江戸観光案内

古地図を片手に江戸の痕跡を見つけてみませんか?

春慶寺

2012-09-22 | まち歩き

鬼平犯科帳シリーズ(池波正太郎著、文藝春秋)の主人公・長谷川平蔵の剣友・岸井左馬之助は、初登場でいきなり平蔵に切り掛かったり(第一巻「本所・桜屋敷」)、火付盗賊改方でもないのに平蔵の仕事を手伝ったりと、鬼平シリーズには欠かせない愛すべき登場人物ですが、その岸井左馬之助が寄宿先として十七歳から、そして一旦は江戸を離れるものの、三十九歳で江戸に戻り、妻帯するまで住んでいたのが春慶寺です。


創建は元和元年(1615年)で、約400年の歴史を持つお寺です。創建当時は浅草森田町の地に在りましたが、寛文七年(1667年)に本所押上村に移転しました。鬼平犯科帳シリーズの中では、「押上村の春慶寺」として度々登場しますが、今ならば、真上に東京スカイツリーを見上げる地に建つと言った方が分りやすいかもしれません。「東海道四谷怪談」の作者・鶴屋南北のお墓があるお寺としても知られています。


鬼平犯科帳第八巻「明神の次郎吉」は春慶寺が舞台となる作品です。この作品では、旅の途中で老僧から偶然預かった遺品を携えて盗人である明神の次郎吉が春慶寺に寄宿する岸井左馬之助を訪ねます。左馬之助は次郎吉を盗人とは知らぬまま恩人としてもてなし、春慶寺の寺男から借りた荷車に次郎吉を乗せて本所二ツ目の軍鶏鍋屋「五鉄」に連れて行きます。春慶寺から五鉄までは、ざっと3kmの距離がありますから、荷車を引くのは楽ではなかったはずです。左馬之助の律儀な面が表れている作品です。


春慶寺の正面には、テレビドラマの鬼平犯科帳で岸井左馬之助を演じた江守徹さんの名前で、「岸井左馬之助寄宿之寺」の碑が建てられています。


[1]参考:春慶寺パンフレット


春慶寺 東京都墨田区業平2-14-9

東京メトロ半蔵門線・都営浅草線 押上駅より約200m 徒歩約3分

東武伊勢崎線 とうきょうスカイツリー駅より約500m 徒歩約7分


Dsc_3355


Dsc_3331 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿