1. まえがき
数列 (an) が、an>0 および、an → a を満たすとき、
(a1a2・・・an)1/n → a
をε-N法で、証明する問題があった。
2. 準備
M>0 のとき、M1/n → 1 がわかっている。つまり
(∀ε>0, ∃N,n>N → |M1/n-1|<ε) ⇒ M1/n<1+ε・・・・①
an は収束するから
(∀ε>0, ∃N,n>N → |an-a|<ε) ⇒ an<a+ε・・・・・・・②
3. 証明
An=(Π[k=1→n] ak)1/n とおく。
(1) An< a+ε の証明
∀ε>0, ∃N₁, n>N₁、ε'=min{1, ε/(2+a)} 、M=max{a₁, a₂,・・・, aN₁} とすると
ak≦M(k≦N₁)なので①から
( Π[k=1→N₁] ak )1/n ≦ (MN₁)1/n<1+ε'・・・・③
となる。また、②から
∃N₂, n>N₂、ak<a+ε' (k>N₂) 、および、(n-N₂)/n<1 だから
( Π[k=N₂+1→n] ak )1/n ≦ (a+ε')(n-N₂)/n < a+ε'・・・④
となる。
ここで、n>max{N₁,N₂}とすると➂④が成立ち、ε'≦1 なので ε'²≦ε' だから
An < (1+ε')(a+ε')=a+(1+a)ε'+ε'²≦a+(2+a)ε'≦a+ε・・・・⑤
を得る。
(2) An > a-ε の証明
まず、a>0 とすると⑤から、数列 (1/an) は 1/an → 1/a だから
∀ε>0, ∃N₃, n>N₃, ε'=ε/a² に対して
( Π[k=1→n] 1/ak )1/n < 1/a+ε'
この式の逆数を取って
An > 1/(1/a+ε')=a/(1+aε')=a/(1+ε/a)>a(1-ε/a)=a-ε・・・・⑥
(3) 証明の完成
以上のことから N=max{N₁,N₂,N₃}として
∀ε>0, ∃N, n>N,
a=0 → -ε<0<An <a+ε=ε
a>0 → a-ε<An <a+ε
となる。ゆえに、An は aに収束する。
以上