えていたところには、冬になると霜華(英語版)ができる。シモバシラの茎は冬になると枯れてしまうが、根はその後長い間活動を続けるため、枯れた茎の道管に水が吸い上げられ続ける。そして、外気温が氷点下になると、道管内の水が凍って、茎から霜華ができる。この現象は、地中の根が凍るまで続く。


背が高くすらりとしている美麗なシュウメイギク(園芸種シリーズ07)

2019年09月28日 07時59分14秒 | 

今の時期、いたるところで花を開いているシュウメイギク。古くから中国から渡来し、秋明菊という名前で親しまれていたらしい。しかし帰化植物としての秋明菊は、赤花だったようだ。今では園芸種で白花のシュウメイギクを多くみかける。アネモネの仲間というが、もとから白花だったのではしないかと思わせるほど、白のシュウメイギクは日本の風土にぴったりとあった素敵な花だ。背が高くすらりとしている立ち姿も美麗な花にふさわしい。

(2019-09 川崎市 道端) 

 

 

シュウメイギク

シュウメイギク(秋明菊、学名:Anemone hupehensis var. japonica)とは、キンポウゲ科の植物の一種。別名、キブネギク(貴船菊)。名前にキクが付くが、キクの仲間ではなくアネモネの仲間である。

概要
中国から古い時代に入ってきた帰化植物である。文献上では「花壇綱目」に「秋明菊」の名前で記載が成れていて、日本に定着していたことが窺える。

中国では明代末の「本草綱目」には記載はなく「三才図会」に「秋牡丹」の名前で記載されるようになる。「秋牡丹」の呼称は貝原益軒も「大和本草」で使用している。以後日本の園芸書には「秋明菊」「秋牡丹」で紹介されることが多くなり、「しめ菊」「紫衣菊」「加賀菊」「越前菊」「貴船菊」「唐菊」「高麗菊」「秋芍薬」などの多様な別名で呼ばれることになった。

花色は赤紫色であるが、近年、他種との交配品種が市販されるようになり、弁数が少ない品種や白色の品種が多く栽培されて名称の混乱が見られる。

近縁のアネモネなどと同様、プロトアネモニンを含み有毒。乳液に触れるとかぶれを引き起こす。

生態
多年草で開花期は秋、高く伸びた花茎の上に大柄な花をつける。花は多数の赤紫色の花弁状の萼片が目立ち、本物の花弁はない。中央には黄色の雄蕊が多数ある。


湿地を好む水生植物ホソナガバミズアオイ

2019年09月28日 07時12分08秒 | 

森林公園の湿地で咲いていたホソナガバミズアオイ。水草の一つなのだが、水中で花を咲かせる仲間の種のホテイアオイとは違い、水の中よりも湿地のようなところに生えることが多いようだ。

(2019-09 川崎市 森林公園) 

 

ホソナガバミズアオイ
(細長葉水葵) ミズアオイ科 分類:草 学名:Pontederia cordata var. lancifolia

花びら:6枚 色: 筑波実験植物園 にて
ミズアオイ の仲間で北アメリカ原産。同じ北アメリカ原産の マルナガバミズアオイ は葉が丸く、 アメリカミズアオイ よりさらに葉が細長い


判定にほとほと困ったヤブミョウガ

2019年09月27日 09時34分23秒 | 

この花はなかなか判定が難しかった。図鑑に載っていないわけではないのだが、実際に目にする花とどうも一致しなかった。葉がミョウガに似ていると言われるヤブミョウガだが、目にする白い花をつけたものからはとても連想できない。それでいて森林公園などに群生しているのである。ほとほと困ったものだった。今時分もまだ花は残っているが、藍色の実が目立つようになってきた。

(2019-09 川崎市 森林公園) 

ヤブミョウガ(薮茗荷、学名 Pollia japonica)は、ツユクサ科に分類される多年生草本植物である。

分布
東アジア(中国、朝鮮半島、台湾、日本)に分布し、日本では関東地方以西の暖地の林縁などに自生するが、湿気の多い土地を好む。

沖縄県の山地には変種のコヤブミョウガ(学名 Pj var. minor)が自生する。

特徴
5月頃から発芽し、夏にかけて草丈 50cm- 1m 前後に生長、ミョウガに似た長楕円形の葉を互生させ、葉の根元は茎を巻く葉鞘を形成する。葉は茎の先端部分だけに集中する。なお本種の葉は表面がざらつくところ、葉が2列に出ないことなどでミョウガと区別できる。なお、ミョウガはショウガ科であり、花の構造は全く異なる。

8月頃になると茎の先端から花序をまっすぐ上に伸ばし、白い花を咲かせる。花には両性花と雄花があり、前者は白い雌蘂が目立ち、後者は黄色い葯の付いた雄蘂が目立つところで判別できる。白い花弁が 3枚、萼も白く 3枚、雄蘂 6本、雌蘂 1本で、花冠の直径は 8mm 程度である。

花が終わると初秋にかけて直径 5mm 程度の球状の実を付け、じきに葉を落とす。実は若いうちは緑色で、熟すと濃い青紫色になる。この種子のほか、地下茎を伸ばしても殖え、群生する。


ピンクの花が可憐なシモツケソウ

2019年09月27日 08時41分17秒 | 

富士山麓の山の下山路の急な斜面に咲いていたシモツケソウ。ピンクの花が可憐で眼を引く。一見するとキョウガノコにそっくりだが、これは自生種である。シモツケとは葉の形が異なるので、すぐに区別できる。こんな優雅な花が日本固有種とはうれしいことである。

(2019-08 山梨県 富士山麓 )

 

シモツケソウ [下野草]

開花時期 6月、7月、8月
花の色 ピンク、赤
名前の読み しもつけそう
分布 日本固有種
本州の関東地方から九州にかけて分布
生育地 山地や亜高山の草地や林の縁など
植物のタイプ 多年草
大きさ・高さ 30~80センチ
分類 バラ科 シモツケソウ属
学名 Filipendula multijuga
花の特徴 枝先に集散花序(最初の花が枝先につき、その下に次々と側枝を出して花がつく)を出し、花径4、5ミリの小さな花をたくさんつける。
花の色は普通は淡い紅色だが、濃い紅色のものもある。
花弁は5枚で、形は円形である。
雄しべはたくさんあり、花冠から飛び出ている。
萼片は5枚で反り返り、内側には毛が生えていない。
近縁種の京鹿の子(キョウガノコ)は毛が生えている。
葉の特徴 葉は奇数羽状複葉(鳥の羽のように左右に小葉がいくつか並び、先に1つの小葉がついて1枚の葉が構成される)、互い違いに生える(互生)。
頂小葉が大きく、5つから7つに手のひら状に裂ける。
実の特徴 花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。

その他 草下野(クサシモツケ)の別名がある。


純白の花が目立つジャスミン・ホワイトプリンセス(園芸種シリーズ06)

2019年09月27日 07時35分36秒 | 

ソケイ属の花ジャスミン・ホワイトプリンセスは、ソケイらしい形の白い花がすてきだ。ソケイ属らしく蔓性の植物らしいが、なかなか思うようにまきついてくれないらしい。香りも高く、ハーブティーにもできる。庭の片隅に植えておきたくなる純白の花だ。

(2019-09 川崎市 道端) 

 

 

 

ホワイトプリンセス

科名 モクセイ科
属名 ソケイ属
別名 ホワプリ
みずやり 水を好む
場所 外の半日蔭
難易度 初心者向け

栽培の特徴
ホワイトプリンセス…略してホワプリ。モクセイ科の植物でジャスミンの仲間。半つる性。ジャスミンティーのジャスミンの仲間なのでお茶にも出来る。
日当りを好みますが、明るい日陰程度ならば枯れずに育ってくれます。ただ日当りがいい方が花つきがよく、成長も早いので一般的には日当りで管理します。ホワイトプリンセスは開花期間が長いので花が咲くように日当たりで管理した方がいい。
蔓性で絡ませることも出来るんですが、意外と茎が硬く、暴れる。半つる性としているが、実質低木。誘引してきれいにするには根気がいる。そこさえ問題なければ初心者向けの植物。


千日紅と書くくらい長持ちするセンニチコウ(園芸種シリーズ05)

2019年09月26日 10時42分04秒 | 

小さなポンポンダリアのような丸い花をつけるセンニチコウ。千日紅とも書くくらい、花が長持ちするらしい。ドライフラワーにすれば、数年はもつとか。花壇の隅を飾る花としても、花束の添え物としても人気が高い。

(2019-09 川崎市 道端) 

 

センニチコウ

センニチコウの仲間は、花そのものではなく紫やピンク、白、黄、赤に色づく苞を観賞します。暑さと乾燥に強く、日本の夏に適した性質で、長期間咲き続けます。庭や花壇、鉢に植えて育てたものが、切り花としてよく仏壇に飾られます。また、フラワーアレンジメントにも欠かせない素材です。苞の部分はドライフラワーにしても色があせにくいため、名前のとおり、千日色が変わらないのではないかと思うほどです。
ゴンフレナ属の植物は、熱帯アメリカを中心とした熱帯各地に100種以上が知られています。従来から紫、ピンク、白の花を咲かせるセンニチコウ(Gomphrena globosa)と、黄色や赤の花を咲かせるキバナセンニチコウ(G.haageana)の2種が栽培されてきましたが、最近は‘ファイヤーワークス’と呼ばれるスパイシーな香りをもち、ローズ色の花を咲かせる品種も流通しています。
センニチコウの仲間は、タネをまいて育てますが、発芽には比較的高温が必要なので、早まきしても芽が出にくく、5月ごろが適期です。また、‘ファイヤーワークス’はさし芽でふやすこともできます。
なお、センニチコウは一年草ですが、キバナセンニチコウは地下に球根をつくり、3℃程度保てば冬越しできる多年草です。‘ファイヤーワークス’は、軽く凍っても冬越しさせることができます。

基本データ

園芸分類 草花

形態 一年草,多年草 原産地 熱帯各地

草丈/樹高 15~70cm程度 開花期 5月~11月

花色 白,赤,ピンク,黄,紫 栽培難易度(1~5)

耐寒性 弱い(‘ファイヤーワークス’はやや弱い) 耐暑性 強い

特性・用途 初心者でも育てやすい,開花期が長い,香りがある(品種による)


林の中で開く黄色い花が目立つマルバダケブキ

2019年09月26日 09時54分30秒 | 

富士山麓の山の下山中にみかけたマルバダケブキの花。葉がユニークですぐにそれと分かる。人が間を歩けなくなるほど群生することもあるという。林の湿った空間を暖かくしてくれる花だ。

  (2019-08 山梨県 富士山麓 

マルバダケブキ(丸葉岳蕗、学名: Ligularia dentata )はキク科メタカラコウ属の多年草。

特徴
茎の高さは40-120cmになる。根出葉は長い葉柄があり、葉身はフキに似た腎円形で径30-40cmになり、縁は鋸歯状になる。茎につく葉の葉柄の基部は広くふくれて茎を抱く。

花期は5-8月。茎の上部に散房状に5、6個の黄色い径5 -8 cmの頭花をつける。舌状花は10個ほど。トウゲブキ(エゾタカラコウ)にはある総苞の基部と花柄の基部の苞はない。冠毛は赤褐色になる。

分布と生育環境
本州、四国に分布し、山地や深山のやや湿った草地、林縁に自生する。本州中部地方から東北地方の山中に多く、四国にはまれにみられる。アジアでは中国大陸に広く分布する。


川辺で三角の茎と花が目立つカンガレイ (「雑草」シリーズ12)

2019年09月26日 08時04分55秒 | 

カンガレイ とは奇妙な名前だが、牧野博士によると寒くなっても茎が立っている蘭「寒枯れ藺」だという。いずれにしても、三角の茎とそれに奇妙な形でついている花らしきものが目立つ。川辺で群生している様子はなかなか見ものである。

(2019-09 山梨県 富士見町) 

 

カンガレイ Schoenoplectiella triangulatus Roxb. は、カヤツリグサ科ホタルイ属の植物。水辺に生育し、茎が三角の断面を持つ、イグサに似た姿の植物である。近縁種や類似種がいくつかある。

特徴
葉が発達せず、見かけ上は茎のみからなる植物である。名前の由来について、牧野はおそらく「寒枯れ藺」で、冬に地上部が枯れても、その茎が立っている様子に基づくと推定している。

地下茎はごく短く、多数の茎が束生する。花茎の基部には少数の葉があるが、いずれも鞘の形になり、葉身はない。

花茎はほぼ直立し、全体に緑色でつやがある。茎の断面はきれいな三角形。高さは70-100cm、先端に向けて少しだけ細まる。茎の先端に花序が出るが、その基部から出る単一の苞葉が茎の延長のようになっているので、外見的には先の尖った茎の、先端からすこし下から側面に出るように見える。このようなあり方はイグサやホタルイと似ている。ただしカンガレイでは苞葉の部分が花序と反対側に少しだけ曲がるのが普通。

花序は多数の小穂が4個から多い場合は20個ほど、頭状に集まったもので、小穂には柄がない。小穂は長さ1-2cmの長楕円形で先端は多少尖り、淡緑色から褐色を帯びる。多数の鱗片が螺旋状にならび、その内側に小花を収める。

果実は長さ2-2.5mm黒く熟する。鱗片の内側には細長くて細かい逆棘の生えた針状付属物がある。これは花被に由来するもので、この種ではその長さが果実を少し超える。

生育環境
湿地や池沼の周辺に生育し、特に根元が水に浸ったようなところに生えることが多い。束になって生えるその姿はイグサに似ないでもないが、本数がはるかに少ないので、印象はかなり異なる。

人里から山間部まで、様々な水辺に見かけるが、水田のように人為的攪乱の激しいところにはあまり見られない。

分布
日本では北海道から琉球列島まで広く分布する。国外では朝鮮・中国からインド・インドネシアに知られる。

利用
特に有用な面はない。時に水草としてビオトープ施設などに用いられる程度。

類似の植物
同属であるサンカクイは、同じように三角の茎、茎の延長になっている苞と楕円形で多数の鱗片の重なった小穂を生じる点など、似た点が多い。茎一本だけ持ってくれば、ちょっと迷うところであろう。見かけ上の大きな違いは、サンカクイが長く匍匐茎を伸ばして、広がった群落を形成するのに対して、カンガレイは匍匐茎を出さず、まとまった株を作る点である。また、小穂に柄がなく、頭状に集まるカンガレイに対して、サンカクイでは無柄の小穂もあるが有柄のものが混じり、ややまばらな花序をなす点も大きな特徴である。分類学的には、カンガレイの場合は柱頭が三個あり、果実の断面が三角形であるのに対して、サンカクイは柱頭が二個、果実は扁平であり、やや異なった系統と考えられる。