特殊相対性理論・電磁気学・数学

物理の暗黒面や面白い問題など。

数列 a[n+1]=A+C/(B+a[n]) , a₁>0 の収束の証明

2020-09-19 09:48:59 | 解析(極限・数列)

1. まえがき

 前回、数列 an+1=2a+(1/an) , a₁=2a (a≠0)の問題について述べたが、もっと一般的な問
 題があったのを思いだした。それは
    an+1=A+(C/(B+an)) , a₁ > 0 (A, B≧0 ; C > 0, A+B > 0, n≧1) ・・・①
 の収束を証明する問題だった。
 

2. 計算の方針

 これも振動する数列であるが、前回のような手順を使うと計算が面倒になる。そこで、
 載っていた書籍の方法(これも面倒ではあるが)に沿って行う。

3. 計算

 3.1 数列の有界性

  A, B≧0 ;  a₁, C > 0 だから、帰納的に、
     an > 0 ・・・・・・・・・・・・②
  は自明。 すると C/(B+an) > 0 だから、an+1 > A となり、さらにこれを使うと
    an+2=A+(C/(B+an+1)) < A+(C/(B+A))
  となり、まとめると

    A < an+2 < A+(C/(B+A))
  を得る。したがって、極限の判定には n+2 → n と番号を付け替えれば
    A < an < A+(C/(B+A)) (n≧1) ・・・・・③
  としても一般性は失わない。つまり、an は有界である。


 3.2 数列の単調性

  この数列が x に収束すると仮定すると、an→x として x=A+C/(B+x)
  → x=( A-B+√{(A-B)²+4(AB+C)} )/2 を得る。勿論、収束すれば、その値は②から0以上
  なので

    x=( A-B+√{(A-B)²+4(AB+C)} )/2 (>0) ・・・・・・・・④
  となる。なお
    A < x < A+(C/(B+A)) ・・・・・・・・・・・・⑤
  の範囲にあることは簡単に計算できる。

  以上のことから、an+1=an となるのは an=x の時のみだから、
    an≠x ならば、an+1≠an  ・・・・・・・・・・・・⑥
  である。

  つぎに、この数列の性質を調べる。まず、C/(B+an-1)=an-A だから
    an+1-an =C/(B+an)-C/(B+an-1)=C(an-1-an)/{ (B+an)(B+an-1) }
         = -{ (an-A)/(B+an) }(an-an-1) ・・・・・・⑦
  となる。ここで、➂から、{ }内は正である。同様に
    an+2-an =C/(B+an+1)-C/(B+an-1)=C(an-1-an+1)/{ (B+an+1)(B+an-1) }
         = -{ (an-A)/(B+an+1) }(an+1-an-1)
  となる。この式をもう一段使って次数を下げると
    an+2-an ={ (an-1-A)/(B+an) }{ (an-A)/(B+an+1) }(an-an-2) ・・・・⑧
  を得る。同様に { }内は正である。さらに➆を使うと
    an+2-an =(an+2-an+1)+(an+1-an)= -{ (an+1-A)/(B+an+1) }(an+1-an)+(an+1-an)
         ={ 1-(an+1-A)/(B+an+1) }(an+1-an) ・・・・・・・・・⑨

  となる。A+B > 0、B+an > 0 だから、0 < (an+1-A)/(B+an+1) < 1 なので、{ }内も0より
  大きく、1より小さい。

  さて、an=x ならば、xに収束することは自明だから、⑥により a₁≠a₂の場合を調べれ
  ばよい。そこで a₁ < a₂ と仮定すると
により、a₃ > a₁ となる。すると、⑧により、
  an-an-2 > 0 と仮定すると、an+2-an > 0 がなりたち、帰納的に 任意の奇数nについて
  an+2-an > 0 がなりたつ。つまり、単調増加数列となる。

  さらに、a₁ < a₂ と⑦から、a₃-a₂ < 0 となり、⑨から、a₄-a₂ < 0 を得る。⑧により、
  an-an-2 < 0 と仮定すると、an+2-an < 0 がなりたち、帰納的に 任意の偶数nについて
  an+2-an < 0 がなりたつ。つまり、単調減少数列となる。


  初期値が、a₁ > a₂ と仮定しても偶奇列によって、単調性の方向が異なるだけで同じ議
  論ができる。いず
れにしても、この数列は偶数列か奇数列に限ると単調数列であるこ
  とがわかる


 3.3 収束値の唯一性

  単調な有界数列は収束するから、奇数列と偶数列の極限値をそれぞれ、x,y とし①で
  n → ∞(nは奇数または偶数)とすると
    x=A+C/(B+y) , y=A+C/(B+x) ・・・・・・・・⑩
  をえる。これから、
    x-y=C{1/(B+y)-1/(B+x)}=C(x-y)/{(B+y)(B+x)} → (x-y){ 1-C/(B+y)(B+x) }=0 ・・・⑪
  を得る。ここで⑩の前者を使うと
    1-C/(B+y)(B+x)=1-(x-A)/(B+x)=(A+B)/(B+x)
  となるが、A+B>0 だから、⑪を満たすものは x=y のみとなる。ゆえに、この数列はた
  だ1つの値➃に収束する。

4. あとがき

 A,B,a₁ の値についてはもう少し自由度がありそうだが面倒なのでやめる。

以上



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