=118 ~木の因数分解~(家具工房つなぎブログ)

南房総でサクラの家具を作っています。ショールーム&カフェに遊びにおいでください。

物体の力

2009年08月27日 | 【メモ】木づいたこと、考えたこと
夏休みの写真を整理していたら、お祭りの写真で面白いものがありました。

これは地元館山の船形の大塚という地区の山車です。

8月の前半に館山湾に日本丸の入港を歓迎してのパレードで山車を出していました。

お祭りにはその大塚の地区以外の方もたくさん参加していて、それぞれ柄の違った半纏を着ているのを見るとさながら船形連合軍といった様を呈していました。

坂道では、そんないろとりどりの半纏を着た人たちが一緒に山車を押して一体化しています。
(写真)


お祭りのときにいつも思うのですが、
山車とか屋台とか、形あるものの力はやっぱりすごいなと思います。

結束とか団結って目に見えないものかもしれませんが、
地区の老若男女さまざまな人たちにとって、この山車とか屋台を押したり、触れているだけで、なんだかみんな一体感を感じることができるのです。
自分の地区に誇りを感じることができるのです。

物体、大きくて形あるものの存在感の力だと思います。

そして、このような物体を作った先人の知恵もまたすごいと思うのです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

棺おけ組み

2009年07月25日 | 【メモ】木づいたこと、考えたこと
いきなり不吉なタイトルですみません。

「棺おけ組み」

以前、接ぎ手の授業のとき、先生が話していた「棺おけ」特有の組み方です。

そのときは、完全に理解できずモヤモヤが残っていたのですが、

本日、再度先生に聞くことができました。


物にはすべて、メインの面があります。

簡単にいうと、よく見えるところ、見せたいところです。

接ぎ手を見えるところで言うと、本棚なら天板、筆箱なら正面の横長の面になります。


この面に見える接ぎ手は、原則は「木口が見えるのを少なくします」

五枚組みであれば、3枚が板面、2枚が木口の接ぎ手になります。


しかし、棺おけの場合は異なるということです。

棺おけの横長の面には、

「木口を多く見せる」継ぎ手を施すそうです。


私が将来、棺おけを作ることになるとはあまり考えていませんが、
逆はあります。
新婚祝いに誤って、そんな接ぎ手の箪笥を送ってしまったらどうでしょうか?
(まあ、なんとなく見た目にも違和感はあるのですが)



「技術が高いことも大切ですが、
常識の伴わない技術は恥ずかしいですよね。」


常識は子供のころに身につけるものですから、
子供の間=木工の習いたての今に、技術だけでなく多くの業界の常識を学びたいものです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

地産地用 「那古の祭は房州うちわ」

2009年06月30日 | 【メモ】木づいたこと、考えたこと
(↑団扇デザイン)


世の中、

売れないものは、なくなっていく

使われないものは、なくなっていく

必要とされないものは、なくなっていく



さて、日本各地にある昔からの伝統工芸の業界は今非常に苦しい。

おしなべて、

安価な外国製品に押されて、売れていない

プラスチックや他の代替品にとって替わられ、使われていない

でも、そのような状況 = 必要とされていないということだろうか?

いや、私はそうは思わない。




たとえば、木工の世界でも、状況は似ている。

それこそ、IKEAに行けば、安くてデザインのいいものが簡単に手に入る。

最近は「本物」が重視され始め、無垢の板を使った大きなテーブルなど人気が出てきたが、まだまだ厳しい。


冒頭の繰り返しになるが、伝統工芸にしろ木工にしろ、

売れない、使われなければ、職人は仕事がなく、飯を食っていけず、後継者も育てられず、消滅していくしかない。

だからと言って、「皆さん、伝統工芸を絶えさせないために、無理にでも買って使いましょう」
なんてことを言うつもりはない。

本当に必要のないものは、必要でないのだから。


でも、そうなる前に、一度ちょっとだけ見直すぐらいはしてもいいと思う。

だって時代は変わっているのだから。

世界的な投機マネーゲームは終わり、いよいよ地球環境もおかしくなってきて、毎日のテレビでは暗いニュースが後を絶たない。

一方でエコやロハス、本物、人の絆、なんてものが求められてきている。

そして、匠の技、職人の魂、これらが必要とされる時代が来ているのではないだろうか。


私は今一度、伝統工芸にチャンスを持ってもらいたいと思っている。


伝統工芸は身近であればあるほど、身近すぎて知られていない。

また、一時の大量消費社会を経てきた私たちは、伝統工芸品の使い方を忘れてしまっているかもしれない。

そんな、「知らない」、「忘れられている」といったことを打破するためには、私はやっぱり産地の地元がまず声をあげ、考えて、そして使ってみるべきだと思う。

食の世界では、地元の食材を地元で消費する「地産地消」が叫ばれて久しい。

同じように、工芸品も地元で使って用いることから始めてみませんか。



私のふるさと、千葉県の房州には「房州団扇」という、国指定の伝統的工芸品があります。

日本には伝統的工芸品に指定されている3大団扇がありますが、はっきり言って私は、房州団扇が一番美しいと思っています。



この団扇をどこで使うか?

浴衣に団扇も魅力的ですが、やっぱり夏の風物詩、房州のお祭りで地産地用をするのが私はベストと思い、一人でも始めてみることを今年の2月に決めました。
特に房州団扇の産地である那古、船形の祭りには「やっぱり団扇でしょ」ということになったらいいなと思います。



もうデザインも決めました。

作っていただく工房とも連絡済みです。

高いか安いかはわかりません、一本1000円です。

一人でも始めると書きましたが、やっぱり仲間がいたほうがうれしい。

ということで、工房に発注する今週の土曜日(7/4)まで密かに賛同者募集中!!

連絡待ってます。



<団扇寸法>
・220ミリ×180ミリの卵型
・通常の団扇よりも小さめで柄は長め(腰の帯に差しやすい)

<デザイン>
・基本は落ち着いた色で、統一感を出すために半纏のデザインを活用
・表面は、半纏についた菱形模様で、白から黒のグラデーションを使用しクールに
・裏面は、半纏の背中と同じ○志マークを小さめに配置。うちの地区は人が少ないので、半纏と団扇のマークが増えることで、アピール力が増大。おまけに龍もつけちゃいました。

<工房>
・うちわの大田屋さん

・他業界とのコラボレーションにも熱心で、昨年はファッション業界のBEAMSとの商品企画も実施
以下は、うちわの太田屋さんの記事です。

→BEAMS商品記事1
→BEAMS商品記事2



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「これからの木工」を考えたいヒント

2009年05月14日 | 【メモ】木づいたこと、考えたこと
「AERA」5月11日「かっこよくザクザク経営」より

農業における新たな成功事例が、いくつか掲載されていました。

木工業界も、農業と同じく課題の多い産業と言われている中、うまくやっていくヒントを探したい。

記事内の成功事例を簡単についばませて頂きます。

■ビオファームまつき
 ・農業3割、サービス業7割の精神
 ・「農業遊園地」を計画中

■サラダボウル
 ・農業の成功は、人材と集約化
 ・農業=3Kというイメージの脱却(月給15万円、週一休、月一連休)

■みらくるグリーン
 ・野菜工場的発想
 ・付加価値があり品質の高い商品の生産

■和郷園グループ
 ・現場の声「野菜に鮮度、風味がほしい」を活かす
 ・契約農家のグループ化とマニュアル化
 ・「地域に仕事を」という理念

これらに共通していることは何でしょうか?

1.確かな商品力
ベビーリーフやズッキーニなど珍しい商品を生産している例もあるが、どれも商品力が高い。レストランで言えば「美味しい」ということ

2.他業種の考え方を具現化
登場者のほとんどが農業転職組で、それぞれ前職の業界の考えや他業種の考えを農業に導入している。レストランのサービス精神や工場的な効率的栽培や徹底したマニュアル化

3.夢と人
それぞれの事業者が大きな夢を持っている。「農業遊園地」しかり、「農業の3Kからの脱出」しかり、「地域に仕事を」しかり。そしてそれぞれの夢は人のつながりなくしては成立しない。

の3点を私は考えました。
これからもいろいろな事例を見て考え、自分の木工に活かしていきたいと思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日本3大うちわを、あなたはご存知?

2009年02月17日 | 【メモ】木づいたこと、考えたこと
それは、
京うちわ、丸亀うちわ、そして房州うちわなんです。いずれも国の伝統的工芸品。

でも手前味噌まるだしであえて言うと、房州団扇が一番きれいだと思う。
一本の竹を細かく裂いてきれいに広げたあの「窓」と呼ばれる部分の美しさは他の2種類を圧倒している。
と思う、地元の私は。

しかし、今この工芸品も製造しているところはわずか5軒程度だと言う。
大正、昭和初期の繁栄はいずこへ?

でも、この団扇を眺めていると、様々なアイデアが浮かんでくる。


・品川のエキュートで見たお皿にいろいろな芸能人に絵を描いてもらうイベントのように団扇に描いてもらう。
・中国の有名な伝統的切り絵とのコラボレーションで、団扇に貼り付ける。
・着物には扇子でも、浴衣には団扇でしょ。浴衣ブームに乗って、戦略的に売る
・小売店や飲食店の季節感あるデコレーションとして毎年採用してもらう
・原宿のギャルに売る
・ヨドバシカメラの外国人コーナーにおく
・二酸化炭素削減のチームマイナス6%にかこつけて、各自治体の納涼イベントとジョイントする
・路上のあいだみつを風の詩人、言葉書きの人達につかってもらう

どのアイデアも、ありきたりでいまいちかもしれない。
でも、業界の先行き暗いんだよねーなんて話をしているよりも、こういうことを考えている時間のほうがよっぽどワクワクする。一人でも駄目でも、何人か集まって「3人寄らば文殊のなんやら」でやれば、なにか生まれるかもしれない。

とりあえず私は今年の那古の祭から、扇子でなく房州うちわがトレードマークになるように身につけることから始めることを宣誓します!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする