英語道(トラスト英語学院のブログ)

長野県伊那市の英語塾「トラスト英語学院」の塾長ブログです(^^)/
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高校で行われている英語授業

2005年06月02日 | 指導現場にて
あたかも意図的に“英語難民”を産み出そうとしているかのような、高校の授業および指導には愕然とします。

1.ノートに、リーダーの教科書の全文を書かせ、全訳させる。
2.授業中、生徒に訳させた時、「きれいな和訳でない」と一喝し、きちんとした日本語訳をするように指導している。

以上2点は、意味のない無駄な時間を費やすだけの単なる「作業」であり英語力向上とは何ら関係ない、ということを、以下の理由から断言しておきます。

1について。
全文をノートに書いている時、生徒はただ機械的に写しているだけ。そこに建設的なものは何も見出せない。しかも、全訳してどうすんの!中学レベルの知識で訳せるところもたくさんあるでしょうが。新出単語の意味や、訳しにく箇所だけを教科書に書き込めばいい。きれいなノートを作っている暇があれば、一つでも単語を書きまくって覚えろ、という指導がなぜできないのか。

2について。
一体いつから、高校の英語授業は、翻訳家養成講座と化したのか?英語力を向上させる上で最も大切なことは、きちんとした文法知識に基づいて、どんなに複雑な英文でも瞬時に英文構造を見抜くことができる力を養うことである。和訳に夢中になっていては構文を見抜けない。これでは、直読直解の速読力もつかず、大学入試やコミュニケーションの場で通用する英語力などつくはずもない。そんな指導だから、定期テストですら平均点が低くなってしまう。

先日、ある生徒からこんな話を聞きました。
「教科書のある単語の訳し方について職員室に聞きに行ったら、答えてくれた先生の隣の先生が、『その訳は違う、こっちの訳の方がいい』と反論して、先生同士で口論になったよ」と。

英語から日本語に訳すことは、極論的に言えば、不可能。英語は英語、日本語は日本語なのだから。「英語は英語のまま理解し、英文構造に注目しろ。英文構造を見抜くには、揺ぎ無い文法力をつけることだ」と何故言えないのか。

全ての高校英語教師が、上に述べたものに当てはまるとは決して言いません。ご自分で日々英語力アップや指導法の研究に取り組まれておられる方もいるからです。しかし、上に述べたような授業や指導をしている英語教師は、確実に生徒の可能性を潰しています。

私が塾で指導してきた経験上、高校授業で植え付けられた訳読中心の英語学習から抜け出せない生徒は、全く英語力が伸びません。

こういう英語学習をしてしまった生徒が、大人になって英語をやり直そうとした時、平気で「私は文法的なことはいいから、会話ができるようなりたい」と口走ってしまうのです。

日本語で頭がガチガチに固まってしまった大人が英語を話そうとする時、文法力なくしてどうやって話すことができるのでしょうか?そんなに簡単に英語が話せたら、誰も苦労しません。

英語指導には目的別にきちんとしたやり方があります。ただ、知識を教えていればいいというものでもありません。
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5 コメント

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Unknown (Tatsukiさん)
2005-06-07 22:19:40
たしかにきちんとした文法を学ぶことは大切なことですね。
教科書全文を写させたり訳させたりなど、
本当に意味のないこと。
それこそ単語のひとつでも多く覚えた方が良い。
おっしゃるとおりだと思います。

しかし、あなたにひとつ言いたいことがあります。
それは次の文に関してのことです。

>>大人になって英語をやり直そうとした時~できるのか?

文法を学ぶことはたしかに大切です。
しかし、なぜそこまで文法にこだわるんでしょうか?
今日の日本の英語教育は、文法一筋(最近ではOCなどという授業も取り込まれているようですが)と、あなた好みです。
しかし、それで英語が喋られるようになるんでしょうか?
まず、不可能です。文法、文法、文法の世界で
勉強した中・高生は6年もの間勉強しているのにもかかわらず、
いざ外国人を目の前にすると喋ることが出来ません。
英語は何のために勉強するんでしょうか?
もちろん話せるようになるためでしかありません。
英語は問題が解けるから楽しいんではなく、
単語、単語でも意思が伝わったその時の喜びが楽しいんです。
あなたが学習方法を研究中というのであれば、
なぜ喋られることの出来ない勉強方を
生徒に教えるんでしょうか?
私はそのことが疑問に思えてなりません。

実際にあなたの授業を拝見したことがない身で、
こういった批判をするのは失礼なことと思います。
しかし、なぜ自分が英語が好きなのかもう1度考え直してください。
あなたが英語が好きになった理由は、
問題が解けた、ということではなく、
意思が通じた喜びということなんではないでしょうか?
それは私自身のことではないのでわかりません。
あなたほどの英語力をお持ちの方なら、
きっと、今の日本の学生たちに、
英語を話せるための授業というのを開けるんではないでしょうか?

では、これで失礼します。
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Unknown (管理人さん)
2005-06-08 02:06:26
Tatsukiさんへ【1】
貴重なご意見ありがとうございます。
私が文法にこだわる理由は、自分自身、英語を話すことが苦手であったからです。ではどのように克服したか?それは文法知識に基づいて、英文を頭の中で組み立て、発話をするようにしているからです。Tatsukiさんがどの程度英語を話されるかはわかりませんが、日本語をしゃべる時と同様に、特に意識せず、思った事がそのまま口から出てきますか。何のフラストレーションも感じませんか?出てくるのであれば、小さいころから、例えば相当年数ネイティヴが身の回りにいた帰国子女とか・・・。
しかし、大人が英語をやり直して話せるようになる場合、思った事が口から出てくるなど不可能です。これは、私自身が現地で悔しい思いを経験してたどり着いた結論です。しかし、例え思った事が即座に口をついて出てこなくても、ちゃんとした文法事項に基づいた発話を心がければ、ネイティヴは教養ある日本人として対等に話をしてくれます。

あなたがおっしゃる通り、中・高生は6年もの間勉強しているのにもかかわらず、いざ外国人を目の前にすると喋ることが出来ません。なぜか?いくらコミュニケーション中心の英語授業が中・高で取り入られるようなったからといっても、究極的にその先にあるのは大学入試という現実です。外人と話をする、自分の意思を伝えるために英語がある、という授業は高校では二の次なのです。

あともう一点、あなたは英語を勉強する目的を「話せるようになるため」と断定しています。なぜそう言い切れますか? Reading, Listening, Writing も Speaking におとらず立派なコミュニケーションツールです。今の時代、メールを利用する機会が多いのですから、Writingスキルは特に不可欠です。
「単語、単語でも意思が伝わったその時の喜びが楽しいんです。」ともいわれていますが、その程度でコミュニケーションなのでしょうか。ただの挨拶程度で、英語で用事が足せますか?よく日常会話程度の英語力があればいいといいますが、実は日常会話が一番難しいんですよ。ネイティヴ同士が仕事の合間に、世間話をしている所に、その程度の英語力で入っていけますか。まず無理。でも内容のある話をきちんとした文章構成で話せれば、彼らは一目おいて話をしてくれます。このような場面を私は幾度となく経験しているので、文法が大事だと強調しています。
【2】へ続く。

返信する
Unknown (管理人さん)
2005-06-08 12:53:35
Tatsukiさんへ【2】
「なぜ自分が英語が好きなのかもう1度考え直してください。あなたが英語が好きになった理由は、問題が解けた、ということではなく、意思が通じた喜びということなんではないでしょうか?」と言われている点についてですが、私が英語を好きになった第1の理由は、TOEICや英検の問題を解くとことによって英語力を高められたからです。それは当ブログのプロフィールにも述べてあります。あなたが、TOEICや英検を私と同じくらい経験された上で、そのようにおっしゃられるなら、説得力があります。しかし、万が一そうでなければ、それは机上の空論に過ぎません。私は、日本人の多くがそう思うであろう文法批判を逆手にとって英語力を培ったのですから。
最後に一言。Tatsukiさん、私が察するに、文法お嫌いではないのですか。
ご反論お待ちしております。
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Unknown (121さん)
2005-09-07 11:32:33
(その1)Tatsukiさんは日本の英語教育、特に「文法教育」に批判的なようですが一概にそう言えないと思ったので投稿させてもらいました。あなたが言うように確かに日本人は英語を長く習っているのになかなかしゃべることができません。しかしその原因が「日本の文法教育」にあるという批判は短絡的だと思います。日本特有の事情を考えていくとその意味が理解できると思います。その第1は、日本語がもつ文章のorderです。外国語、例えばドイツ語、フランス語、そして中国語なども英語と文のorderがほとんど同じですが、日本語は主語のあとに目的語や修飾語がきて最後に動詞がきます。これは日本人が英語を修得する上で大きな障害になっていると思います。思考の順序が全く違うのですから。このことを知り合いのドイツ人に話した時、「こんな言葉があるのか!信じられない!」と話していました。(笑)第2にいくつもの外国語には英語に似た発音や文字がかなりあるのに対して、外来語は別にして日本語にはそれらがないという事が考えられます。第3は日本の単一民族国家に原因があると思います。日本が国際化されてきているとはいえ、私たちは外国人と接する機会がほとんどありません。語学の上達の一要素の「慣れる」ということから考えると、これも大きく影響していると思われます。外国人というだけで妙に意識して自ら接することを拒んでしまう国民性も邪魔をしていると思います。第4に日本の英語教師の工夫のなさにあります。部活で追われて学習時間がただでさえ少ないのに、間違った英語の予習や学習法で無意味な時間を学生たちに過ごさせているのですから英語力がつかないことは当たり前のことです。以上が日本人に英語力がつかない理由だと思います。では「文法教育」はどうかというと、これは意思伝達、自己表現の正確さにおいて必要不可欠と考えます。「私、昨日までずっとカゼをひいていたんだよ」という文を「わたし、きのう、カゼをひくんだよ」と話していることを想像してください。これが文法がない単語の羅列文なのです。いい年の大人が幼児レベルの会話をしているのです。(その2に続く)
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Unknown (121さん)
2005-09-07 11:36:03
Tatsukiさんへ
(その2)私がイギリスに留学していたときにnativeの先生とパブで酒を飲みながら英語談義になり、「日本人は文法ばかり勉強しているからしゃべることができないと日本では言われているがどう思う?」と聞いたら、その先生は驚いた顔で「それは間違いだよ。相手にわかる言葉、きれいな言葉、教養ある言葉をしゃべるには文法は絶対に大事だよ」と話してくれたのです。文法教育は日常会話ばかりでなく国際社会で通用する日本人であるためにも必要不可欠であるというのが私の結論です。文法教育を単純に批判するのではなく、肯定した上でさらに必要なことは何なのかを考えることが求められていると思います。
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