特殊相対性理論・電磁気学・数学

物理の暗黒面や面白い問題など。

フレネル積分など三角関数を含む広義積分の収束判定

2020-11-24 00:11:07 | 解析(積分)

下記の三角関数を含む広義積分の収束を判定する問題があった。あるサイトに証明が
載っていたので紹介する。この方法は ∫0 sin(x)/x dx の収束の証明にも使える。


1. I=∫0 sin(x²) dx (フレネル積分) は収束
   An=(-1)ⁿ∫√(nπ)√{(n+1)π} sin(x²) dx (n=0,1,2,・・・) ・・・・・(1.1)
 とおくと、(-1)ⁿ sin(x²)≧0 ( √(nπ)≦x≦√{(n+1)π} ) なので
   An > 0   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1.2)
 である。つまり、An は正項級数である。
 また、
   An≦∫√(nπ)√{(n+1)π} dx=√{(n+1)π} - √(nπ) =π/[ √{(n+1)π} + √(nπ) ] → 0・・・・(1.3)
 だから、An → 0 となる。

 つぎに、(1.1)において x=√y と変換すると、dx=dy/(2√y) であり

   An =(-1)ⁿ∫(n+1)π sin(y)/(2√y)dy = {(-1)ⁿ/2}∫(n+1)π sin(x)/(√x)dx
   An+1 =-{(-1)ⁿ/2}∫(n+1)π(n+2)π sin(x)/(√x)dx
 となる。z=x-π と変換すると
   An+1 =-{(-1)ⁿ/2}∫(n+1)π sin(z+π)/√(z+π)dz = {(-1)ⁿ/2}∫(n+1)π sin(z)/√(z+π)dz
      ={(-1)ⁿ/2}∫(n+1)π sin(x)/√(x+π)dx

   An+1 -An ={(-1)ⁿ/2}∫(n+1)π sin(x){1/√(x+π)-1/√(x)}dx
 このとき、
   {(-1)ⁿ/2}sin(x)≧0 , {1/√(x+π)-1/√(x)}<0
 なので、
   An+1 -An < 0・・・・・(1.4)
 となり、An は単調減少数列となる。

 ところで、
   I=∫0 sin(x²)dx = Σn=0√(nπ)√{(n+1)π} sin(x²)dx = Σn=0 (-1)ⁿAn
 となる。

 つまり、(1.2)(1.3)(1.4)から、An 交代級数のアーベルの定理の条件を満たし、I は収束
 する。



2. I=∫0 xsin²x/(1+x²) dx は発散
   I=∫0π xsin²x/(1+x²) dx + ∫π xsin²x/(1+x²) dx >∫π xsin²x/(1+x²) dx
 となる。

 x≧π → 1+x²<2x² だから
   I > ∫π xsin²x/(1+x²) dx > ∫π xsin²x/(2x²) dx = (1/2)∫π sin²x/(x) dx・・・・(2.1)
 ここで
   An =(1/2)∫(n+1)π sin²x/(x) dx
 とおくと(2.1)は

   I > Σn=1 An ・・・・・・・・(2.2)
 となる。y=x-nπと変換すると
   An =(1/2)∫1π sin²(y+nπ)/(y+nπ) dy = (1/2)∫1π sin²(y)/(y+nπ) dy
 このとき、 y+nπ≦(n+1)π だから

   An ≧(1/2)∫1π sin²(y)/{(n+1)π} dy =[1/{2(n+1)π}]∫1π sin²(y) dy=1/{4(n+1)}
 となる。すると(2.2)から
   I > Σn=1 An ≧ (1/4)Σn=1 1/(n+1) → ∞
 したがって、I は発散する。

3. I=π sin(x)/xa dx (a>0) は収束

 ここで
   An =(-1)ⁿ∫(n+1)π (sinx)/xa dx
 とおく。すると

   I=Σn=1 (-1)ⁿAn
 である。また
   An > 0
 は明らか。また
   An+1 -An = (-1)ⁿ⁺¹∫(n+1)π(n+2)π (sinx)/xa dx - (-1)ⁿ∫(n+1)π (sinx)/xa dx
 右辺第一項を y=x-π と変数変換すると、同様に
   An+1 -An = (-1)ⁿ∫(n+1)π (siny)/(y+π)a dy - (-1)ⁿ∫(n+1)π (sinx)/xa dx
       = ∫(n+1)π (-1)ⁿ(sinx) {1/(x+π)a - 1/xa } dx < 0
 となるから、An は減少数列である。

 したがって、以下のように An  → 0 なので、アーベルの定理から I の収束が言える。

 (1) a=1 のとき
   An =∫(n+1)π (-1)ⁿ(sinx)/x dx
    ≦ ∫(n+1)π 1/x dx = log{(n+1)π} - log{nπ} = log{(n+1)/n} → 0

 (2) a < 1 のとき
   An =∫(n+1)π (-1)ⁿ(sinx)/xa dx
    ≦ ∫(n+1)π 1/xa dx=(1/(1-a)) [ {(n+1)π}(1-a) - {nπ}(1-a) ]
     = (π(1-a)/(1-a)) { (n+1)(1-a) - n(1-a) } → 0・・・・・・(3.1)
  となる。というのは
   x → ∞ のとき、0 < b=1-a < 1 として、ロピタルの定理から
    (x+1)b - xb ={(1+1/x)b - 1}/(x-b)
      → b(1+1/x)b-1(-1/x2)/(-bx-b-1) = (1+1/x)b-1/(x1-b) → 0
  となるからである。

 (3) a > 1 のとき
  (3.1)から a-1 > 0 となり
   An ≦ (π(1-a)/(1-a)) { 1/(n+1)(a-1) - 1/n(a-1) } → 0
  となる。 

 なお、
   J=∫0 sin(x)/xa dx = ∫0π sin(x)/xa dx + ∫π sin(x)/xa dx
 と分解できるが、
   0< a≦1 のとき、sin(x)/xa は 0 < x≦π において有界なので、J は収束。
   (a>1 のときは検討中)   

以上

[2020/11/29] An → 0 の条件を追加し、書き直した。



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