江戸観光案内

古地図を片手に江戸の痕跡を見つけてみませんか?

柳森稲荷

2013-10-12 | まち歩き

柳森稲荷(現柳森神社)は、神田川の南岸、JR山手線が神田川と交わるところの近くに建つ神社です。創祀は徳川家康が江戸に幕府を開く以前の太田道灌の時代。太田道灌が江戸城を築いた際に、鬼門にあたる東北の方角に柳を植えて、柳の森とし、その鎮守として祀られました。その頃は、人口の川である神田川は存在せず、川の南北ともに柳原と呼ばれていました。神田川が造られた後の万治二年(1659年)に、神田川の築堤のため現社地に奉遷。この堤が筋違御門から浅草御門まで続く柳原土手です。


地元では、たぬきのいる神社としても知られています。本殿に向かって右手に祀ってある福寿神が「おたぬきさん」で、元々は五歳将軍徳川綱吉の御生母・桂昌院によって江戸城内に「福寿いなり」と称されて祀られていました。桂昌院は、元は八百屋の娘で、それが後の五代将軍をお産みになられるという大出世をとげました。大奥の御女中衆からは、「他を抜く=たぬき」の幸運にあやかりたいと崇敬を集め、信仰されていたそうです。神田川を隔てて目と鼻の先が電脳タウン・秋葉原。その所以を知ってか知らずかは分かりませんが、休日ともなれば、若いカップルなども、けっこう訪れています。


柳森稲荷は、池波正太郎著「雲霧仁左衛門(前編)」(新潮社)の中で、“柳原土手の「柳の森稲荷」”の名前で登場。火付盗賊改方の密偵・留次郎は雲霧一味の情報を聞き出すために、柳の森稲荷の鳥居前で盗賊・利吉と落ち合います。


柳森稲荷 東京都千代田区神田須田町2-25-1

都営新宿線 岩本町駅から約200m 徒歩役3分

JR・東京メトロ秋葉原駅から約300m 徒歩約4分


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