特殊相対性理論・電磁気学・数学

物理の暗黒面や面白い問題など。

a[n]>0 を満たす数列が a[n] → a のとき、(a₁a₂・・・a[n])¹/ⁿ → a をε-N法での証明

2020-05-24 16:18:56 | 解析(極限・数列)

1. まえがき

 数列 (an) が、an>0 および、an → a を満たすとき、
    (a1a2・・・an)1/n → a
 をε-N法で、証明する問題があった。


2. 準備

 M>0 のとき、M1/n → 1 がわかっている。つまり
   (∀ε>0, ∃N,n>N → |M1/n-1|<ε) ⇒ M1/n<1+ε・・・・①

 an は収束するから
   (∀ε>0, ∃N,n>N → |an-a|<ε) ⇒ an<a+ε・・・・・・・②

3. 証明

 An=(Π[k=1→n] ak)1/n とおく。

 (1) An< a+ε の証明
  ∀ε>0, ∃N₁, n>N₁、ε'=min{1, ε/(2+a)} 、M=max{a₁, a₂,・・・, aN₁} とすると
  ak≦M(k≦N₁)なので①から
    ( Π[k=1→N₁] ak )1/n ≦ (MN₁)1/n<1+ε'・・・・③
  となる。また、②から
  ∃N₂, n>N₂、ak<a+ε' (k>N₂) 、および、(n-N₂)/n<1 だから
    ( Π[k=N₂+1→n] ak )1/n ≦ (a+ε')(n-N₂)/n < a+ε'・・・④
  となる。

  ここで、n>max{N₁,N₂}とすると➂④が成立ち、ε'≦1 なので ε'²≦ε' だから
    An < (1+ε')(a+ε')=a+(1+a)ε'+ε'²≦a+(2+a)ε'≦a+ε・・・・⑤
  を得る。

 (2) An > a-ε の証明
  まず、a>0 とすると⑤から、数列 (1/an) は 1/an → 1/a だから
  ∀ε>0, ∃N₃, n>N₃, ε'=ε/a² に対して
    ( Π[k=1→n] 1/ak )1/n < 1/a+ε'
  この式の逆数を取って
    An > 1/(1/a+ε')=a/(1+aε')=a/(1+ε/a)>a(1-ε/a)=a-ε・・・・⑥

 (3) 証明の完成
  以上のことから N=max{N₁,N₂,N₃}として
  ∀ε>0, ∃N, n>N,
    a=0 → -ε<0<An <a+ε=ε
    a>0 → a-ε<An <a+ε
  となる。ゆえに、An は aに収束する。

以上



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