Box of Days

~日々の雑念をつらつらと綴るもの也~ by MIYAI

素晴らしきアメリカ音楽の世界

2003年12月11日 | old diary
 僕は最近の音楽にはとんと疎い。興味がないとまでは言わないが、新しい時代の音をキャッチするために、常にアンテナを張っておこうとは思わなくなった。

 理由は新しいアーチストの新曲よりも、自分の好きな古い音楽を聴いている方が楽しいから。ずっと音楽を聴いてきて、自分の好みはだいたい掴めてきた。「これは良さそうだな」とか、「その辺は今ひとつなんだよねー」とか、正確にはわからずとも、なんとなく察しくらいはつくようになった。

 僕が特に好きなのは70年代半ばまでのアメリカ音楽。その懷は深く、僕は入口にようやく辿り着いたところだろうか。まだまだ聴いてみたい作品はあるし、これから知るであろうアーチストもたくさんいるはずだ。そうなると、どうしても若手アーチストのCDまで買ってるわけにはいかなくなる。

 未知の世界へ果敢に足を踏み入れるというよりは、自分にとって意味のあるものを深めていく。いつの間にか僕にとって音楽を聴くとは、そういう意味合いをもつものになっていた。ちょっと世間におけるロックのイメージとは違うかもしれないけれど、これもまた僕がロックから教えられたことなのだ。

 ロックが時代の空気と強く結びついているのは、程度の差こそあれ、今も昔も変わらないと思うし、同時代にのめり込めるアーチストがいる人は幸運だと思う。しかしそういうのとは別に、2人のビートルやスプリングスティーンが、ディランやストーンズやピート・タウンゼンドたちが、これまでどのようにして年齢を重ねてきたのか。これからどう生きていこうとしているのかを感じとることの方が、僕には重要だったりする。彼らには強いシンパシーを感じるし、感動も深く、学ぶことも多い。

 ちょっと話がずれてきた気がしないでもないが、おそらく僕は、同時代性や瞬間的な衝撃よりも、長い時間をかけて育まれてきたものに心惹かれるのだと思う。脈々と受け継がれるアメリカン・ミュージックの豊潤さに触れることは、変わることのないものの存在を僕に教え、これからの自分がなにを大切にしていくべきなのかを指し示してくれるようにも思えるのだ。

 というわけで、最近はそんな音楽ばかり聴いているもので、ここ5年くらいのシーンの動向はまったくわからない。それでも、精度の悪いアンテナを立ててた頃より、ずっと多くの素晴らしい音楽に出会えたような気がする。だから、僕としてはこれでいいのである。