ミュウのCLASSIC ROCK LOVE

70年代、80年代のロックとその周辺の音楽について気の向くままつぶやきます♪最近のロックも取り上げます。

カンタベリー・ロック特集 24 Of Queues and Cures / National Health 1978年

2023-10-29 15:29:57 | カンタベリー・ロック
長らく続けてきたイギリスのカンタベリー・ロック特集ですが、ついにカンタベリー・ロックの最終形態「ナショナル・ヘルス」の事実上の最後のアルバムとなりました。セカンド・アルバム、「Of Queues and Cures」です。
ナショナル・ヘルスはもう1作アルバムを出していますが、それは、アラン・ゴーウェン追悼盤で、企画盤的な位置づけです。
やはり、このアルバムで、一区切りととらえるべきでしょう。
時は1978年。UKがファースト・アルバムを出したのも1978年。
プログレッシブ・ロックの最後の傑作が同時期にリリースされたんだなと感慨深くなります。
メンバーはベースが交代しています。ニール・マーレイはホワイト・スネイク参加のために脱退し、元ヘンリー・カウのジョン・グリーヴスが参加。
また、前回ゲスト参加したアラン・ゴーウェンとアマンダ・パーソンズは参加していません。でもゲストとして、ジョージ・ボーン(チェロ)、ポール・ニーマン(トロンボーン)、フィル・ミントン(トランペット)、ジミー・ヘイスティングス(フルート、クラリネット)、キース・トンプソン(オーボエ)、ピーター・ブレグヴァド(ボイス)といったメンバーが参加して、彩りを加えています。
前作とは違って、かなり聴きやすい作品です。
けっこうプログレのカッコよさがあり、クリムゾン風のところもあります。
日本のファンが好きなタイプのプログレ作品なのですが、発売当時、日本ではクリムゾンみたいに知名度がなかったため、あまり売れなかった印象ですね。

聴きやすくなったと言っても、ポップになってしまったということではありません(ポップな部分もけっこうありますけど)。複雑だし、展開が目まぐるしい。曲も長い。でも、聴き入ってしまいます。
UKがプログレの壮大さ、ドラマティックさを表現して聴き手を満足させたのに対し、ナショナル・ヘルスは複雑な曲構成とインプロビゼーション的演奏で聴き手を緊張させて圧倒するという感じですね。カンタベリー・ロックが持ち続けていたジャズ・ロック的な構築を通過した上で行きついた至高のロック・サウンドかもしれません。印象的なメロディもあります。
ヴォーカル入りの曲はいいアクセントになっていて、そこも魅力。
何回でも聴きたくなる不思議な魅力をもつ本作品は、ハットフィールド&ザ・ノースの「ロッターズ・クラブ」同様、名盤だと思います。

ご紹介するのは、まず1曲目の「The Bryden 2-Step (For Amphibians) (Part 1)」。デイヴ・スチュアート作です。
キーボードの静かな音から始まるこの曲は実に耳にすんなり入ってきます。
前作とはかなり雰囲気が違います。けっこう、メロディアスでキャッチーな作風です。緊張感があり、音もキレがあって、まさにかっこいいプログレのイメージですね。勢いを感じます。曲はいろいろ展開しますけど、聴き手を置いていくようなことはなく、難解な雰囲気はありません。割とシンプル。

The Bryden 2-Step (For Amphibians) (Part 1)


次にご紹介するのは3曲目の「Squarer for Maud」。ジョン・グリーヴス作です。
これがまさに万華鏡のようなサウンド。約12分の長尺の曲の中に、様々な展開があって、圧倒されます。個人的にはこの曲にプログレの理想郷を感じます。複雑ながらスムーズに聴けてしまう構成力があります。ワクワクドキドキの流れですね。彼ららしく遊び心もあります。フィル・ミラーの弾きまくりのギターも印象的。
途中でゲストのピーター・ブレグヴァドの朗読がありますが、彼の参加はジョン・グリーヴスとのつながりのようです。二人ともヘンリー・カウにいましたね。

Squarer for Maud


5曲めの「Binoculars」をご紹介します。ピップ・パイルの曲です。おだやかやなヴォーカルはハットフィールド&ザ・ノース時代を思い起こさせます。まるで、キャラヴァンのようなポップな雰囲気があり、やはり前作とは違う印象です。
フルートが入ると、軽快な感じになり、実に心地良いですね。
全体的に穏やかで、可愛らしい感じの流れがあり、カンタベリー・ロックの遺伝子をここで発揮したか!とちょっと感動してしまいました。

Binoculars



最後にラストの「The Bryden 2-Step (For Amphibians) (Part 2)」。スチュアートの曲ですね。
1曲目の続きのような曲。実に聴きやすい。UKのようでもありますね。
静かに終焉を迎えます。

The Bryden 2-Step (For Amphibians) (Part 2)


今回で、カンタベリー・ロック特集を終わりにしようと思ったのですが、最後まで頑張ったデイヴ・スチュアートに敬意を表して、彼が参加したエッグについて1回、カーンについて1回取り上げる予定です。
つまり、あと2回で終了です。
そのあとは、別のブリティッシュ・ロック・バンドの特集を開始する予定となっております。
1970年代のイギリスのバンド・シーンは本当に奥が深いですね。






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