特殊相対性理論・電磁気学・数学

物理の暗黒面や面白い問題など。

級数Σa[n]/(1±a[n])とΣa[n]の収束の同等性

2019-03-05 23:45:14 | 解析(極限・級数)

あるサイトに、「a[n]>0のとき、級数 Σa[n]/(1+a[n]) が収束すれば、Σa[n] は収束する」ことが
載っていた。この証明が面白いのと、明らかに


●級数 Σa[n]/(1+a[n]) が収束すれば、Σa[n] は収束する。

級数 Σa[n]/(1+a[n]) が収束すれば、よく知られたように a[n]/(1+a[n])→0である。
つまり、任意のε>0に対し、ある自然数Nが存在して、n≧Nならば

    a[n]/(1+a[n])<ε ここで、ε=1/2 と置くと a[n]<1
となるから

    a[n] < 2a[n]/(1+a[n])
すなわち、

    Σ[n=N,∞] a[n] < 2Σ[n=N,∞] a[n]/(1+a[n]) < 2Σ[n=1,∞] a[n]/(1+a[n])
となり、右辺が収束するから左辺は収束する。

つまり、Σ[n=1,N-1] a[n] も有限だから、Σ[n=1,∞] a[n] は収束する。

なお、
    a[n]/(1+a[n])<a[n]
だから、これらの級数の収束性は同等であることがわかる。


● a[n]>0,a[n]≠0のとき、Σa[n]/(1-a[n]) が収束とΣa[n]の収束は同値。

Σa[n]が収束すれば、a[n]→0だから、ある正の整数Nが存在して、n>Nならば a[n]<1/2。
つまり、a[n]/(1-a[n])<2a[n]となるから、Σa[n]/(1-a[n])は収束する。

逆に、Σa[n]/(1-a[n])は収束すれば、a[n]/(1-a[n])={1/(1-a[n])} -1 → 0。つまり、
a[n]→0となる。すると、同様にn>Nに対して、0<a[n]<1とできる。つまり、

0<1-a[n]<1となり、a[n]a[n]/(1-a[n]) となるから、Σa[n]は収束する。

以上


ベクトルAとdA/dtが平行の時、Aの方向は時間によらず一定となる

2019-03-05 23:35:09 | 解析
あるサイトで、ベクトルAとdA/dtが平行の時、Aの方向は時間tによらず一定となる。
ことが載っていた。自明のことのように思ったが、証明には工夫がいった。

ベクトルAの大きさをA、その単位ベクトルを e 、微分を「'」とする。
  A=Ae

  A'=A'e+Ae'
AA' は平行だから
 0=A×A'=AA' e×e + A² e×e'=A² e×e'

つまり、A²≠0のとき
 e×e'=0

また、e は単位ベクトルだから、ee=1 を微分して
 e'・e=0

つぎに
 0=e×(e×e')=(ee')e-(ee)e'=-e'

つまり、
 e=定ベクトル

となる。

平均値の定理におけるθの極限値

2019-03-05 17:38:25 | 解析

1.まえがき

  あるサイトに平均値定理
    f(a+h)=f(a)+hf'(a+θh) (0<θ<1)    ・・・・・・・・・・・①

  において、h→0としたとき。f''が連続で、f''(a)≠0ならば、θ→1/2 であることが示されていた。
  その概略は f(a+h)とf’(a+θh)に平均値の定理を使って展開すると(0<θ,θ₂<1として)

    f(a+h)=f(a)+hf'(a+θh)= f(a)+h(f'(a)+ θ h f''(a+θθ₂ h)) ・・・②
  f(a+h)をテイラー展開して

    f(a+h)=f(a)+hf'(a)+(h²/2)f''(a+θ₀ h) (0<θ₀<1) ・・・・・・③
  となる。➁③から h≠0 として

    θ=(1/2) f''(a+θ₀h)/ f''(a+θθ₂h)
  となり、θ→1/2(h→0)となることがわかる。

2.一般化

  上の命題で f''(a)=0 の場合を一般化は手以下の命題を証明する。

 [命題] n≧2、f^(n)(x) を連続で、f^(n)(a)≠0 かつ、f^(i)(a)=0(2≦i≦n-1)とする。
   このとき、①において、
     θ→(1/n)^(1/(n-1)) (h→0)
   となる。

 [証明]まず、f(a+h)をn次まで、テイラー展開すると

     f(a+h)=f(a)+hf'(a)+(h²/2!)f⁽²⁾(a)+…+(hⁿ/n!)f⁽ⁿ⁾(a+θ₁h)
        =f(a)+hf'(a)+(hⁿ/n!)f⁽ⁿ⁾(a+θ₁h)
   となる。つぎに、f'(a+θh)を(n-1)次まで、テイラー展開すると

     f’(a+θh)=f’(a)+θhf⁽²⁾(a)+((θh)²/2!)f⁽³⁾(a)+…+((θh)ⁿ⁻¹/(n-1)!)f⁽ⁿ⁾(a+θ₂θh)
          =f’(a)+((θh)ⁿ⁻¹/(n-1)!)f⁽ⁿ⁾(a+θ₂θh)
   となる。

   この両式を①に代入してまとめると
     (hⁿ/n!)f⁽ⁿ⁾(a+θ₁h)= ((θⁿ⁻¹hⁿ)/(n-1)!)f⁽ⁿ⁾(a+θ₂θh)
     θ=(1/n)^(1/(n-1)) (f⁽ⁿ⁾(a+θ₁h)/ f⁽ⁿ⁾(a+θ₂θh))^(1/(n-1))

   これにより、h→0のとき、結論を得る。

3.例

 ・f(x)=xまたは定数のときθは不定。(f⁽²⁾=f⁽³⁾=・・・=0 のため、ここの結論は使用不可)
 ・f(x)=x² のとき、θ=1/2。

 ・f(x)=xⁿ (n≧3)のとき、上に述べたように、x≠0でθ→1/2。x=0でθ=(1/n)^(1/(n-1))
 ・f(x)=sin(x)のとき、f''(x)=-sin(x)だからx≠mπ(m=0,±1,…)でθ→1/2。
     x=mπ(m=0,±1,…)のとき、f⁽³⁾(x)=-cos(x) で f⁽³⁾(mπ)≠0だから、θ→1/√3。

以上


立体角の定義が意味を持つことについて

2019-03-05 12:46:33 | 解析(ベクトル解析)

立体角については基本的な事項が証明されておらず、説明だけで終わっていたような気がする。
このためか、電磁気学で説明があってもなじめず、必須というわけでもないのでそのままになっ
ていた。

最近、形態係数の計算をしていたら、立体角について疑問が出てきた。それは「立体角の値は錐
体の中の任意の表面で、同一でなければ意味がない」である。

幾つかのサイトでも説明程度で、比較的数式を使っているのは物理のかぎしっぽである。
この点を説明する。立体角wの定義は
  w=∫(rn/r³)dS ・・・・・・・(1)

である。rは始点Oからの位置ベクトル、rはその大きさ、nは積分面の単位法ベクトルである。


まず、立体角として意味を持つには図のように、頂点をOとする錐体に含まれる任意の面1,2
について積分(1)が同じことが必要である。このため、錐体の側面を3として、面1,2,3の
閉曲面で(1)の積分を考える。

この積分は始点Oが閉曲面の外部にあるから、ガウスの定理により、0となる(ベクトル解析の
本に載っている)。

面3の錐体の面はrそのものだからr・n₃=0となって面3の積分は0となる。また、面2は単一面
としたときと閉曲面としたときの単位法ベクトルは n=-n₂となるから
  0=∫₁₊₂₊₃(rn/r³)dS = ∫₁(rn/r³)dS+∫₂(rn/r³)dS+0
   =∫₁(rn₁/r³)dS-∫₂(rn₂/r³)dS

ゆえに
  ∫₁(rn₁/r³)dS=∫₂(rn₂/r³)dS
となって目的の結果が得られる。

以上