如意輪寺は墨田区吾妻橋に在る天台宗のお寺です。慈覚大師が嘉祥二年(849年)に聖徳太子自作の太子像を安置したことが始まりと伝えられ、東京でもかなりの古刹です。本堂は小ぢんまりとしていますが、それが隅田川を挟んで対岸に在る橋場不動院のようでもあり、愛らしい感じがするお寺です。浅草方面からだと、隅田川に架かる吾妻橋を渡り、東京スカイツリーに向かう道を、ちょっとだけ寄り道したところに在りますから、是非訪ねてみて欲しいと思います。
如意輪寺は、鬼平犯科帳(池波正太郎著、文藝春秋)第四巻の「敵」の中で、門前の花屋が盗人宿という設定で登場しています。この盗人宿を隠れ家としている、盗人の頭・大滝の五郎蔵は、最後には火付盗賊改方長官である長谷川平蔵に捕らえられることになるのですが、その後、平蔵の密偵として鬼平犯科帳シリーズを通じて活躍することになります。そういうことでは、「敵」は鬼平犯科帳シリーズの中でも、記念碑的な作品だと言えるでしょう。
如意輪寺 墨田区吾妻橋1-22-14
都営浅草線浅草駅から約550m 徒歩約7分
都営浅草線本所吾妻橋から約400m 徒歩約5分