先日のグループ授業。授業開始時刻になってもまだ1名が来てなかったので、他の生徒と「今日はお休みかな?」と話していたところ、「すいませ~ん。少し遅れてしまいました。お願いしま~す!」と教室に入ってきました。
「おっ、噂をすればご本人の登場。そうそう、こういうのを英語では Speak of the devil!って言うんだよ」と、ホワイトボードに書いて、その表現を解説しました。
しかし、誰も一向にノートに書き留めようとしません。日本の受験参考書にはまず載っていない、私が留学中に現地で覚えた生の英語表現。せっかく、覚えるチャンスなのに・・・。少し語気を強めて説諭しました。
ノートに取らずに覚えて忘れないなら、とる必要はありません。しかしながら、教育現場に携わって20年。そのような天才肌の生徒には一人も会ったことがありません。だから、ノートに取ることは大切ですし、多くの生徒がそうします。しかしながら、授業で板書したり言及したものをノートに取っても、それを暗記しようとする生徒の数はグッと少なくなります。本当にもったいないですね。
こんな場面に出くわすと、必ず2人の生徒を思い出します。
一人は一昨年、東京大学に現役合格を果たした生徒。彼女は、授業の教材で出てきたものはもちろんのこと、私が雑談で紹介した単語やイディオムを、ホワイトボードに書いたものからただ口頭で述べたものまですべてノートに取り、翌週までに必ず暗記していました。昨日のブログ記事でも紹介しましたが、そういう雑談の中で教えた語彙こそ、英検や大学受験によく出てくるんです。だから彼女は早々に英検準1級に合格し、東大二次試験の英語でも8割の得点率でした。
もう一人は、進学校ではないものの英語が好きで、昨年、ある外国語大学に合格を果たした生徒。彼は授業の最初に私が近況を聞いたりする雑談の合間に、前の授業で消し忘れてホワイトボードに書き残してあった内容をいつもノートに書き留めて覚えていました。彼は高3の冬に準1級を受験予定でしたが、学校でコロナが流行り、濃厚接触者となって受験できずに悔しい想いをして、高校を卒業していきました。もし準1級に受かっていたら、彼の高校では数十年ぶりの快挙だったそうです。今は大学2年生で、準1級にも合格していることでしょう。
塾や予備校の先生は、ただ知識を教えるのではなく、自分の経験を売っているという自覚があります。その経験に基づいた貴重な知識を貪欲に吸収すれば、実践的な知識となって学習者の可能性はグッと広がりますよ(^^)/