かつて私の学生時代、日本拳法のある高名な先生がこうおっしゃいました。「サンドバックを打ちなさい。サンドバックが教えてくれる。」その時は意味がよくわからなかったのですが、今はそれを実感し、理解しています。格闘技のあらゆる打撃技には、先人達が永い年月をかけて練り上げ、研磨してきた、理にかなった正しい動作があります。一人で練習しているとそれが本当に正しい動作なのかどうかわからないことも多いのですが、サンドバックやパンチングボールは、正しい動作で打たないと、いい炸裂音が鳴らなかったり、芯を捉えることができません。毎朝叩いていると、調子の良し悪し、フォームの良し悪しを、彼等が正確に教えてくれるのです。私にとっては、このボロボロのサンドバックとパンチングボールは大切な友であり恩師なのです。これからも使える限り、感謝の心で大切に使わせていただきたいと思います。