本所にある日蓮宗のお寺です。太田道灌が長禄二年(1458年)に江戸城を築くにあたり城内鎮護の祈願所として建立されました。当時は本住院という名称でしたが、後に法恩寺に改称。神田柳原、谷中清水町への移転を経て、元禄八年(1695年)に現在地に移りました。古地図[1]と比較すると現在の境内は江戸時代よりもかなり小さくなっていますが、蔵前橋通りから続く参道とその両脇に並ぶ塔頭は、かつては二十の塔頭を抱えた頃の法恩寺を想像させるに十分な雰囲気を備えています。
法恩寺は鬼平犯科帳シリーズ(池波正太郎著、文藝春秋)には度々登場しており、現地の案内板にも鬼平に登場するお寺として紹介されています。最初に登場するのは、第一巻の「本所・桜屋敷」で、長谷川平蔵が法恩寺前の茶店に入る場面と、かつて西側に流れていた大横川(現在は埋めたてられ公園になっている)を船で行きながら法恩寺の大屋根を目にするという場面で登場しています。
法恩寺が登場するその他の作品
- 藤沢周平著「冬の終りに」(竹光始末に収録、新潮社)
- 藤沢周平著「凩の用心棒」(孤剣 用心棒日月抄に収録、新潮社)
[1]本所絵図、文久三年(1863年) ※人文社から復刻地図が出版されています。
法恩寺 東京都墨田区太平1-26-16
JR・東京メトロ半蔵門線 錦糸町駅から約900m 徒歩約12分