江戸観光案内

古地図を片手に江戸の痕跡を見つけてみませんか?

萬年橋

2010-12-27 | まち歩き

萬年橋(万年橋という表記もある)は、行徳(現在の千葉県市川市の南部)の塩等を江戸に運ぶために開削された小名木川と大川(現在の隅田川)とが合流するところに架けられた橋で、葛飾北斎の富嶽三十六景や歌川広重の名所江戸百景といった浮世絵にも画かれた橋です。北岸にはかつて松尾芭蕉が居を構え、その住居跡には現在、芭蕉稲荷神社が祀られています。

藤沢周平著「約束」(橋ものがたりに収録、新潮社)の中で、慕い合う男女が再会の地として選んだ場所がこの橋です。又、池波正太郎著「深川十万坪」(剣客商売(三)に収録、新潮社)の中で、金時婆さんが狼藉を働いた侍を懲らしめた場所でもあります。

新しいところでは、映画「容疑者Xの献身」(東野圭吾原作、東宝配給)の中で、堤真一さん演ずる石神哲哉と松雪泰子さん演ずる花岡靖子が住んでいたアパートがこの橋のたもとに在りました。


萬年橋(万年橋)が登場するその他の作品

  • 坂岡真著「のど傷の女」(のうらく侍に収録、祥伝社)
  • 宮部みゆき著「凍る月」(初ものがたりに収録、新潮社)

萬年橋 東京都江東区清澄1-8-3付近

都営大江戸線・東京メトロ半蔵門線清澄白河駅から約500m 徒歩約7分

都営新宿線森下駅から約620m 徒歩約8分


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浜町堀

2010-12-23 | まち歩き

明治座の南西約150mのところに浜町緑道という公園があります。これが浜町堀(浜町川ともいう)と呼ばれた水路の名残です。下流側は箱崎川を経て大川(現在の隅田川)に注ぎ、上流側は現在の小伝馬町付近で南西方向に直角に折れ曲がり、竜閑川と名を変えて江戸城の外堀でもある日本橋川につながっていました。かつての浜町掘沿いの道筋から、現在でもここに川があった土地の記憶を感じることが出来ます。

池波正太郎著「赤い富士」(剣客商売(三)に収録、新潮社)の中で、おはるの操る小船に乗った秋山小兵衛が浜町掘を行く場面がありますが、小兵衛が船を下りたやや先の高砂橋は、現在の中央区立久松小学校・久松幼稚園の西隣の児童公園付近に在ったと考えられます。


浜町堀が登場するその他の作品

  • 藤沢周平著「吉良邸の前日」(用心棒日月抄に収録、新潮社)
  • 藤沢周平著「凶刃 用心棒日月抄」(新潮社)
  • 風野真知雄著「耳袋秘帖 人形町夕暮殺人事件(だいわ文庫)

浜町緑道

都営新宿線浜町駅から約240m 徒歩約3分

都営浅草線人形町駅から約300m 徒歩約4分


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かつての浜町掘の名残である浜町緑道


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高砂橋があったと考えられる付近


回向院

2010-12-18 | まち歩き

1657年の明暦大火の犠牲者を葬るため、四代将軍家綱の時代に建立されたお寺で、両国橋を東に渡り、200m程歩いたところにあります。

用心棒日月抄(藤沢周平著、新朝社)の主人公、青江又八郎が「犬を飼う女」の中で依頼人から預かった犬を散歩したのがこのお寺。鼠小僧次郎吉のお墓があることでも知られています。


回向院が登場するその他の作品

  • 藤沢周平著「返り花」(春秋の檻 獄医立花登手控え(一)に収録、講談社)
  • 藤沢周平著「溟い海」(暗殺の年輪に収録、文藝春秋)
  • 池波正太郎著「堀部安兵衛(下)」、新潮社
  • 宮部みゆき著「お勢殺し」(初ものがたりに収録、新潮社)

回向院 東京都墨田区両国2-8-10

JR両国駅から約250m 徒歩約4分


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薬研堀

2010-12-12 | まち歩き

両国橋の少し下流側の西岸に、薬研堀(やげんぼり)という、お堀がありました。現在の中央区立日本橋中学校付近だと思われます。古地図では、そのお堀の少し北側に「不ドウ」とあり、これが今に続く薬研堀不動院です。

池波正太郎著「おんなごろし」(殺しの四人 仕掛人・藤枝梅安(一)に収録、講談社)で舞台となった料理屋「万七」が在ったとされるのが、この薬研堀です。


薬研堀が登場するその他の作品

  • 藤沢周平著「溟い海」(暗殺の年輪に収録、文藝春秋)
  • 藤沢周平著「秋風の女」(愛憎の檻 獄医立花登手控え(三)に収録、講談社)
  • 藤沢周平著「凶刃 用心棒日月抄」(新潮社)
  • 藤沢周平著「霧の果て 神谷玄次郎捕物控」(「針の光」の章、文藝春秋)

薬研堀不動院 東京都中央区東日本橋2-6-8

都営浅草線 東日本橋駅から約150m 徒歩約3分


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薬研堀があったと思われる付近


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薬研堀不動院


両国橋

2010-12-05 | まち歩き

大川(現在の隅田川)に架かる橋で、藤沢周平著「思い違い」(橋ものがたり収録、新潮社)他、多くの時代小説に登場します。東に渡ると本所、そのまま大川沿いに南へ下ると深川。反対に西に渡ると日本橋や神田となり、途中の浅草御門を北に進むと浅草に至ります。江戸時代の両国橋は現在の両国橋より下流側に架かっていました。

JR両国駅から約460m 徒歩約6分

都営浅草線東日本橋駅から約460m 徒歩約6分

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