お笑い芸人の「とにかく明るい安村」が、イギリスの番組 Britain's Got Talent で大ウケしたニュースが話題になっています。
決め台詞「安心してください。はいてますよ。」は「Don't worry. I'm wearing!」と英訳して使っていました。
I'm wearing!という表現だけ見ても、多くのことを学ぶことができます。
まず、「~を履く、着る、身につける」は put on ~、「~を身につけている」は wear ~ だと、多くの英語学習者が知っています。そして、wear は状態動詞なので進行形にできないと習う人も多いと思いますが、一時的な状態を表すときには be wearing を使うこともあります。TEX加藤先生の『金フレ』にもTOEICパート1の頻出表現の例文として「A man is wearing headphones.」と出ていますね(^^)/
次に安村さんは日本語の「はいてますよ」をそのまま英訳して wear を自動詞で使っていますが、自動詞 wear は「使用に耐える」「すり減る」の意味となり、「I'm wearing」をそのまま訳したら、「私は使用に耐えています」「私はすり減っています」で、何を言っているのか分からなくなります。しかし、安村さんが「I'm wearing」と言った直後に審査員の女性がたまたま「Pants!」と呼応して目的語を叫ぶことによって他動詞化して「~をはいている」という意味になり、ネタにもリズムが出て更にウケています。
「現地のお笑い番組を見て笑うことができたら、本当にその国の言葉と文化を理解したことになる」と、留学時によく言われました。確かに、アメリカでお笑い番組を見ても何が面白いのか全く分からず笑えないことが多々ありました。それは、言葉もさることながら、そのお笑いの背景知識を知らないと理解できないからです。そんな難しいお笑いの世界で笑いを取って見せた安村さんには感服です。