縁起笑店

縁起の道も招き猫から
陶芸家猫社長のつれづれコラム
横浜の縁起村から伊豆の満腹村に移住

しろ子ちゃんの秘密

2010-09-11 | 干支
しろ子ちゃんはおしゃれさんだ。ファッションは季節を先取がモットー。
まだまだ猛残暑の中、待ち合わせの金運駅でしろ子ちゃんを待っていると黒いニットにカーキ色の
スエードのスカート、茶のロングブーツでバリッと決めたしろ子ちゃんがにこやかに現れた。
猫社長といえばノースリーブの綿シャツから太い二の腕を恥ずかしげもなく曝し素足にサンダル。
おしゃれより快適を求めるいでたちだ。
「しろ子ちゃん、いくら伊達の厚着と言っても今年は異常な暑さだし、辛くない?」
「暑い、暑い、だから早く涼しいところに入ろう」としろ子ちゃんはデパートの入り口に向かって
どんどん歩き出した。猫社長もあわてて後を追った。
ピチャピチャ、しろ子ちゃんの足が短くなってだんだん小さくなっていくのがわかった。
しろ子ちゃんが溶けている。
しろ子ちゃんの溶けた足がブーツの中を水浸しにしてパチャパチャとあふれ出している。
歩道に点々と水を撒いたような後が続いていた。
「秋の来るのが遅すぎるのよ」怒りながら振り向いたしろ子ちゃんの顔は化粧が流れてとろけた
ソフトクリームみたいだった。
「猫社長、ごめーん、今日のランチはお預けにしてちょうだい。この埋め合わせは木枯らしが吹く頃に
ちゃんとするからね」
3分もしないうちに大きな水たまりを残してしろ子ちゃんは消えた。
しろ子ちゃんは雪女だった。科学の発達で雪の精でも多少の暑さなら溶けないようになってきた。
とは言ってもやはり今年の暑さは格別だったらしい。
いやほんとに暑かった。去年の今頃はしろ子ちゃんは暑いの、汗が止まらないのと文句は言っても
溶けて無くなることはなかった。
でも結構いるんだよね。しろ子ちゃん以外の伊達の厚着の女達。
彼女たちは負けない溶けない。だからすごい。

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