歌え!だらリーマン

買った、使った、感想、評価

8月のANA落語はヒドイ

2011年08月22日 | ツッコミ
ANAに乗るたびにANAスカイオーディオは10チャンネルの「全日空寄席」だった。2011年8月の初めまでは。かなり昔からそうだし、2010年2月からは毎月ANAに搭乗してきた。月に何回も搭乗して、しかも沖縄に行ったり、福岡に行くなど、搭乗時間の長かったときも繰り返し全日空寄席を聞いてきた。聞いていたのはそれが面白いから。でも今月の全日空寄席はダメである。

好みは人それぞれだとは思うが、こんなのは客に聞かせちゃいけないと思う。まずは江戸家猫八、先代からよくテレビに出ていたし、この猫八も江戸家子猫の名前で出ていたときからよくテレビで見ていた。動物や鳥の鳴き声のモノマネである。

ある意味で、動物や鳥のモノマネで寄席の1コマを埋めることができなくなってしまったのかもしれない。でも鳴き声をきっかけに面白い話をするという「話芸」は今でも成り立つのではないか。今回は上から目線の話ばかりで聞いていて苦痛だった。先代猫八の呪縛から逃れられないのか、聞いていて痛々しかった。

鳴き声のモノマネという芸はすごいと思う。人があれだけの音を出せるというのはすごい修練の積み重ねが必要だったんだろうとは思う。だけど昔と違って録音や録画の技術が進んで、ウグイスでもホトトギスでも本物の声が簡単に聞けるのである。今の時代にマッチした話芸を作り出してほしい。子供の頃、先代の猫八と一緒にテレビに出ているのを見て「息子も同じようにモノマネをするんだ」と思ったけど、そのころの芸から先代の猫八がいなくなっただけのつまらないものになっている。

この猫八氏を最近はテレビで見たことがなかったけれど、面白くないから使えないんじゃないかと思う(個人的感想)。

それから桂雀々。落語の部分の滑舌の良さはたぶん超一流だと思う。すごいと思った。だけど枕を含めた芸全体はANAの乗客全員が聞けるところに流してはいけない。アングラ劇場のようなところでこっそりやるだけにしておいてほしい。聞いていてはらはらする。作り話なのかもしれないけど、私怨による愚痴を聞かされている気分になる。他人の失敗をあげつらったり、馬鹿にするというのはお笑いのよくある手法ではあるが、あくまで架空だとはっきり分かる人物にしておくか、結局は自分自身が一番馬鹿だったという話にしておかないと不快な気分になる。

というわけで2011年の8月はひどかった。1回聞いて、そのあとも2回ANAに乗ったけれど全日空寄席は聞かなかった。8月中にあと2回はANAに乗るはずだが寄席以外のオーディオプログラムを聞くつもりである。

とはいえ、それ以前のものは良かった。今年の4月分までは書いたので、それ以降の全日空寄席の話。

●2011年5月

立川志の輔師匠の「抜け雀」。天才的な絵師の話である。去年の10月に聞いた「ねずみ」と相通ずるところのある話。天才的な才能を持った職人が作った絵や彫刻が命を持って動き出すという「事件」が話の肝になっている。

いま思い出しても背中がぞくぞくして、よだれが出そうな感じがするほど志の輔師匠の話には命がこもっていた。

●2011年6月

立川志の春氏の「元犬」。志の春氏はついこの間まで前座だったらしい。二つ目になったばかり。若いけど勢いがあって元気になる。新鮮な野菜をばりばり食べているような感じ。登場する「元犬」も元気で、噺家のテイストと噺の内容が実によくマッチしてた。

桂歌丸師匠の「城木屋」。歌丸師匠というのは笑点に出たり、そのほかテレビでもよく見かけるし、テレビタレントとして認識していて、こんなに落語に味のある人だとは知らなかった。いやー、すごい。ベテランの味がする奥深い噺だった。枕で「ここは機内では流しません」という爆笑を誘うすごいネタがあった。聞いている人は「確かにこれは機内では流せないだろう」という感じがして、それでいて実際に機内で流しても大丈夫な話題なのである。これがベテランの持ち味だと感服した。機内で流せるかどうか、ぎりぎりのきわどい線を攻めてくる歌丸師匠の芸の感動があっただけに、8月の雀々氏の枕に私は落胆したのである。

●2011年7月

林家鉄平師匠の「紀州」、ああこれが暴れん坊将軍誕生のいきさつか、などと考えながら聞いてしまう。落ちは知っていてもワクワクしながら聞いてしまう、良かった。

桂南光師匠の「佐野山」。南光師匠もテレビにさんざん登場しているので、あまり落語家という感じはしていなかった。いや、でもすごい。落語もすごい。才能がある人はテレビタレントとしてもすごいんだと思った。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。