第六天神、現在の第六天榊神社は東京都台東区蔵前に在る神社です。かつては鳥越の地に在り、鳥越神社、熱田神社(現台東区今戸)と共に鳥越三所明神と呼ばれていました。天保二年(1645年)に鳥越の地が公用のため召し上げとなり、第六天神は森田町(現台東区蔵前)に移転。元禄時代の地図[1]にはモリタ丁のわきに「大六天」と記されています。この移転は、鳥越にかつて在った丘を取り崩して浜町の矢ノ蔵を造成するためで、矢ノ蔵を囲んでいたお堀の一部が後の薬研堀です。第六天神はその後、享保四年(1719年)に火災の後、茅町(現台東区柳橋)に移転。昭和三年に現在の地に遷座するまでは、篠塚稲荷の西隣に在りました。江戸後期の地図[2]には、「第六天」と記されています。
第六天神は、藤沢周平著「牢破り」(春秋の檻 獄医立花登手控え(一)に収録、講談社)の冒頭、“立花登は、芳次郎を第六天神わきのそば屋に連れ込んだ。”との一節で登場するほか、「待ち伏せ」(人間の檻 獄医立花登手控え(四)に収録)でも登場しています。
[1] 元禄江戸図、元禄六年(1693年)/古地図史料出版(株)復刻地図
[2] 東都浅草絵図、安政四年(1857年)
第六天榊神社 東京都台東区蔵前1-4-3
都営浅草線・大江戸線 蔵前駅から約500m 徒歩約7分
JR・都営浅草線 浅草橋駅から約500m 徒歩約7分