特殊相対性理論・電磁気学・数学

物理の暗黒面や面白い問題など。

平均値の定理におけるθの極限値

2019-03-05 17:38:25 | 解析

1.まえがき

  あるサイトに平均値定理
    f(a+h)=f(a)+hf'(a+θh) (0<θ<1)    ・・・・・・・・・・・①

  において、h→0としたとき。f''が連続で、f''(a)≠0ならば、θ→1/2 であることが示されていた。
  その概略は f(a+h)とf’(a+θh)に平均値の定理を使って展開すると(0<θ,θ₂<1として)

    f(a+h)=f(a)+hf'(a+θh)= f(a)+h(f'(a)+ θ h f''(a+θθ₂ h)) ・・・②
  f(a+h)をテイラー展開して

    f(a+h)=f(a)+hf'(a)+(h²/2)f''(a+θ₀ h) (0<θ₀<1) ・・・・・・③
  となる。➁③から h≠0 として

    θ=(1/2) f''(a+θ₀h)/ f''(a+θθ₂h)
  となり、θ→1/2(h→0)となることがわかる。

2.一般化

  上の命題で f''(a)=0 の場合を一般化は手以下の命題を証明する。

 [命題] n≧2、f^(n)(x) を連続で、f^(n)(a)≠0 かつ、f^(i)(a)=0(2≦i≦n-1)とする。
   このとき、①において、
     θ→(1/n)^(1/(n-1)) (h→0)
   となる。

 [証明]まず、f(a+h)をn次まで、テイラー展開すると

     f(a+h)=f(a)+hf'(a)+(h²/2!)f⁽²⁾(a)+…+(hⁿ/n!)f⁽ⁿ⁾(a+θ₁h)
        =f(a)+hf'(a)+(hⁿ/n!)f⁽ⁿ⁾(a+θ₁h)
   となる。つぎに、f'(a+θh)を(n-1)次まで、テイラー展開すると

     f’(a+θh)=f’(a)+θhf⁽²⁾(a)+((θh)²/2!)f⁽³⁾(a)+…+((θh)ⁿ⁻¹/(n-1)!)f⁽ⁿ⁾(a+θ₂θh)
          =f’(a)+((θh)ⁿ⁻¹/(n-1)!)f⁽ⁿ⁾(a+θ₂θh)
   となる。

   この両式を①に代入してまとめると
     (hⁿ/n!)f⁽ⁿ⁾(a+θ₁h)= ((θⁿ⁻¹hⁿ)/(n-1)!)f⁽ⁿ⁾(a+θ₂θh)
     θ=(1/n)^(1/(n-1)) (f⁽ⁿ⁾(a+θ₁h)/ f⁽ⁿ⁾(a+θ₂θh))^(1/(n-1))

   これにより、h→0のとき、結論を得る。

3.例

 ・f(x)=xまたは定数のときθは不定。(f⁽²⁾=f⁽³⁾=・・・=0 のため、ここの結論は使用不可)
 ・f(x)=x² のとき、θ=1/2。

 ・f(x)=xⁿ (n≧3)のとき、上に述べたように、x≠0でθ→1/2。x=0でθ=(1/n)^(1/(n-1))
 ・f(x)=sin(x)のとき、f''(x)=-sin(x)だからx≠mπ(m=0,±1,…)でθ→1/2。
     x=mπ(m=0,±1,…)のとき、f⁽³⁾(x)=-cos(x) で f⁽³⁾(mπ)≠0だから、θ→1/√3。

以上


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