前回に続き、暴走事故について。
前回では、MT車とAT車の「アクセルを離した際の動きに違いが出る」事を書きました。
では、今回は「何故そのような差が出るのか?」について。
まず、アクセル開度とエンジンの回転数は、例外を除き比例します。
MT車でもAT車でも、アクセルを深く踏み込めばエンジン回転数は上がり、踏み込み量を浅くすれば回転数は低くなります。
だから、ブレーキと間違えてアクセルを踏んでしまっても、アクセルを離す事でエンジン回転数自体は下がるのです。
この先で、MT車とAT車の違いが出ます。
MT車では、エンジンとタイヤの間にあるギアは、ドライバーが変速操作しない限り同じギアのままです。
使っているギアにより加速度・減速度は変わりますが、エンジンの回転数が上がれば速度が上がり、回転数が下がれば速度が下がります。
AT車は違います。
エンジンとタイヤの間にあるギアは、アクセルの踏み加減で車が勝手に変えてしまいます。
アクセルの踏み加減、深く踏み込めば自動的に低いギアに落として加速しやすくなり、踏み込みを浅くすれば高いギアに上げてエンジン回転数を抑え、その速度を維持する。
この様な制御をすることで、発進加速~定速走行維持 という一連の動きが自動でできます。
MT車ではドライバーが行わなければならないギアチェンジ
(クラッチを切りアクセルを一瞬戻す → ギアを1段高くする → クラッチをつなぐ)
を、車がやってくれるのです。
逆に言うと、低いギアに落として「エンジンブレーキ」なる手段での減速を自動で行う事が初期のAT車ではできず、その為か「低速ギアレンジ」が当初からDレンジの下に存在していますね。
この様な機構的な事情により、AT車はMT車に比べアクセルオフだけでは減速しにくい、と言う事がわかると思います。
この事が、前回の記事で書いた
・発進加速後、速度が30km/hから下がらない。(ギアが勝手に高いギアに変わってしまう為。)
・50km/hでアクセルを踏み込んで、約1秒後からキックダウンによって急加速に移行する。
となるわけですね。
いずれにしても、MT車もAT車もブレーキと間違えてアクセルを踏んでしまっては「加速体制」に移ってしまうので事故を起こす可能性は高くなります。
但し、この二つの検証例で、50km/h走行時のケースについては「急加速」に移ってしまうAT車は暴走し易い、と言えますね。
では、駐車場での暴走についてはどうでしょうか。
それはまた次回にアップしたいと思います。