漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 332

2024-03-13 05:40:05 | 貫之集

承平六年春、左大臣殿の御親子、おなじところに住みたまひける、ねだての障子に松と竹とをかかせたまひて、奉りたまふ

おなじいろの まつとたけとは たらちねの おやこひさしき ためしなりけり

おなじ色の 松と竹とは たらちねの 親子久しき ためしなりけり

 

承平六年(936年)春、左大臣さまの親子が同じ家にお住まいになられていて、その仕切りの障子に松と竹を書かせておられたので、それを詠んだ歌を奉った

同じ色の松と竹とは、親子がともどもに末永く幸せに過ごすしるしなのです。

 

 「左大臣殿の御親子」とは藤原忠平(ふじわら の ただひら)とその娘貴子(きし/たかこ)のこと。「障子」は、この時代において襖(ふすま)のことで、屏風と同様に、そこに絵を描いて和歌を書きつけたようです。「たらちねの」は「親」にかかる枕詞ですね。





 


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