六間堀は竪川と小名木川とを南北につなぐ運河で、隅田川のやや東側を流れていました。五間堀は六間堀から分かれる堀割で、現在の都営新宿線森下駅のやや北側で東側に分岐していました。六間堀と五間堀を合わせるとアルファベットのYのような形をしており、Yの右側の斜め線が五間堀、残りが六間堀になります。
名前は川幅がそれぞれ六間と五間だったことに由来します。一間はおよそ1.8mですから、今風に言えば、六間堀は“11m級運河”、五間堀は“9m級運河”というところでしょうか。江戸の街には、このような単純な名付けが結構多いように思います。
現在は六間堀も五間堀も埋め立てられて消失しています。一部が公園になったりはしていますが、実際に現地に足を運んでも、一見しただけではどこに堀割が在ったのかは分りません。しかし注意深く眺めてみると、かつて掘割に架かっていた橋の部分の土地は高く、逆に水路だった部分は土地が低くなっていたりして、所々に土地の記憶を見付けることが出来ます。また、掘割は埋め立てられても、かつての掘割に沿って道が残り、その道に面して家々が建てられているので、Google Earth等の航空写真で本所・深川を上空から眺めると、かつてのY字の掘割の形が今もはっきりと分ります。大都会東京にナスカの地上絵を見ているようで、とても不思議ですから、是非一度トライしてみて欲しいと思います。
佐伯泰英著、居眠り磐音江戸双紙シリーズ(双葉社)の主人公・坂崎磐音が住む金兵衛長屋はこの六間堀近くの六間堀町に在ります。
六間堀が登場するその他の作品
- 藤沢周平著「凩の用心棒」(孤剣 用心棒日月抄に収録、新潮社)
- 藤沢周平著「みな殺し」(愛憎の檻 獄医立花登手控え(三)に収録、講談社)
- 藤沢周平著「戻って来た罪」「見張り」「待ち伏せ」「影の男」「女の部屋」「別れゆく季節」(いずれも人間の檻 獄医立花登手控え(四)に収録、講談社)
- 池波正太郎著「寒月六間堀」(鬼平犯科帳(七)に収録、文藝春秋)
五間堀が登場する作品
- 藤沢周平著「影の男」(人間の檻 獄医立花登手控え(四)に収録、講談社)
- 池波正太郎著「寒月六間堀」(鬼平犯科帳(七)に収録、文藝春秋)
六間掘跡(森下駅A2出口近くの公園) 東京都江東区新大橋3-18-2
都営新宿線・大江戸線 森下駅A2出口からすぐ
五間堀跡(五間堀公園) 東京都江東区森下2-30-4
都営新宿線・大江戸線 森下駅A5出口からすぐ
六間堀跡:橋の部分は高く、水路の部分は低いかつての地形が残っています。
五間堀跡:堀割の一部は公園になっています。
。是非紹介してください。
コメントありがとうございます。六間堀・五間堀は池波作品にはたくさん登場するので、ついついリストに載せるのをサボっていましたが、さっそく加えさせていただきました。「寒月六間堀」は、弥勒寺や薬研掘、一ツ目弁天などのお馴染みの場所が数多く登場し、更には平蔵の格好良さもあって、私の好きな作品の一つでもあります。
ところで、人間の檻 獄医立花登手控え(四)の「見張り」に、六間堀は登場していますか。
読み飛ばしてしまったのか、どこに書かれているのか分かりませんでした…。